SYU'S WORKSHOP
散財おもちゃ日記
(2009年2月)

今回も押入の中から、
昔買ったおもちゃを引っ張り出して紹介するのである。

もはや購入時の値段が判らないモノも多いのだが、ご勘弁を。


????年?月?日(?)


「MARS ATTACKS PREMIUM CARD」
RENATA GALASSO社。????円。

1962年、米国でチューインガムを発売していた「トップス社(Topps Chewing Gum Inc.)」は、ガムのおまけに「MARS ATTACKS」というタイトルのトレーティングカードを付けていた。
「全54枚」から成る、パルプ・マガジンに載りそうな「B級C級SF絵物語」である。
これにより、トップスのガムは驚異的に売り上げを伸ばした。
日本の「仮面ライダー・カード」である。

1984年、その22年後に「RENATA GALASSO社」から、オリジナルの復刻版カードが発売された。
どこにも、どの時代にも、「昔の○○は良かったなあ」と思い「複刻しちゃおっと」と計画する者がいるのである。

俺が購入したのはその復刻版である。
いつも行く模型店に「何故か」売っていたのである。
買ったのがもはや昔で、当時いくらで買ったか忘れてしまったのだが、5千円前後だった様な気がする。
も少し高かったかな?


ちなみに、そのオリジナル・カードを原作として映画にしたのが「ティム・バートン」の「マーズ・アタック!(1996)」であった。




火星人が地球に攻めてくると言う物語で、大昔の「H・G・ウェルズ」の「宇宙戦争」の焼き直しである。


「絵物語」であるから、カードの表面には絵が、その裏にはストーリィが書かれていた。
表面の絵は発売当時の「1962年」という事を考えても決して上手い絵ではなく、どこか泥臭く、荒々しい絵柄であった。


しかし、その荒々しい筆のタッチが異様な迫力を生む事となる。




さらに、決して上品とは言えないストーリィにもインパクトがあった。
これは子供たちに受けた。
「良い子のためのSF絵物語」では無い事に、その真逆の物語に子供たちは皆熱狂したのだ。


侵略者である火星人は「必要以上に」醜悪で、脳味噌剥き出しのおぞましい姿をしていた。
彼らに使役されるのは巨大な蜘蛛やカマキリ、蟻等の怪物である。
地球人たちは、これも「必要以上に」容赦なく残虐に殺戮され蹂躙されていった。


子供向けのガムの景品としては、これらの描写はあまりにも「強烈」過ぎた。




子供には人気を博したが、両親、大人には不快と不評を買う事となった。
それはPTAの不買運動へと続く。


かくして、この「MARS ATTACKS」のカードは「残酷なカード」として発禁の憂き目に遇う事となった。


左は火星人の「冷凍光線」で凍りつく人々の絵である。

火星人の円盤からは「あれやこれや」様々な殺人光線が発射され、地球人たちを「あれやこれや」といたぶるのである。




この絵は襲いかかる巨大蟻の怪物である。
アメリカの軍隊が必死に火炎放射器で応戦している。
これは古典SF映画の傑作「放射能x(1953)」のオマージュ、というか「モロ、パクり」である。


下の絵はニューヨークの地下鉄を襲う百足の超巨大昆虫である。
よく見てみると、慌てて車内から線路に飛び出した乗客の一人が、レールに流れる高圧電流に触れ、「バリバリバリッ」と感電している様子が描かれている。

芸コマで実に素晴らしい。


これは火星人の「破壊光線」を浴び、照射された胴体が「白骨化」してしまう、凄まじいイラストである。
衝撃的で恐ろしく、大人なら誰でも眉を顰め、子供なら喝采を送りそうなシーンである。

これはティム・バートンの映画でも映像化されていた。
バートンの映画は火星人の造形は勿論、このカードの物語にかなり忠実だった事が判る。

これも映画の冒頭に登場したシーンだ。


生きたまま火を付けられ、暴走する牛の群れである。
「走るバーベキュー」だ。

これは、少年の飼い犬を何の躊躇いもなく攻撃する火星人である。
カードのタイトルを見ると「DESTROYING A DOG」とある。
「やめてーっ」と叫ぶ少年の声が聞こえてきそうだ。

「MARS ATTACKS」が残酷なSF絵物語だとは言え、これを見た当時の子供たちは皆ビックリした事であろう。
今も昔も、娯楽作品で子供や動物をいたぶる事は「禁じ手」であるからだ。

映画にもこれをインスパイアした、大統領の飼い犬が殺されるシーンがあった。


火星人の「縮小光線」を浴び、みるみる縮んでゆく兵士の図。

映画では、「ロッド・スタイガー」演じる「デッカー将軍」が縮小され、あっさり「プチ」と踏み潰されてしまっていた。




火星人の乗る「巨大ロボット」である。
これも映画に登場した。


映画が公開された1996年頃、「TRENDMASTERS社」から、「空飛ぶ円盤」「大使」「指揮官」「兵士」「巨大ロボット」「光線銃」等々のいろいろなフィギュア・おもちゃが発売されていた。
おもちゃ好きの俺はそれを全て買っていた。
が、それらは「映画版」「Topps版(アメコミ版)」の2種類があり、全種コンプリートを目差していた俺は、全部を2タイプづつ買う事になってしまった。
「トレンドマスターはん・・・。ど偉い事、してくらはりましたなぁ・・・」と深く呪ったモノである。








一時期、「SCREAMIN'」という所からレジン製ガレージキットも発売されていた。
輸入専門のおもちゃ屋で、時々見かけた。
それは良く出来た「残酷でグロい」ジオラマで、とても欲しかったのだが、値段が「1万円以上」と半端なく高く、泣く泣く断念したモノであった。


さて。
このカードのラストは映画とは違っている。
映画だと、最後に火星人を破壊する「レコード」を偶然発見、彼らを駆除する事に成功する。
ウェルズの火星人が「風邪」に弱かった様に、この火星人は「歌」に弱かったのだ。


カードの方のラストはこうだ。


一方的に負け続けていた地球側が、ある時アメリカ軍が中心となり、突如大反撃を開始するのである。
「何故反撃が出来たのか?」等の理由は無く、敢えて理由を付けるとすれば単に「ブチ切れた」からであろう。
アメリカ軍の快進撃は続き、果ては「宇宙軍」を結成しロケットに乗り地球を飛び出して行く。


決戦の最後の舞台はすでに地球ではない。
火星である。
宇宙軍は火星人の「主都」を破壊し・・・、
ついには・・・。
「火星」を木っ端微塵に吹き飛ばしてしまうのであった!!


「60年代」が「好戦的」な時代であったとは言え、急転直下の「アメリカ万歳!」のラストに・・・、
「こ、こりゃ最後まで『ブッ飛んで』るなあ」と思うのであった。




1月の日記へ                INDEXへ                3月の日記へ


トップページへ

ご意見、ご感想はこちらまで