私は昔から本や漫画、テレビや映画などに登場する「名台詞」を日記に書き留めておくようにしていました。 中には「名台詞」じゃないけども、当時私が本、テレビ、ネット等で気になった「雑学」も入っています。 と言うワケで、今回も昔の日記からそれらを抜き出してご紹介するのであります。 (今回は2007年頃の日記からの抜粋です) コメントはその当時のモノ。 ※印付きのコメントは、今の私の補足説明です。 またまた前後の脈略無くズラズラズラと並べてみました。 「それじゃなおさら分からなくなる。その気にもしていない服部氏を倒すために、どうしてGHQなんかに・・・?」 「弥勒じゃよ」 「え?」 「弥勒が現れたのじゃ」 山田正紀「弥勒戦争」より。 独覚一族の長老「薬師寺」と青年「結城弦」の会話。 ※伝奇モノを得意とする山田正紀は「半村良」の廉価普及版というか「石川賢」のネタ元というか・・・ブツブツ・・・私の大好きなSF作家であります。 日本SFの中では弥勒が、よく「悪者」になります。本作もその一つ。 「弥勒が現れたのじゃ」のセリフが、伝奇SF好きには堪らないのであります。 「飛行機のおかげだ」 「違う。美女が野獣を殺したんだ」 ピーター・ジャクソン「キング・コング(2005)」より。 「エンパイア・ステート・ビル」から墜落死したコングを、取り囲んだ記者たちの会話。 ※19世紀の「リュミエール兄弟」の頃から、「映画の本質」は「見せ物」にありました。 その意味でも、「キング・コング」は映画の正統的大スターと言えるでしょう。 上記のセリフは2005年版から取りましたが、すでにオリジナル版(1933)にあるのでした。 結婚するなら三つの愛がある。 出会い、恋愛、そして見合い、だ。 日本テレビ「演歌の女王」より。 ※「演歌の女王」は2005年に大ヒットした「天海祐希」主演の「教室の女王」の柳の下を狙ったドラマでした。 上記の基本は、結婚式スピーチでの「結婚生活には三つの袋が大切です。お袋、給料袋、そして堪忍袋です」でありましょう。 「君が何と言ったって僕の決心は変わらないよ。今度ロンドンへ帰ったら僕はエミリアに結婚を申し込むんだ」 シャーロック・ホームズは親愛の情を込めて私の肩に手を置いた。 「それでいいさ。結婚して彼女を養ってやりたまえ。近いうちに僕は田舎へ帰って養蜂をやろうと思う。 僕らのうちで誰が一番痛い針に刺されることになるだろうね?」 リチャード・L・グリーン編「知られざる事件」。 スチュアート・パーマー「狙われた男」より。 ※コナン・ドイルの正典(原作)も名台詞の宝庫でした。 それはパスティーシュ(贋作)やパロディにも踏襲されています。 上記は、正典で描かれた「ワトスンの結婚」や「ホームズの養蜂」を踏まえたセリフなのであります。 科学の見地からすれば、人間の全歴史は破壊と移動のあやなす一連の集合的運動である。 チェスタトン「ブラウン神父の知恵」。 「グラス氏の失踪」より。 犯罪学者「オリオン・フッド博士」のセリフ。 ※「集合的運動」とは「とどのつまり」を意味する社会学用語です。 全てを破壊し対象物が無くなると別場所に移動する・・・。 こ、これは石森章太郎の「幻魔」じゃないですか! 「あの手紙を書いた男はなにもかも知っていたのだ」 神父はおちつきはらって答えた。 「知らなきゃ、そんなに完全にまちがえられるはずがない。 あらゆる点でまちがえようとするには、おそろしく多くのことを知っていなければならんのだ」 チェスタトン「ブラウン神父の知恵」。 「ヒルシェ博士の決闘」より。 ブラウン神父のセリフ。 ※「間違えるためには、まず知っていなければならない」。 こういうロジックと巡り会うため、私はミステリーを愛読しているのでした。 「なにかをぴたりと指しているステッキには一つ不便な点がある」、ブラウン神父は言った。 「それはなにか。ステッキの反対のはしが正反対の方向を指すということだ」 チェスタトン「ブラウン神父の知恵」。 「器械のあやまち」より。 ※表裏一体とはよく言ったものです。 「光と影」が実は同じな様に、「正解と間違い」も大した違いはないのかも知れません。 「自殺ならひとり、人殺しにはふたりで充分ですが、強請となると最小限度三人は必要です」 「どうして?」と神父は穏やかにきいた。 「わかりきったことじゃないですか」とフランボウは声を大きくして言った。 「秘密をあばかれる者と、あばくぞとおどかす者とその秘密を聞かされてびっくりする者すくなくともひとり」 神父は長いあいだ考えこんでいたようだったが、やがて、 「あんたは論理の過程をひとつ跳びこしている。 たしかに論理的には三人必要だが、実際にはふたりで用がたりる」 「というと?」 「脅迫者が自分自身に密告してやると言って、被害者をおどすという場合だってあるだろう」と神父は低い声で言った。 チェスタトン「ブラウン神父の知恵」。 「シーザーの顔」より。 ※ミステリー小説は「登場人物を水増し読者を騙す話」とも言えるでしょう。 「加害者」と「被害者」が一緒だったり、「加害者」と「探偵」が一緒だったり。 中には「加害者」と「被害者」と「探偵」と「読者」全部一緒なのが、あったりなかったり・・・。 神父は、実在の多くの探偵や推理小説中の探偵たちとはひとつの些細な点で違っていた。 自分によくわかっていることをわからない振りをして見せることが神父にはなかったのである。 チェスタトン「ブラウン神父の知恵」。 「ジョン・ブルノワの珍犯罪」より。 ※ミステリーの探偵は分かった事を「分かっていないフリ」をし、「公表するのは時期尚早」と勿体ぶった挙げ句、第二第三の殺人を誘発するモノなのであります。 「中辛」なんていうのは、言ってみれば辛みに対する一種の階層化って言うか、階級づけして管理しようって発想なわけでしょ。 押井守「立喰師、かく語りき」より。 ※「全てが階級付けられ管理されている」は、押井守の永遠の「中二病」なのであります。 そしてこれが彼の愛すべき「作家性」なのです。 新しい素晴らしいものとは、多くの場合、何かを失うという不幸を乗り越えたとき生まれるのだ。 有馬哲夫「ディズニーとライバルたち」より。 昔、「ウォルト・ディズニー」が「ラッキーうさぎのオズワルド」という仕事を取り上げられた時、その技術の蓄積と鬱憤、不屈の闘志を「ミッキー・マウス」誕生に注いだ。 ※フライシャーからディズニー、そしてハンナ・バーベラやワーナー等々。 「ディズニーとライバルたち」は、20年代アメリカの「アニメ創世記」を描いた面白いドキュメンタリーでした。 こういった(映画評の)ページでは★印やアルファベットで映画をランクづけするのが習慣だが、それにしたがえば「白雪姫」はAが6つ★が6つ、ベルが8つ満月が12、ハレー彗星が3つか4つ付くだろう。 有馬哲夫「ディズニーとライバルたち」より。 ※「映画評」に★やアルファベットに、満月やハレー彗星が付くってのが豪気なのであります。 当時ディズニーの「白雪姫(1937)」は多くの映画人に絶賛されました。 現在観ると「そこまで凄いか?」とも思うのですが、ま、それはその時代に生きた者にしか判らないかも知れませんね。 最後の作品のことを白鳥の歌というが、ディズニーの白鳥の歌は「ジャングル・ブック」と言うより「メリー・ポピンズ」であろう。 有馬哲夫「ディズニーとライバルたち」より。 ※最後の傑作を「白鳥の歌」と呼ぶのは始めて知りました。 「メリー・ポピンズ(1964)」は私も大好きで、全ての映画「ベスト20」に入る傑作だと思います。 芭蕉は「いひおほせて何がある」といったそうだ。 いい尽くしたところで何になる。俳句に限らない。そうなんだよね、と頷くしかない。論文なら説明し尽くすことが必要だ。 しかし、例えば小説の価値にはそこにはない。 北村薫「六の宮の姫君」より。 ※北村薫はミステリー作家です。 落語家「春桜亭円紫(しゅんおうていえんし)」と女子大学生 「私」の連作短編「円紫さんシリーズ」は、私の大好きなミステリーであります。 特に、「私パート」が素敵な「青春小説」となっているのが素晴らしいのです。 古代中国の学者たちは色彩と季節の組み合わせで、年、方角、星回りなどのさまざまなものを表現した。 「青春」という表現はあまりにも有名だが、この後には「朱夏」「白秋」「玄冬」という語が続く。 玄冬の「玄」は黒色の意味である。 中島らも「恋は底ぢから」より。 ※エヴァンゲリオンの「碇ゲンドウ」は「玄冬(げんとう)」から来ているのかも知れません。 また、「玄冬」は2ちゃんねる語(全角漢字二つを使い一つの漢字を表現)「終」にも見えるのが、とても興味深いのであります。 イギリスのジョークに、結婚前で処女のまま死んだという女性の墓碑銘に、「開封せぬまま返送せり」という郵便用語を記したものがあった。 この場合、差出人は神であり、送られてきたものを受取人である人間が、開封せずに送り返したのである。 別役実「思いちがい辞典」より。 別役実は劇作家です。 ※「艶笑ジョーク」は古今東西いろいろありますが、上記の話はそこに「ブラックジョーク」が加わり、そして何処か「箴言」っぽい臭いもするのであります。うん。 味覚における「甘い」や「酸っぱい」や「塩っぱい」は、すべて化学反応であるのに比例して、「辛い」というのは物理反応なのである。 別所実「思いちがい辞典」より。 ※「辛い」と「痛い」は同じだとは、よく聞きます。 昔、会社近くに「ペペ」というスパイシー料理専門店がありました。 そこは「20倍カレー」が名物でした。 しかしそれを注文すると、髭のマスターが「困ったなあ」という顔をし「止めた方が良いですよ」と言うのでした。 私は・・・厨房の奥でカレーに入れる特別スパイス瓶のラベルに「髑髏マーク」が描かれていた事を・・・「昨日の事の様に」思い出すのであります。 「ビームを止めるのは返って危険かも知れないわ」 「艦長の脳に侵入しているのを放ってはおけない!」 「人が刺された時、すぐナイフを引き抜くのが最善の処置とは限らないわ。そのままにしておく方がいい時もあるのよ」 スタートレック・ネクストジェネレーション。 第75話「浮遊機械都市ボーグ(後編)」より。 「ドクター・クラッシャー」と副長「ライカー」の会話。 ※「スタートレック」では、艦長、副長はいつでも無茶で冒険心に溢れ、ドクターはいつでも慎重で冷静なのであります。 時には「慎重過ぎて行動しない艦長と、無茶で無鉄砲なドクター」なスタトレを観てみたい様な気もしますが・・・、それじゃドラマにならないかー。 【読者への最後の挑戦】 これまでに死んだことになっている人物や、既に一度、犯人ではないと言われている人物が犯人である可能性もある。(中略)アンフェアなことはしていないので(後略)。 清涼院流水「ジョーカー 下(涼)」より。 ※これを読んで思わず壁に「ブ厚い」単行本を投げつけました。 「死んだ人が犯人」だったら、立派に「アンフェア」じゃないかっ! それ以来「清涼院流水」は読んでいないのであります。 弟子「先生、処女を貴重だと思う男は多いです」 孔子「その通りだ」 弟子「しかし逆に童貞は女に気持ち悪がられます」 孔子「確かに」 弟子「おかしいじゃないですか。何故このような意識の違いが生まれるのですか」 孔子「それは一度も侵入を許していない砦は頼もしく、一度も侵入に成功しない兵士は頼りないからだ」 2ちゃんねる。 ※この話は近年の創作なのでしょう。 違うかな? ♪ピンポンパンポーン♪ 今日も新幹線をご利用頂きまして、ありがとうございます。 この電車は「ひかり109号 新大阪行き」です。なお、この電車には爆弾が仕掛けられています。 Ladies and Gentleman・・・、 2ちゃんねる。 ※日常に非日常が突然侵入して来るのが面白いのです。 昔聴いた「劇団健康(ナイロン100℃の前身)」のCD「出鱈目的」の、「臨時ニュースの途中ですが」というフレーズを思い出します。 中野「おいチビども。ジュース買って来いや」 高円寺「はい、ただいま!」 阿佐ヶ谷「な、なんでボクまで・・・」 中野「ああ!?貴様、土日は通過されるくせに調子乗ってんじゃねーぞ、ゴルァ!」 阿佐ヶ谷「わ、わかったよ・・・買ってくるよ・・・」 荻窪「中野さん、ちょっと可哀相じゃないスかね?」 中野「おう、荻窪か。いいんだよ。あいつらはあれくらいで丁度いいんだ。大体お前だって西荻窪の野郎を子分にしてんだろ?」 荻窪「ははは・・・まあそうですね。おい西荻窪、中野さんにちゃんと挨拶しろ!」 西荻窪「オッス!中野さん、お久しぶりです!」 中野「おうよ。荻窪の面倒ちゃんと見てやれよ。お?吉祥寺が来たぜ」 吉祥寺「よお。元気してっか」 中野「ったりめーだ。お前こそ元気そうで何よりだぜ」 荻窪「吉祥寺の兄貴はいつも格好いッスよね。一匹狼で憧れますぜ」 西荻窪「同じ通勤快速組なのに、この違いはなんなんでしょうね」 荻窪「うるせーよ、土日通過野郎っ!」 西荻窪「すいません・・・」 吉祥寺「ちょっ、お前ら静かに!あそこにいるの、もしかして」 中野「うわ、やべ!こっち来るぞ!」 新宿「ごちゃごちゃ、うるせーな貴様ら。下っ端どもが調子乗ってんじゃねーぞ!」 御茶ノ水「全くだぜ。お前らなんざ俺たちに比べれば田舎もいいとこなんだよ」 荻窪「は、はい・・・。申し訳ありませんでした・・・」 中野「この通り、なんでも致しますから、お許し下さい・・・」 新宿「ああ?そだな。じゃ線路8本減らせ」 中野「えっ?そ、それは・・・」 東京「おいおい。そんぐらいにしといてやれよ。泣きそうじゃんか、こいつら」 新宿「あっ、東京様!わかりましたっ!」 御茶ノ水「東京様に感謝するんだな田舎者共が」 東京「相変わらずだな、お前らは。ま、いっや。今日も飲みにいくぞ」 新宿「は、はいっ!お供致しますっ!!」 2ちゃんねる。 中央線の「ヒエラルキー」。 ※これも良く出来た話なので、昔からある有名なヤツなんでしょう。 この面白さは、東京「中央線居住者」にしか判らないかも知れませんね。私は大笑いしました。 少なく読んで多く吸収するのがよい読書ですから、くだらない本がたくさんあっていい本が少ないというのは当然だと思います。 別冊幻想文学。 「渋澤龍彦スペシャル シブサワ・クロニクル」より。 ※「渋澤龍彦」と「種村季弘」は私が中学生時代から大好きな作家でした。 中学生の時に「渋澤と種村」好きがどんな大人になるかと言うと、私みたいな大人になっちゃうのでした・・・。 ミステリが「プロット」を、SFが「センス・オブ・ワンダー」を生命とするように、ホラー小説の本質とは竜頭徹尾「「雰囲気」であらねばならないのである。 彼らは霧の中にボンヤリと浮かぶ人形こそ愛すれど、明らさまな化物には眉をひそめるのが常である。 幻想文学14。 風間賢二「モダン・ホラーの群小作家とキング」より。 ※昔ハマっていた「クトゥルー系テーブルトークRPG」では、この「雰囲気」を「フレイバー(薫り)」と呼んでいました。 また、映画監督の「ヒッチコック」も、「サスペンスで重要なのはフレイバーだ」と言っていました、っけ。 もっと多くの人がシルク・スクリーンを使って、しまいには私の絵が私の作品か他の人の作品か誰にもわからなくなったら素晴らしい。 誰もが機械であるべきだ。誰もが誰にでも似ているべきだ。 アンディ・ウォーホール。 ※アルビノ(白子)のウォーホールが「誰もが誰にでも似ているべきだ」と言ったのは分かります。 結果、彼は大量生産芸術「シルクスクリーン」を選んだのでしょう。 これは実にアメリカ的でもあります。 確かに、たかが蕎麦だ。銀二もそう呟いたに違いない。 そして、こうも付け加えたであろう。それは殆ど確信的推測と呼んでも差し支えない事実である。 たかが、蕎麦だ・・・。 押井守「立喰師列伝」より。 ※これを普通に書くと「たかが蕎麦だ。銀二はそう繰り返した」であります。 やっぱ押井守は面白いなあ。 あらゆる観点から観て妥当と思える結論が覆るなら、それは妥当であるか否かの地平を越えて独自の価値を帯びるであろうし、価値観なるものは実はその独自性に置いてさらに強化されるものでもある。 押井守「立喰師列伝」より。 ※もう何を言っているのか判らないのであります。 やっぱ押井守は、すごく面白いなあ。 人身売買よ!恐ろしいことですよ、これは。 「恋の門(2004)」より。 「恋乃」のセリフ。 ※私の好きな「羽生生純」の漫画を「松尾スズキ」が実写映画にしたのです。 「蒼木門(松田龍平)」と「毬藻田(松尾スズキ)」は漫画新人賞に応募し入賞した者が、「証恋乃(酒井若菜)」の恋人になれるという賭をします。 それを知った「恋乃」が怒って言う台詞で、これが実に「キュート」で可愛いのです。 私が「大好きな邦画名台詞ベスト50」を選ぶとすれば、絶対これを挙げるでしょう。 「今日アタシ、家出したんよ・・・。 東高受かったんじゃけど、なんもやる事もないし。 けど家出した事なんか、誰も気がつかんし」 「少女いうんは・・・、いっつも詰まらんもんよ・・・」 「がんばっていきまっしょい(1998)」より。 主人公「篠村悦子」と姉の会話。 ※「悦子」を演じたのはデビューしたての「田中麗奈」でした。 デビュー作が最高作なのは、「時をかける少女(1983)」の「原田知世」、「セーラー服と機関銃(1981)」の「薬師丸ひろ子」と同じなのであります。 夢が現実か、現実が夢か。なんて無意味な比べっこかしら。 残ったものが現実となるのではありませんこと? 菊地秀行「魔界医師メフィスト 夢盗人」より。 夢盗人の代理「祐亜」のセリフ。 ※「現世は夢 夜の夢こそまこと」と言ったのは「江戸川乱歩」。 「胡蝶の夢」を唱えたのが「荘子」。 「夢が邪悪なモノになったんやったら、それはそのお人に邪悪な願いがあるからや」と嘆いたのは「ビューティフル・ドリーマー」の「夢邪鬼」でした。 文明の死は常に溺死である。 文明の中心は西へと移動する。 島田荘司「水晶のピラミッド」より。 ※「文明の死は溺死」は、ノアの方舟に由来しています。 「文明の中心は西へ」は、メソポタミア→西洋→アメリカ→東洋を踏まえているのでしょう。 「モケケ=バラリバラ戦記」もまた、別の意味で変わった戦争物である。 この作品は、J・G・バラードが開発した濃縮小説(コンデンスト・ノベル)という形をとっているが、むしろ筋書き(シノプシス)小説とでも呼ぶべきであろう。 幸森軍也「筒井康隆『くたばれPTA』」の解説より。 ※私は「濃縮小説」なんてモノを初めて知りました。 アーヴィングの「ガープの世界(1978)」や、映画「フォレスト・ガンプ(1994)」も、この濃縮小説なのかな。 古今東西のあらゆる文学に描かれているものは、つきつめればただの二つのものである。 それは「恋愛」と「犯罪」ではないか。 これは、別の言葉でいえば「性」と「死」である。 島田荘司「江戸川乱歩ワンダーランド」より。 ※文学は突き詰めれば「恋愛と犯罪」「性と死」。 まっこと、達見であります。 この世界に存在するあらゆる小説は、大きく分類して二つの系譜に属しているという考え方に惹(ひ)かれ魅(ひ)かれる。 ひとつは私小説を頂上とする「リアリズムの小説」。 もうひとつは「神話の系譜」である。 島田荘司「本格ミステリー宣言」より。 ※物語は「リアリズムか神話か」。 これも達見なのであります。 始まりがあって展開があり、そして必然という名の終局に至る物語の形式は、ただそれが語られ享受される局面においてのみ、偉大であるに過ぎない。 押井守「御先祖様万々歳!」。 第4話「捲土重来」より。 「室戸文明」のセリフ。 ※また何を言っているのか判らない! それにしても押井守は「何々においてのみ」という言い回しが好きだなあ。わっはっはっは。 ドニー「なんでウサギの着ぐるみ着てんの?」 兎男フランク「何故、人間の着ぐるみを着ている?」 「ドニー・ダーコ(2001)」より。 ※本映画は突然、兎男から「28日と6時間と42分12秒で世界は終わる」と告げられた高校生の、数日間の奇妙な物語でした。 私は本作で、突然「キャサリン・ロス」が出て来たのに一番吃驚したのでした。 「キャパ。あなた方、乗組員はみんな死にます」 「ああ、知っているよ」 「サンシャイン2057(2007)」より。 コンピュータ・イカロスとキャパの会話。 ※「サンシャイン2057」は、衰弱した太陽を復活させようとするSF映画でした。 同じテーマで小松左京の「さよならジュピター(1984)」が過去にあり、両者の対処の違いが実に興味深いのであります。 弱った太陽を再生させようとする派と、弱った太陽を見捨てて新しい太陽を作ろうとする派・・・です。 セダスキー捜査官、釣りをやった事があるか? 餌は・・・必ず犠牲になる。 「ナショナル・トレジャー(2004)」より。 「ゲイツ」のセリフ。 ※「ニコラス・ケイジ」演ずる主人公が悪者「イアン」を誘き出す時に自虐的に言うセリフです。 自分に「餌」の自覚がある場合はまだ良いのですが、自分が「餌」である事を突然知り、愕然とするのであります。 1)相手が何かをしてくれたら返さないといけない(返報)。 2)ひとたび決定を下すとそれを守ろうとする(一貫)。 3)多くの人がやっていることに引きずられがちになる(社会性)。 4)好意を持ってしまうと、その人の言うことを鵜呑みにしやすい(好意)。 5)権威のある人に従ってしまう(権威)。 6)売り場に1つしかないテレビを買ってしまう(希少性)。 ロバート・B・チャルディーニ「影響力の武器」より。 セールスマンやカルトは、この6つの法則で人に取り入っていく。 ※「チャルディーニ」はアメリカの社会心理学者です。 上記の「6つの法則」はよく考えると「恋愛」と一緒ですねー。 簡単で美味しい牛丼の作り方。 1)ホカホカご飯を大量に用意します。 2)ご飯に見合う生卵を用意し、かき混ぜながら醤油を適量入れます。 3)ホカホカご飯に作った卵をかけてかき混ぜ、刻み海苔を適量かけます。 4)ここまでくると牛肉は必要ないのでそのまま食べます。 (゚д゚)ウマー 2ちゃんねる。 ※昔読んだ「山上たつひこ」の「湯の花親子」を思い出します。 「ダイエット」というタイトルの「真夜中にラーメンが食いたくなったら」という「7コマ漫画」で、 1)煮干し、玉葱、長葱、生姜、鶏ガラからタレ、鶏ガラ、豚骨からスープを作り、 2)鍋で麺を茹でチャッチャと素早く湯切りし、 3)チャーチューをブ厚く、葱を細かく切り、ナルトとメンマを用意し、 4)全部どんぶりに盛り付け、最後に大きな海苔を一枚。 5)湯気立つそれをウットリと眺めた後、 6)台所の流しに一気にぶちまける。 7)寝る。 と言うモノでした。 なるほどなー。 何のために大晦日があると思うの? 明日から新しい年になるの。年が替われば良い事もあるわ。 「THE 有頂天ホテル(2006)」より。 「客室係ハナ(松たかこ)」のセリフ。 ※「三谷幸喜」の有頂天ホテルは、「大晦日の老舗ホテルに集った人々」の悲喜こもごもを描いたコメディ映画でした。 達者揃いの贅沢な役者と、このシチュエーションで面白くならないハズがないのであります。 「ドクターってものは何かと大事を取らせたがるものよ」 「艦長ってものは無理をなさるものですわ」 スタートレック・ネクストジェネレーション。 第63話「亡霊戦艦エンタープライズC」より。 C型女性艦長「ギャレット」と「ドクター・クラッシャー」の会話。 ※本エピソードはスタートレックお得意の「タイムトラベル物」で、ネクストジェネレーション「ベスト10」に入る傑作でした。 ここでも、「無茶する艦長と慎重なドクター」という構図が使われています。 原因は必ずあります。まだ発見されていないだけですよ。 スタートレック。 第26話「地底怪獣ホルタ」より。 「スポック」のセリフ。 ※「ジェナス6」の「ペルジウム」地下採掘坑道で連続する事故調査のため、エンタープライズが活躍する話です。 当然、スポックは「シャーロック・ホームズ」役なのであります。 次元「俺は昔から神様ってヤツが苦手でな」 ルパン「俺も。罰、当てやがんからな」 新ルパン三世(1977〜80)。 153話「神様がくれた札束」より。 ※宮崎駿演出の145話「死の翼アルバトロス」と155話「さらば愛しきルパンよ」が面白いのは当然だとして。 この「神様がくれた札束」も面白いのでした。 ちなみに、他の私の好きな作品を挙げると、 99話「 荒野に散ったコンバット・マグナム」、 143話「 マイアミ銀行襲撃記念日」、 151話「 ルパン逮捕ハイウェイ作戦」、 であります。 「ペパーミント・パティとマーシーは ぼくのこと好きらしい。 でも なぜかな。 聞けるといいんだけど」 「誰かに なぜ きらいかって聞くのはいいけど、なぜ好きかは聞いちゃいけないわ」 「どうして?」 「そのほうが難問だから」 「SNOOPYのもっと気楽に(4)自分らしく(1995)」より。 「チャーリィ・ブラウン」と妹「サリー」の会話。 ※スヌーピーは私の大好きな漫画です。 古本屋で見掛けると、ついつい買ってしまうのでした。 え?好きならもう持って置けって? 自分が どこへ向かっているのか見ることのできるのが、昼です。 ベッドに横たわって心配することのできるのが、夜です。 「SNOOPYのもっと気楽に(4)自分らしく(1995)」より。 クラスで発表する「サリー」のレポート。 ※スヌーピーは「会話が哲学的」で、それが世界中で受けている理由だと思います。 この「哲学的」を真似た日本の4コマ漫画(や8コマ漫画)も多く、ちょい昔なら永島慎二の「旅人くん(1972〜73)」、近年なら いがらしみきお の「ぼのぼの(1986〜)」でありましょう。 あ、西原理恵子もこの系列に入るなあ。 人類はエベレストへ登った。深海の底に潜り、月までロケットを飛ばした。様々な奇跡を達成したが、ただひとつ立ち遅れた分野がある。 それが・・・犯罪だ! 「007 ゴールドフィンガー(1964)」より。 「ゴールドフィンガー」のセリフ。 ※ホームズの宿敵「モリアーティ教授」が生きていたら言いそうなセリフです。 そう言えば、「ルパン三世(1971〜72)」第1話の悪者「スコーピオン」の声が、ゴールドフィンガーでも声をやった「滝口順平」だったなあ。 彼も去年亡くなったなあ・・・。 人間というものは、自分の安全や正気をおびやかす存在について何も知りたがらない。 コリン・ウィルソン「ロイガーの復活(1977)」より。 ※「コリン・ウィルソン」はイギリスの作家です。 映画にもなった「宇宙ヴァンパイアー(1976)」が有名で、「ロイガーの復活」は私の大好きな「クトゥルー神話」を扱ったホラー小説でした。 【上品】 欲望に対する動作がスローモーなやつ。 立川談志「やかん」より。 ※何でも知ったかぶりする ご隠居と八五郎の古典落語です。 立川談志ならではの潤色がされており、昨年の暮れ急逝した時、とても吃驚したモノであります。 とりあえず今回はここまで。 昔の日記からの抜粋なので、記述間違いや出典間違いがあるかも知れません。 その場合は、間違いを教えていただければ、これ幸いなのであります。 |
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