=== 返信モード ===

下に表示した記事(No. 3351)に返信します。

3351   漫画の音喩・オノマトペ。    SYU   [ 2016/02/21 23:26 ]
本スレッドは3350のPohiさんへの返信です。
前のスレッドが長くなり、私の書きたい事が少し長くなりそうなので、新しいスレッドにしました。

> 実際に砲撃音を体感してみれば、決して「パウッ」ではないのですが、漫画の効果音だとリアリティを感じてしまうのは何故でしょう?

単純に砲撃音、発砲音を漫画の音喩で考えると、「ドカンッ!」や「バンッ!」が一番妥当かも知れません。
「た行」の「濁音」「だ ぢ づ で ど」や、「は行」の「濁音」「ば び ぶ べ ぼ」を使うのが、「爆発音」には相応しいのかも知れません。

しかし、そこに破裂のニュアンスを入れた「は行」の「半濁音」「ぱ ぴ ぷ ぺ ぽ」を使った「パウッ!」は、少し粘着質な感じがしませんか?

「バンッ!」より「パウッ!」の方が、「効果音」に粘りけがあり、音が少し長い気がしませんか?
それは砲口から爆発炎が広がり、その爆発炎から目標に向けて砲弾が、もしくは光線が、伸びて行く感じがしませんか?

私は宮崎駿の漫画に付く「音喩」は、アニメーターならではの「動きに付けた音」だと思うのです。
無理矢理かしらん?も少し考えて見ますけども。

> 私はオノマトペというと、アメコミで使う効果音を過大な表現で文字に表したものが先に浮かびますが、情景や雰囲気など、音にならないものの表現方法として発達した日本のオノマトペとは性質が違い、この点が日本の漫画の特色なのかな?と思います。

Pohiさんの書き込みがあまりにも面白く、興味深く、引用が長くなってしまいますが、容赦下さい。

ご存じの通り、オノマトペは大きく「擬音語」「擬声語」「擬態語」に別れます。
「擬音語」は実際の音を文字に表したモノで、宮崎駿の「パウッ!」がそうですね。
「擬声語」は人や動物の声を文字で表したモノで、「うわーん」や「しくしく」、「ワンワン」や「ニャア」などですね。
「擬態語」は状態や感情など実際には音がしないモノを文字に表したモノで、「わくわく」や「しーん」などで、これを効果的に多用したのがPohiさんが仰る「日本の漫画の特色」だと私も思います。

しかし、確かに海外の漫画には「B0000MM!」「BLAM!BLAM!」等の実際の音を文字で表記した「擬音語」が多いと思いますが、スヌーピーの漫画に頻繁に登場する「Good Grief!」は、「まいっちゃうよ」「やれやれ」といったニュアンスを表す記号としての「音喩」、海外の漫画に登場する珍しい「擬態語」のような気がします。
(私が持っている本では〈タメイキ〉と訳されていました)

また、何かが壊れる時の音、例えば大きな窓を突き抜けた時や車が衝突する音、アメコミで描かれる「CRASH!」「SMASH!」などは「擬音語」であると同時に、出来事を説明しているこれも「擬態語」でもあるのかも知れません。
うーん。どうでしょう。少し勉強してみますね。

3352    Pohi     [ 2016/02/23 00:46 ]

長居してしまい、すみません。
居心地が良くて、度々、長居してしまいます。

>アニメーターならではの
なるほど、音を直接表現しない方が状況を上手く表現できる事もあるという事ですね。なかなか奥が深いなぁ。

>スヌーピーの漫画に
これもなるほどですね。
スヌーピーは、珍しく日本人に受け容れられた外国の漫画と思います。
確かにスヌーピーには、気分を表現するオノマトペが多用されますね。
気持ちを音で表すというのが日本人の感性にマッチしたのかもしれませんね。

3353    SYU     [ 2016/02/24 00:14 ]

> 長居してしまい、すみません。

私のサイト、掲示板は、何も書き込みがない時には平気で数か月、いや半年ぐらい、本当に「なぁんにも」更新のないまま続きますので、時々繰り広げられるPohiさんとの会話は、本当に楽しいのです。
いつでも気が向いた時、お時間がある時には、長居をして下さい。

漫画の音喩・オノマトペに関して、二つだけ思い付いたので、書きます。

1)漫画ナウシカの「土鬼」の描写で。
時々、その絵に「土鬼語」の(意味不明の)音喩が付くじゃないですか。
でも、それも私らは「ぎょっ!」だの「わあああっ!」だの、そんなに疑問も感じなく、読めてしまうではないですか。
これは実は、宮崎駿の発明した、今までありそうでなかった「漫画の音喩・オノマトペなんて、実は何でも良いのだ。しょせん、これも『絵・漫画』の一部なんだから」という事を思い出してくれて、凄いなあと思うのであります。

2)スヌーピーの漫画で。
スヌーピーが寝ている絵に「Z」の吹き出しが付くじゃないですか。
もちろん、寝ている、イビキをかいている、という音喩ですが、もしかして、私らが漫画で書かれた「Z」の音喩は、これが始まりだったのでしょうか?

シュレーダーが(場合によってはシュローダー。この年代によって個人名表記が違う問題は、いずれまた論じたい事であります)ピアノを弾く時に、楽譜が空間に浮かぶじゃないですか。
これも漫画の音喩だと思うのですが、これを「いじって」、ギャグにするじゃないですか。
私らは「決まり事すら、自分でいじってギャグにする」って方法は手塚治虫から教わった様な気がするのですが、その前にピーナッツ、「チャールズ・M・シュルツ」があったんですねえ。

3354    Pohi     [ 2016/02/24 23:46 ]

>「土鬼語」の(意味不明の)音喩が付くじゃないですか
確かにそうですね。
数日前の私のレスにも書きましたが、私は漫画のオノマトペを読んでいません。それでもオノマトペの効果は目から入ってきます。
文字のフォルムだけで状況や感情の表現ができるまで記号化されているという事ですね。
なんだかパントマイムにも通じるものがある気がします。
これらのオノマトペの記号は万国共通に通じるものなのですかねぇ。

>「決まり事すら、自分でいじってギャグにする」
暗黙の了解をジョークに使うのは、英国のブラックジョークにも通じるものがありますね。
元々、ジョークというものが、ある程度の共通の常識の上に成り立っている事柄を利用する性質があるとは思うのですが、その表現をどの様に表現するかは作者のセンス次第という事なんですね。


3355    SYU     [ 2016/02/25 22:40 ]

> 文字のフォルムだけで状況や感情の表現ができるまで記号化されているという事ですね。

その通りだと思います。
本来、「表記文字」を使い、実際の音や状態、感情を表していたモノが、「漫画・絵」という特徴を活かし「描き文字」の効果を使って、実際の音や状態、感情を表すようになってきた、のだと思います。

この例として私がよく挙げるのが、「楳図かずお」の音喩・オノマトペです。
いかにも痛々しい悲痛な叫び声として、「ギャーッ」の周囲にトゲトゲを付けた、あれです。

これと真反対なのが、「大友克洋」の音喩・オノマトペです。
例えば、コマに大きく、極太明朝体で描かれる「あ」の文字。
例えば、激しくスリップする車のタイヤのアップに「ぎゃん!」とか、これも極太明朝体で描かれたりする、あれです。
「明朝体」で描かれた意味は、「この映像には感情は必要ありません。リアルなドキュメンタリーなんです」という意味合いなのでありましょう。

> これらのオノマトペの記号は万国共通に通じるものなのですかねぇ。

ある程度は通じるのだと思います。が、得てして翻訳され海外で出版された日本の漫画の音喩が、その国の言語にわざわざ「描き直される」のは、元の「日本語」という記号が、反って「邪魔」になるからなのだと思います。
決して日本語の「ズキュン!」が読めないからではなく、その「日本語」という記号が邪魔なのだから、なのでしょう。

> 暗黙の了解をジョークに使うのは、英国のブラックジョークにも通じるものがありますね。

ですし、基本的にイギリス人は「ひねくれている」のでしょう。
これは悪口ではなく、私は偏屈でひねくれていて皮肉屋のイギリス人が大好きなのです。
私の大好きなモンティ・パイソンもシャーロック・ホームズも、皆、その偏執的な土壌から生まれているのでした。




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