SYU'S WORKSHOP
モリアーティのプテラノドン製作記
(前編)

(1/5)


宮崎駿の「名探偵ホームズ」は、1981年から82年にかけて
日本とイタリアとの合作で制作が進められていた
テレビシリーズのアニメーションでした。
しかし、途中で制作は中断、
結局、4話のみが映像化され、
2話が絵コンテと原画のまま残ってしまったのです。
(ちなみに、それは、
『小さな依頼人』『青い紅玉』『海底の財宝』『ソベリン金貨の行方』
の4本と
『ミセス・ハドソン人質事件』『ドーバーの白い崖』
の2本であります)

後日、残りの2話も無事に映像化され、
さらに1984〜85年には
全26話のテレビシリーズも実現し放送されたのですが、
もはや宮崎駿はタッチしていないTVアニメとなっていたのでした。
もしも。
当初の予定通りに宮崎駿監督による
全26話の「名探偵ホームズ」が作られていたとしたら・・・。
あの「未来少年コナン」に次ぐ
大傑作TVアニメシリーズになっていた事でしょう。
いやいや、アニメとしての動きの素晴らしさと、
緻密で美しい背景の描き込みから言えば、
「未来少年コナン」よりも「名探偵ホームズ」の方が
勝っていたほどなのです。


さて。

その「名探偵ホームズ」に登場するホームズ永遠のライバルが
悪の天才「モリアーティ教授」であります。
今回は教授の愛機、
太古の「プテラノドン」を模した異様なフォルムの
飛行機をフルスクラッチしてみる事にいたしました。

以下、その製作記(前編)なのであります。




今回、私にしては珍しく、設計図をまず最初に書いてみました。

アニメに登場するメカ物は、
そのシーンによって形状がマチマチです。
もっとも、
最近のアニメではそんな事はあまりありません。
何故なら、最初から3Dで設計し、
CG等で再現してしまうからです。
で、私は「それはツマラナイ事だ」とも思うのです。

この設計図書きは、
資料本や実際の映像を見ながら
「いろいろある中でも、一番、格好良い形」
「整合性があり、もっともらしい形」
を見つけ出していく作業でもあります。



設計図が出来上がったら、
それを「立体物」に移していきます。

今回は「バルサ材」を使ってみる事にしました。
バルサなんてモノを切るのは小学生以来なので、
ちょっとドキドキです。
設計図と設計図から起こした「プラ板ゲージ」を
参照しながら切っていきます。

使用したのは
断面「2センチ×8センチ」長さ「90センチ」のバルサ材で、
「もっと大きいバルサを買えば良かった」と気がついた時には、
もはや「後の祭り」なのであります。

胴体は「積層」して切り出しました。



これはまるで鳥です。
何だか「私は今、野鳥のデコイを作っている」という錯覚に陥りますが、
私が作ろうとしているのは「飛行機」なのです。
「モリアーティ教授」の「悪役航空機メカ」なのです。
大丈夫でしょうか?



切り出したバルサのブロックには、
各種ラインを引いておきます。
この後のバルサを削る作業のために、
「この線以上、削ったら駄目!」とか
「ここから先、段々なだらかに」とかを示しておくのです。



バルサを削った事のある方ならお分かりでしょうが、
作業中とても微細な削りカスが大量に発生します。
空気中に漂うほど細かい削りカスなのです。

と言うワケで、
私は部屋中に削りカスが散らばらない様、
机の上に大きな「ビニール袋」を広げ、
その袋の中で作業を進めました。

と言うか、その前に、
部屋の中でバルサ削るな、って話ですよね。



まず「100番」の紙やすりで荒削りした後、
「180番」「320番」「400番」と紙やすりの目を細かくしつつ、
段々と形状を出していきました。



こうして、
大まかに出来上がったのが、この形であります。
何だかとっても「可愛い」のですが、
こんな事で良いのでしょうか?
クレーンゲームの景品にありそうなフォルムです・・・。



などと不安を感じつつも、
設計図や「プラ板ゲージ」と見比べながら、
細かいところを、さらに削っていきました。



次は「バルサの表面処理」をしなければなりません。
これは「目止め」と「硬化」を目的とするモノです。

瞬間接着剤と100円ショップで買った「マネキュア透明コート」を
バルサの端切れに塗ってテストしてみました。

後者でOKなら「安くすむ」と思ったからですが、
「透明コート」の被膜はあまり硬くならずに駄目なのでした。



しょうがありません。
大型容器入りの瞬間接着剤を買ってきて、
バルサに染み込ませる様に少しずつ塗っていきました。

この時、
いかにも体に悪そうな「気化ガス」と臭いが発生しますので、
マスクをして、さらに眼には透明ゴーグルを填めて作業します。



この手の作業をする際に私が愛用しているのが、
100円ショップで売っている「透明ポリ袋」です。
これを作業する手に填めておくのです。
そうすると、
瞬間接着剤が「たらぁーり」と手元に流れてきた時にも、
「指とバルサが哀しい一体化」しなくて済むのです。



バルサの表面を「カチンコチン」に硬化させた後、
再び紙やすりで奇麗に整形していきます。

ちなみに、
表面に書いてあった「あたり線」が、
瞬間接着剤で滲んでしまい、
ちょっとトホホなのであります。



つづきます。

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