SYU'S WORKSHOP
モリアーティの潜航艇製作記
(前編A)
(1/6)
宮崎駿のTVアニメ「名探偵ホームズ」。
彼が演出・コンテを切った6話はどれも面白いのですが、
その中でも「海底の財宝」は、
従来のTVアニメの水準を遙かに越えた大傑作なのであります。
海底の財宝を発見する異形の潜水具の男、
テムズ河周辺で頻発する艦船部品の盗難事件、
事が英国海軍が極秘開発中の潜航艇
「ゴブリン1世」の機関部の盗難に及んで、
ホームズへと調査依頼が舞い込みます。
ホームズは事件発生場所から犯人のアジトを特定。
現場に「スコットランド・ヤード」の「レストレイド警部」が
警官たちを引き連れて急行しますが、時既に遅し。
盗品で造られた謎の潜航艇はテムズ河へと出航してしまいます。
待ち受けるは英国海軍の最新鋭「巨大多砲塔戦艦」。
(これは、かのーさんという方が素晴らしいフルスクラッチをされております。
→かのーさんの模型部屋)
かくしてアニメ、いや「漫画映画」史上、
もっとも馬鹿馬鹿しい「テムズ河海戦」が繰り広げられるのでありました。
作画や動画、背景美術の質の高さはもちろん、
緻密かつスピーディに展開する本作品は、
おそらくもう二度と作られる事のない豪華なTVアニメ作品だと思います。
今回は、その話に登場する「モリアーティの潜航艇」を
フルスクラッチする事にしたのであります。
以前作った「モリアーティのプテラノドン」に合わせ
サイズは1/28で作る事にし、簡単な設計図を書きました。
ところが初っ端から困った事になりました。
主船体に考えていた「6,5cm径のプラパイプ」がないのです。
世の中に存在していないのです。
「アクリル」や「塩ビ」「金属製」のパイプはあるのですが、
これは使用したくありません。
何故なら、加工や接着にいつものノウハウが使えないからです。
「6,5cm径」の「プラパイプ」が欲しいのです。
一時は別のモノをフルスクラッチしようかとも考えましたが、
それにはそれで難題があったのでした。
(どなたか1/72ぐらいのプロペラを5千個ぐらい入手する方法を
ご存じないでしょうか?)
1ヶ月ぐらい悩んだ挙げ句、
「6,5cm径のプラパイプ」自体作る事にしたのでした。
目差す「6,5cm径」に近い缶コーヒーを買ってきて、
ゴクゴクゴクと飲み干して中を洗って乾燥させた後、
その上下をカットします。
その中に「0,5ミリプラ板」を丸めて入れ、
時間をかけて「ゆっくりと癖を付けて」いく事にしました。
最終的に「1,5ミリ厚」にしたかったので
三重巻き(つまり0,5×3)にする必要があり、
いつもの「タミヤのB4プラバン」では長さが足りず、
東急ハンズで見つけてきた「SAIWADA PLATEC」の
「ペット-G」という大きなプラ板(360×670)をカットして使いました。
この状態で1ヶ月ぐらい放置し
「一緒にお風呂に入ったり」して、
ゆっくりと時間をかけて「癖」を付けていきました。
この時、
功を焦って「鍋でグラグラ煮たり」してはいけません。
何故なら、
こうなっちゃうからであります。
失敗です。
また、一からやり直しました…。
プラ板に癖を付けている間、違う作業を進めます。
「1ミリプラ板」をカットし、
それを「積層」して箱状のモノを作っていきます。
今回のフルスクラッチで新たに買った新兵器、
「WAVE」の「ヤスリほう台2」です。
例によってふざけた名前ですが、
なかなかの優れモノ、
プラ板の直角(や45度角)を奇麗に出してくれるのでした。
何故今までこんな便利なモノを持っていなかったのか
不思議なほどなのであります。
こうして「計器類」が出来上がりました。
これは後にシリコンで型取り、キャストで複製する事にします。
胴体の「パイプ形状」に拘ったのも、
今回のフルスクラッチでは
「潜航艇の内部メカ」も作ろうと考えているからなのでした。
つづきます。
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