私は「シャーロック・ホームズ」が大好きなのでした。 突然ですが。 子供の頃に子供向けの「ホームズ物語」は読んでいたのですが、その後、大人になるまでずっとシャーロック・ホームズの事は忘れていて、大人になってある時「ミステリー小説」にハマったときに、ふと「ここはやはり推理小説の原点であるシャーロック・ホームズをきちんと押さえておかなければ」と思い短期間で全話を読破、改めて熱烈なホームズ・ファンになったのでした。 コナン・ドイルによるホームズ物語は全部で「60作」あります。 ホームズ物語が最初に世に出たのは1887年の「緋色の研究」、そして最後に発表されたのが1927年の「ショスコム荘」ですから、40年間にわたって、ドイルはホームズ物を書いてきた事になります。 1887年というと日本では「明治20年」にあたり、今から「114年前」という事になります。そんな1世紀以上も前に書かれた小説が今なお、多くの人の心を掴んで離さないのは一体どういう事なのでしょうか? 全「60作」の内、長編が「4作」あり、残りの「56作」が短編であり、このコナン・ドイルが書いた全「60作」を、「シャーロキアン(シャーロック・ホームズを愛し、ホームズ物語を研究する人々の総称)」たちは、「聖典」だの「正典」(canon)と呼んで、いまだに繰り返し繰り返し読んでいるのでした。 ちなみに長編とは「緋色の研究」「四つの署名」「バスカヴィル家の犬」そして「恐怖の谷」の4編です。全60作を読んだ事がない人でも、この4作は子供の頃に読んだ事がある方も多いのではないでしょうか。 一概にホームズ物語はその相棒である「ワトスン博士」がホームズの活躍を記録し発表した物、と思われがちですが、その全「60作」の中に記述者がワトスンじゃない話が「4編」あります。 「白面の兵士」と「獅子のたてがみ」の2作がホームズの筆によるもので、「マザリンの宝石」と「最後の挨拶」の2作がワトスンでもホームズでもない第三者によって書かれた物となっています。 へそ曲がりで天の邪鬼な「シャーロキアン」の中には、(実際、コナン・ドイルの原作である事は間違いないと言うのに関わらず!)「これは正典とは認められない!偽物だっ!」という人までいたりして、いやあ、なかなか奥が深いのでした。 現在ホームズというと、みんなが思い浮かべるのは、「鹿狩帽(ディアストーカー)」を被り「インバネスコート」を着て、片手に「瓢箪パイプ(キャラバッシュ)」を持っている、という姿だと思います。 が、実はこれ、全部ドイルの原作には登場していない物で、挿し絵画家や舞台俳優たちによって勝手に作り出されたホームズ像なのでした。 ホームズは一度「最後の事件(1891年4月)(発表は1893年12月)」で宿敵「モリアーティ教授」とスイスの「ライヘンバッハの滝」で格闘を演じ、死亡します。 が、その3年後、「空家の冒険(1894年4月)(発表は1903年10月)」で再び復活をとげる事になります。 当時、ホームズの人気に嫉妬した(?)コナン・ドイルが「もうホームズ物書くのは嫌じゃーっ!」と殺してしまったのですが、その後、多くの愛読者、そして出版社の圧力によって「渋々」復活させることになったのでした。(ここらへん、手塚治虫のアトムへの嫉妬に似ていますね) このホームズが失踪していた「1891年から1894年」の3年間を「大失踪(グレイト・ヒアトウス)」と呼び、その謎の3年間に関しては面白いエピソードがあるのですが・・・。 それはまた次の機会にご紹介したいと思います。 シャーロキアンの研究によって(原作には具体的なその記述はないのですが)、ホームズの誕生日は「1854年1月6日」という事になっています。 もうすぐホームズも「148歳」を迎えることになります。 今、何処で何をやっているのでしょうか? そう、シャーロキアン達はいまだにホームズが生きていると信じているのです。 「だって、亡くなったって噂は聞かないしなー」なのでした。 「ありそうもないことだ」「ほかのあらゆる偶然性がだめな場合には、どんなに起こりそうもないものでも、残ったものが真実だという古い原理を頼りにしなければならない」(ブルース・パーティントン計画書)より。 (追加補記) 最近読んだ本に(というか大昔買ってあった本を再読したら)、「コナン・ドイル自身が書いたホームズ物語が全60作以外に存在する」と書いてありました。 全60作の「正典」に対して「外典」というべきドイル自身の筆による短編や戯曲があると言うのです。 すでに新潮文庫の「ドイル傑作集1」に、「消えた臨急」「時計だらけの男」という作品が収録されており、さらにドイルの母校「エディンバラ大学」の交友誌に「野外バザー」という作品を、また、当時造られたドールハウス用の本棚にある「ミニチュア本」の一つとして「ワトスンの推理法修業」が書かれている、という事なのでありました。 これらはドイル自身による「ホームズ物語のパロディ」という「お遊び」的な作品らしいのですが、それでも、ドイル自身の作品というのが見逃せないところです。 (1990年に新潮社から発行された『昭和の名探偵』の中の深町眞理子氏の解説による。この本には『野外バザー』と『ワトスンの推理法修業』が収録されている)。 うーん、まったくもって不覚でありました。 |
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