SYU'S WORKSHOP
モリアーティの潜航艇製作記
(後編B)

(3/3)




大きく出窓の開いた「艦橋」と、
リベットだらけの「船体」を持つ本潜航艇は、
いかにも19世紀の潜水艦っぽいのであります。



トップビュー、斜め後ろから。



トップビュー、斜め前から。



船体後部から内部を「艦首」方向を見た図。

「潜望鏡」「舵輪」の向こうに「魚雷発射管」が見えます。



船体前部から「艦尾」方向を見た図。

「舵輪」「潜望鏡」越しに「ボイラー」が見えます。



本来「SF映画的」(映像的)には、
このぐらいアンダーな写真の方が格好良いのですが・・・。

潜水艦の艦内というのは実に特殊な状況であります。
人間が操縦する全てのメカは、
皆その「機械の内部に住む」という状態です。
それは「車」でも「船」でも「飛行機」でも「戦車」でも、
「SFロボット」でも同じです。

が、



「潜水艦」の場合は少し違います。

周囲に張り巡らされた「パイプ」「コード」「バルブ」「計器」等により、
実に直裁的な意味で
機械という巨大な生物の「内臓に棲む」事となるのです。

これは魅力的な、潜水艦ならではの「シズル」なのであります。



本潜航艇は「艦首マニピュレーター」の存在により、
「宮崎駿」らしい立派な「宮崎メカ」になったと思います。

ちなみに上の写真。
後から考えてみると何かに似ています。
そうキューブリックの「2001年 宇宙の旅」の
「探査ポッド」ですね!



そこに「オプション」として「探査灯」を作る事にしました。
アニメにない私の妄想設定であります。

「3Vムギ球」と「プラパイプ」を組み合わせ、



こんなカンジに仕上げていきました。



点灯してみました。

と言うワケで、「なんちゃって特撮」してみました。



劇中、この小さな「モリアーティの潜航艇」がテムズ河で、
大英帝国海軍の「超巨大多砲塔戦艦」を
たった一本の魚雷で撃沈してしまうシーンがあります。
実に馬鹿らしくも圧巻の場面です。

宮崎駿は昔からこの手の
「ちっちゃいヤツがでっかいヤツに戦いを挑み、馬鹿馬鹿しくも勝っちゃう」
というコンセプトが大好きでした。



「超巨大重爆撃機ギガント」をたった二人の仲間で撃墜した
「未来少年コナン」や、
その自己リメイクである「新ルパン三世」の「死の翼アルバトロス」。
「トルメキア」の「重輸送機バカガラス」の戦列に
一人乗りの「ペジテ」の「ガンシップ」で戦いを挑む「風の谷のナウシカ」等。

大昔「手塚治虫批判」を繰り返していた宮崎駿が、
「手塚さんの『太平洋Xポイント』だったらアニメ化しても面白いかも」と
雑誌のインタビューで応えていた事がありましたが、
それも「小さな爆弾一つで大きな戦艦を撃沈する話」
なのでありました。

宜なるかな、なのであります。



なんて事を言いつつ、
これにて「モリアーティの潜航艇製作記」、
全て完結なのであります。


長い期間続いた製作記と、
膨大な文章を最後まで読んで下さった
皆様に本当に感謝いたします。
ありがとうございました。


最後に。

アニメ「名探偵ホームズ」で
素晴らしく魅力的な声の芝居をされ、
先日突然急逝された(2008年3月3日)「広川太一郎さん」に
本稿を僭越ながら捧げさせて頂くのであります。



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