????年?月?日(?) | |
|
「MARS ATTACKS PREMIUM CARD」 RENATA GALASSO社。????円。 1962年、米国でチューインガムを発売していた「トップス社(Topps Chewing Gum Inc.)」は、ガムのおまけに「MARS ATTACKS」というタイトルのトレーティングカードを付けていた。 「全54枚」から成る、パルプ・マガジンに載りそうな「B級C級SF絵物語」である。 これにより、トップスのガムは驚異的に売り上げを伸ばした。 日本の「仮面ライダー・カード」である。 1984年、その22年後に「RENATA GALASSO社」から、オリジナルの復刻版カードが発売された。 どこにも、どの時代にも、「昔の○○は良かったなあ」と思い「複刻しちゃおっと」と計画する者がいるのである。 俺が購入したのはその復刻版である。 いつも行く模型店に「何故か」売っていたのである。 買ったのがもはや昔で、当時いくらで買ったか忘れてしまったのだが、5千円前後だった様な気がする。 も少し高かったかな? ちなみに、そのオリジナル・カードを原作として映画にしたのが「ティム・バートン」の「マーズ・アタック!(1996)」であった。 |
|
火星人が地球に攻めてくると言う物語で、大昔の「H・G・ウェルズ」の「宇宙戦争」の焼き直しである。 「絵物語」であるから、カードの表面には絵が、その裏にはストーリィが書かれていた。 表面の絵は発売当時の「1962年」という事を考えても決して上手い絵ではなく、どこか泥臭く、荒々しい絵柄であった。 しかし、その荒々しい筆のタッチが異様な迫力を生む事となる。 |
|
さらに、決して上品とは言えないストーリィにもインパクトがあった。 これは子供たちに受けた。 「良い子のためのSF絵物語」では無い事に、その真逆の物語に子供たちは皆熱狂したのだ。 侵略者である火星人は「必要以上に」醜悪で、脳味噌剥き出しのおぞましい姿をしていた。 彼らに使役されるのは巨大な蜘蛛やカマキリ、蟻等の怪物である。 地球人たちは、これも「必要以上に」容赦なく残虐に殺戮され蹂躙されていった。 子供向けのガムの景品としては、これらの描写はあまりにも「強烈」過ぎた。 |
|
子供には人気を博したが、両親、大人には不快と不評を買う事となった。 それはPTAの不買運動へと続く。 かくして、この「MARS ATTACKS」のカードは「残酷なカード」として発禁の憂き目に遇う事となった。 左は火星人の「冷凍光線」で凍りつく人々の絵である。 火星人の円盤からは「あれやこれや」様々な殺人光線が発射され、地球人たちを「あれやこれや」といたぶるのである。 |
|
この絵は襲いかかる巨大蟻の怪物である。 アメリカの軍隊が必死に火炎放射器で応戦している。 これは古典SF映画の傑作「放射能x(1953)」のオマージュ、というか「モロ、パクり」である。 下の絵はニューヨークの地下鉄を襲う百足の超巨大昆虫である。 よく見てみると、慌てて車内から線路に飛び出した乗客の一人が、レールに流れる高圧電流に触れ、「バリバリバリッ」と感電している様子が描かれている。 芸コマで実に素晴らしい。 |
|
これは火星人の「破壊光線」を浴び、照射された胴体が「白骨化」してしまう、凄まじいイラストである。 衝撃的で恐ろしく、大人なら誰でも眉を顰め、子供なら喝采を送りそうなシーンである。 これはティム・バートンの映画でも映像化されていた。 バートンの映画は火星人の造形は勿論、このカードの物語にかなり忠実だった事が判る。 |
|
これも映画の冒頭に登場したシーンだ。 生きたまま火を付けられ、暴走する牛の群れである。 「走るバーベキュー」だ。 |
これは、少年の飼い犬を何の躊躇いもなく攻撃する火星人である。 カードのタイトルを見ると「DESTROYING A DOG」とある。 「やめてーっ」と叫ぶ少年の声が聞こえてきそうだ。 「MARS ATTACKS」が残酷なSF絵物語だとは言え、これを見た当時の子供たちは皆ビックリした事であろう。 今も昔も、娯楽作品で子供や動物をいたぶる事は「禁じ手」であるからだ。 映画にもこれをインスパイアした、大統領の飼い犬が殺されるシーンがあった。 |
|
|
火星人の「縮小光線」を浴び、みるみる縮んでゆく兵士の図。 映画では、「ロッド・スタイガー」演じる「デッカー将軍」が縮小され、あっさり「プチ」と踏み潰されてしまっていた。 |
|
火星人の乗る「巨大ロボット」である。 これも映画に登場した。 映画が公開された1996年頃、「TRENDMASTERS社」から、「空飛ぶ円盤」「大使」「指揮官」「兵士」「巨大ロボット」「光線銃」等々のいろいろなフィギュア・おもちゃが発売されていた。 おもちゃ好きの俺はそれを全て買っていた。 が、それらは「映画版」「Topps版(アメコミ版)」の2種類があり、全種コンプリートを目差していた俺は、全部を2タイプづつ買う事になってしまった。 「トレンドマスターはん・・・。ど偉い事、してくらはりましたなぁ・・・」と深く呪ったモノである。 |
|
一時期、「SCREAMIN'」という所からレジン製ガレージキットも発売されていた。 輸入専門のおもちゃ屋で、時々見かけた。 それは良く出来た「残酷でグロい」ジオラマで、とても欲しかったのだが、値段が「1万円以上」と半端なく高く、泣く泣く断念したモノであった。 さて。 このカードのラストは映画とは違っている。 映画だと、最後に火星人を破壊する「レコード」を偶然発見、彼らを駆除する事に成功する。 ウェルズの火星人が「風邪」に弱かった様に、この火星人は「歌」に弱かったのだ。 カードの方のラストはこうだ。 一方的に負け続けていた地球側が、ある時アメリカ軍が中心となり、突如大反撃を開始するのである。 「何故反撃が出来たのか?」等の理由は無く、敢えて理由を付けるとすれば単に「ブチ切れた」からであろう。 アメリカ軍の快進撃は続き、果ては「宇宙軍」を結成しロケットに乗り地球を飛び出して行く。 決戦の最後の舞台はすでに地球ではない。 火星である。 宇宙軍は火星人の「主都」を破壊し・・・、 ついには・・・。 「火星」を木っ端微塵に吹き飛ばしてしまうのであった!! 「60年代」が「好戦的」な時代であったとは言え、急転直下の「アメリカ万歳!」のラストに・・・、 「こ、こりゃ最後まで『ブッ飛んで』るなあ」と思うのであった。 |
ご意見、ご感想はこちらまで |