SYU'S WORKSHOP
悪役1号
AKUYAKU-ICHI-GOH FROM
"HAYAO MIYAZAKI'S DAYDREAM DATE NOTES"

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「宮崎駿の雑想ノート(月刊モデルグラフィックス 1985年1月号)」に登場した戦車
「悪役1号」です。
「アートボックス/モデルカステン」のソフビ組み立てキットです。




このキットが発売されたのが1989年の事。
ちょこちょこっと作っては「2・3年」しまい込み、
また思い出しては色を塗り、また「3・4年」しまい込み、
また色を塗ってはしまい込むという事を繰り返した挙げ句、
購入から「13年目」にしてようやく完成したのでした。

どうやら私は「完成恐怖症」という性格らしく(もしくは未完成症候群)、
この様に「十数年かけているのに一向に完成しない」という
キットがウチにはたくさんあるのでした。



この戦車は架空の「超巨大多砲塔戦車」であります。
全長は15メートル。全重量は200トン。
最大速力は時速28キロ。

何と言っても砲塔に搭載されている三つの主砲がもの凄く、
画面の右から「75ミリ速射砲」「230ミリ臼砲(ロケット砲)」「170ミリキャノン砲」
という、超強力で過剰な武装を持つ「夢の多砲塔戦車」であります。

これだけの大口径の砲になると「ライフリング(砲の中の螺旋状の溝。
これによって撃ち出される砲弾に回転をつけて直進性を出す)」が無いのが寂しくて
(キットではオミットされていた)、追加工作して再現してみました。

また、車体前面下部に付いているのは「ドーザーブレート」と呼ばれるモノで、
進行方向にある土砂を取り除いたり、「塹壕」を掘ったりするための装備です。
油圧式で上下に可動する仕組みになっているらしいのでした。



巨大で超重量の戦車であるため、
車体裏には「三番目の履帯(キャタピラ)」が装備されています。
これも、実際の戦車にはない「悪役1号」ならではの大きな特徴の一つです。



車体前半部にある巨大な砲塔、その真後ろには「司令塔」があります。
周りの手すり部分を「0,8ミリ真鍮線」で追加工作しました。
この「司令塔」の驚くべき点は、



なんと「司令塔基部」が伸縮するという機構が組み込まれており、
最高「地上高10メートル」の高さまで伸びる事なのでした。
これだけ巨大な戦車になると、確かに
「一望の下に周囲の状況を把握する」ための司令所が必要になるのでしょう。
なるほどなあ。



「雑想ノート」の中では、この巨大戦車は「1930年代中期」に、
「某国のバークシャー連隊大佐によって開発・建造された」という事になっています。

「雑想ノート」とは、「宮崎駿」氏によって描かれた「架空戦記漫画」であります。
この漫画の中では搭乗員達は何故か全て「ブタのキャラクター」。
アニメ化された「紅の豚」の「戦車版」であります。

そしてこの「悪役1号」の司令官である「悪役大佐」は、
この戦車を強奪、反乱を起こし、部下たちを引き連れて首都に向かって進撃していく、
という「冒険活劇漫画チック」なストーリィが展開されるのでした。



今回のこのキット、
「13年」という時間を経ている事もあり、かなり細々と手を入れてあります。
まるで「空間恐怖症」であるかの様に、
ありとあらゆる所に「0,3ミリ、0,5ミリ、0,8ミリ、1ミリの真鍮線」で、
砲塔部分、車体部分、各種ハッチ類に「取っ手」を追加工作しました。
多少、原作の設定とは違っていても、
この戦車の「巨大感」を表現するためには細かく手を入れて
模型としての「精密感」を高める必要があると思ったからなのでした。



砲塔にある「メイン・ウェポン」以外の「小型砲類」は
「1,1ミリ、1,3ミリ、1,8ミリ」の「真鍮パイプ」で再現。
また、車体の至るところにある「機関銃類」も、キットのモノは全て切り落とし、
「0,8ミリ真鍮パイプ」で作り直しました。
やっぱり「砲」やら「機関銃」類はみんな「開口」していないと、私は嫌なのでありました。



塗装はいつも作っているAFV模型と同様に、「ラッカー系で基本塗装」した後、
「エナメル系でウォッシングとスミ入れ」、「パステルで汚し」を施してあります。
が、いつもよりも今回は、かなり汚しを控えめにしてみました。
その代わり、「スミ入れ」はいつもよりも濃いめに入れて、
「鉄板をたくさん組み合わせて作ったリベットだらけの巨大な戦車」というカンジを
強調する様にしてみました。



車体後部にあるこれは「スキッド(尾ソリ)」と呼ばれる構造物で、
戦車が塹壕の溝を通過する時に「お尻」がその溝にはまり込まないためのモノです。
第一次世界大戦の戦車によく見られる装備ですが、
今回のこの巨大な超重量戦車に、「スキッド」の意味があるのかどうか・・・。

ま、「格好良ければ何でもOK」というデザインなのでありましょう。


つづきます。


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