SYU'S WORKSHOP
悪役1号
AKUYAKU-ICHI-GOH FROM
"HAYAO MIYAZAKI'S DAYDREAM DATE NOTES"
(1/2)
「宮崎駿の雑想ノート(月刊モデルグラフィックス
1985年1月号)」に登場した戦車
「悪役1号」です。
「アートボックス/モデルカステン」のソフビ組み立てキットです。
![](aku01.jpg)
このキットが発売されたのが1989年の事。
ちょこちょこっと作っては「2・3年」しまい込み、
また思い出しては色を塗り、また「3・4年」しまい込み、
また色を塗ってはしまい込むという事を繰り返した挙げ句、
購入から「13年目」にしてようやく完成したのでした。
どうやら私は「完成恐怖症」という性格らしく(もしくは未完成症候群)、
この様に「十数年かけているのに一向に完成しない」という
キットがウチにはたくさんあるのでした。
![](aku02.jpg)
この戦車は架空の「超巨大多砲塔戦車」であります。
全長は15メートル。全重量は200トン。
最大速力は時速28キロ。
何と言っても砲塔に搭載されている三つの主砲がもの凄く、
画面の右から「75ミリ速射砲」「230ミリ臼砲(ロケット砲)」「170ミリキャノン砲」
という、超強力で過剰な武装を持つ「夢の多砲塔戦車」であります。
これだけの大口径の砲になると「ライフリング(砲の中の螺旋状の溝。
これによって撃ち出される砲弾に回転をつけて直進性を出す)」が無いのが寂しくて
(キットではオミットされていた)、追加工作して再現してみました。
また、車体前面下部に付いているのは「ドーザーブレート」と呼ばれるモノで、
進行方向にある土砂を取り除いたり、「塹壕」を掘ったりするための装備です。
油圧式で上下に可動する仕組みになっているらしいのでした。
![](aku03.jpg)
巨大で超重量の戦車であるため、
車体裏には「三番目の履帯(キャタピラ)」が装備されています。
これも、実際の戦車にはない「悪役1号」ならではの大きな特徴の一つです。
車体前半部にある巨大な砲塔、その真後ろには「司令塔」があります。
周りの手すり部分を「0,8ミリ真鍮線」で追加工作しました。
この「司令塔」の驚くべき点は、
![](aku05.jpg)
なんと「司令塔基部」が伸縮するという機構が組み込まれており、
最高「地上高10メートル」の高さまで伸びる事なのでした。
これだけ巨大な戦車になると、確かに
「一望の下に周囲の状況を把握する」ための司令所が必要になるのでしょう。
なるほどなあ。
![](aku06.jpg)
「雑想ノート」の中では、この巨大戦車は「1930年代中期」に、
「某国のバークシャー連隊大佐によって開発・建造された」という事になっています。
「雑想ノート」とは、「宮崎駿」氏によって描かれた「架空戦記漫画」であります。
この漫画の中では搭乗員達は何故か全て「ブタのキャラクター」。
アニメ化された「紅の豚」の「戦車版」であります。
そしてこの「悪役1号」の司令官である「悪役大佐」は、
この戦車を強奪、反乱を起こし、部下たちを引き連れて首都に向かって進撃していく、
という「冒険活劇漫画チック」なストーリィが展開されるのでした。
![](aku07.jpg)
今回のこのキット、
「13年」という時間を経ている事もあり、かなり細々と手を入れてあります。
まるで「空間恐怖症」であるかの様に、
ありとあらゆる所に「0,3ミリ、0,5ミリ、0,8ミリ、1ミリの真鍮線」で、
砲塔部分、車体部分、各種ハッチ類に「取っ手」を追加工作しました。
多少、原作の設定とは違っていても、
この戦車の「巨大感」を表現するためには細かく手を入れて
模型としての「精密感」を高める必要があると思ったからなのでした。
![](aku08.jpg)
砲塔にある「メイン・ウェポン」以外の「小型砲類」は
「1,1ミリ、1,3ミリ、1,8ミリ」の「真鍮パイプ」で再現。
また、車体の至るところにある「機関銃類」も、キットのモノは全て切り落とし、
「0,8ミリ真鍮パイプ」で作り直しました。
やっぱり「砲」やら「機関銃」類はみんな「開口」していないと、私は嫌なのでありました。
塗装はいつも作っているAFV模型と同様に、「ラッカー系で基本塗装」した後、
「エナメル系でウォッシングとスミ入れ」、「パステルで汚し」を施してあります。
が、いつもよりも今回は、かなり汚しを控えめにしてみました。
その代わり、「スミ入れ」はいつもよりも濃いめに入れて、
「鉄板をたくさん組み合わせて作ったリベットだらけの巨大な戦車」というカンジを
強調する様にしてみました。
車体後部にあるこれは「スキッド(尾ソリ)」と呼ばれる構造物で、
戦車が塹壕の溝を通過する時に「お尻」がその溝にはまり込まないためのモノです。
第一次世界大戦の戦車によく見られる装備ですが、
今回のこの巨大な超重量戦車に、「スキッド」の意味があるのかどうか・・・。
ま、「格好良ければ何でもOK」というデザインなのでありましょう。
つづきます。
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