SYU'S WORKSHOP
グレーターデーモン
GREATER DEMON FROM "WIZARDRY"



コンピュータ・ゲーム「ウィザードリィ」に登場する「グレーターデーモン」です。
「ARGO NAUTS」社のソフビ組み立てキットです。




これは1991年に発売されたソフビ・キットです。
ずっと押入の中にしまい込んでいたのですが、
最近ようやく作り始め、完成させたモノなのであります。



このモンスターが登場する「ウィザードリィ」は、
1981年にアメリカで生まれたコンピュータ・ゲームです。
人間やエルフ、ドワーフといった異種族が混成チームを組み、
「剣と魔法」を駆使して「地下迷宮」を踏破して行く、
いわゆる「コンピュータRPG」の「祖」となったゲームなのであります。



当初はパソコンの「AppleII」用のゲームでしたが、
1987年に「ファミコン版」が発売されました。
当時の私はそれに完璧にハマってしまったのでした。
寝食を忘れ、毎夜毎夜ファミコンの電源を入れ、
「地下迷宮」の冒険に明け暮れていたのであります。



一応、冒険の目的は「悪の魔術使いワードナを倒す」
という事にあるのですが、
多くのプレイヤーたちは、そのワードナを倒した後も
引き続きウィザードリィの迷宮世界を彷徨い歩いたのでした。



自分のキャラクターたちをさらに成長させるため。
まだ未踏破の場所を探索するため。
伝説の宝剣「ムラマサ」を発見するため。

現在のコンピュータRPGがRPGと銘打っていながら
その実、物語を語って聞かせる「映画的ゲーム」なのとは逆に、
「ウィザードリィ」は「コンピュータの中の架空の世界で遊ぶ」という、
真のRPGであったのでした。



そんな「ウィザードリィ」に登場するモンスターの中で、
一番魅力的なのがこの「グレーターデーモン」なのであります。

「地下迷宮」の「最下層」に出現し、
強固な皮膚は剣などの物理攻撃をはじき飛ばし、
さらに攻撃魔法も「無効化」する能力を持ち、
歴戦の冒険者たちを一気に窮地に陥れるのであります。
そして最悪な事にコイツは仲間を呼ぶのです。
コイツのために、
何万という全世界の冒険者たち(パーティ)が全滅した事か・・・。



さて、このソフビ・キット、
製作にはいろいろと難がありました。
パーツが細かく分割されており、
そのパーツの「湯口(パーツの不用部分)」を
切り出すだけでも一苦労でした。



さらに、それぞれのパーツの「合い」が非常に悪いのでした。
この手のソフビ・キットはパーツが「変形」している事が多く、
それを製作前に「鍋で茹でた」り、
ドライヤーで軟らかくして整形したりする事が必要なのですが、
それらの処理を施しても、パーツ同士がピッタリ合わないのでした。
結局、瞬間接着剤で強制的に接着し、
それでも空いてしまう透き間は
タミヤの「エポキシパテ(速硬化タイプ)」で埋める事になりました。



1987年に発売された「ファミコン版ウィザードリィ」の
モンスター・デザインをしたのが、
「ファンタジー・アートを描かせたら世界一」の
イラストレイター「末弥純」氏であります。
1987年以降もウィザードリィは
様々なゲーム・ハードに移植されて行きましたが、
いずれもモンスター・デザインは
「末弥純デザイン」を踏襲しているのであります。



今回のソフビ・キットも完全にではありませんが、
「末弥純デザイン」の「グレーターデーモン」を元に造形されています。
「完全に」ではなかったのは、おそらく
著作権の問題があったのだろう、と推測します。



これは1987年に「アオシマ文化教材社」から発売されていた
「メタル・フィギュア」の「グレーターデーモン」です。
「末弥純デザイン」的には、こちらの方が元に近いのであります。



元のデザインが「禍々しい異界の巨大獣」だったのに対し、
このソフビのデザインはちょっと「人間チック」です。
私的には元の「巨大獣」イメージの
グレーターデーモンの方が好きなのですが。



大きく広げたグレーターデーモンの翼。

確かに、造形的な派手さはあるのですが、



そんなボリュームのある上半身に比べ、
下半身が非常に「華奢」なのでありました。
上半身の重量を、下半身の足のつま先と尻尾の三点だけで
保持しなければならないのです。
そこで、



尻尾の先から下半身、そして上半身にかけて
「直径5ミリのアルミ棒」を仕込んだ後、
下半身には「キャスト」を流し込んで「ウエイト」としました。
これによってフィギュアの安定した「自立」が可能になりました。



ソフビ・キットの製作で一番楽しいのが塗装です。

塗装前に不用パーツに、これから塗る予定の塗料を塗って
「カラーチャート」を作っておきます。
こうすると、その塗料の「実際の発色」や「艶加減」が
判って非常に便利なのです。



「GSIクレオス」の「Mr.カラー」の「ラッカー系」で
まず全体塗装(エアブラシを使用)した後、
タミヤのエナメル塗料で「ウォッシング」と「ドライブラシ」をして、
最後はタミヤのアクリル塗料でタッチを入れました。

ちなみに、この手のソフビ・フィギュアで
「エナメル系のウォッシング」は禁じ手とされています。
それは、エナメル塗料が素材のソフビを浸蝕し、
いつまでも乾く事なく「ベトベト」が残るからです。
が、事前に「ラッカー系塗料」で充分な「被膜」を作っておけば
「大丈夫じゃないかなあ」というのが私の持論です。



もっとも、今回の写真撮影時にも、
まだ「ベトベト」が残っていましたが。

と言うワケで、みなさん真似しない様に・・・。



さて。

今回の記事を書くに当たって、
ウチの押入の「最下層」から、ファミコン・ハード(ツイン・ファミコン)と
ウィザードリィのカートリッジを発掘し、
「16年ぶり」に電源を入れてみました。
私が育てた最強の冒険者たちとの再会です。

結果・・・。
バックアップ用の電池切れで
全ての冒険者データは消えていたのでありました・・・。

そりゃそうだわな。



今回はキットの話と好きだったゲームの話で、
少々長くなってしまいました。

と言うワケで、
最後まで読んで下さいまして
ありがとうございました。





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