SYU'S WORKSHOP
ESSAY VOL.141
「形が変。大きさが異常」
について

(2012年7月28日)


これは異次元の金魚です。
いや、宇宙の金魚かな?

ま、とにかく、私たちが知っている金魚では無いのは確かです。



え?金魚に見えないですって?
いや、描いた私が言うのだから、これは金魚なのです。
え?あまりに絵が稚拙過ぎるですって?
ほっといて。

で、です。



その金魚が口を開くと、こう、なっちゃったりします。
これは怖いです。

一つの眼球だと思っていた所が、上下に避ける眼球だった事も怖いですが、何より怖いのは口内に「びっしり」生えた鋭い歯であります。

「鋭い歯」が何故怖いかと言うと、この生物が「肉食」である事を意味しているからです。
普通の人間、例えば少女だったり赤ん坊が、ふと、口を開くと「鋭い歯がびっしり生えている怖さ」を最初に演出したのは、大昔の「梅図かずお」だった様な気がします。
違うかな。

で、です。



この宇宙金魚の近くに人間を置いてみると。
「必要以上に」巨大な生物だった事が判ります。

私は・・・。
これが一番恐いのです。
反対に言えば、



この「D図」ぐらいまで「超々巨大」であると、もはや怖さはないのです。
あるのは「驚異」とか「超現実」という感覚です。
私は「C図」ぐらいが一番怖いのです。


一時期、と言っても大昔の話ですが、怪獣SF映画で「巨大生物モノ」が流行った事がありました。

「放射能X(1953)」や「水爆と深海の怪物(1955)」や「世紀の怪物 タランチュラの襲撃(1955)」や「黒い蠍(1957)」や「死のカマキリ(1957)」等々です。
ここでは「蟻」「蛸」「蜘蛛」「蠍」「カマキリ」が巨大化して人間を襲って来ました。

これらの総集編的怪物映画として、「SF 巨大生物の島(1961)」なんてモノもありました。
ここでは「蟹」「雛鳥」「蜂」が巨大化していました。
この映画、原作がヴェルヌの「神秘の島(1874)」なので、も少し評価されても良い様な気がするのですが、亜流作品を生み出しつつ、今ひとつ評価されていないのが残念なのであります。

また、人間が巨大化する「戦慄!プルトニウム人間(1957)」や「巨人獣(1958)」、その亜流「妖怪巨大女(1958 )」も作られました。
日本SFTVでは「ウルトラQ 第22話 変身」が面白い作品でした。

これら普段見慣れている生物・世界が、皆、巨大化する恐怖を描いた海外SFTV「巨人の惑星(1968〜70)」なんてのもありました。

これらの「巨大生物モノ」と似ているのが、いわゆる「縮小モノ」と呼ばれる作品です。
「リチャード・マシスン」の「縮みゆく人間〈1956〉」が先駆ですが、自分の周囲が巨大化するのではなく、自分自身が小さくなると言うのが、厳密には大きな違いがあるのでした。

ま、人間より大きな生物が怖いと言うのには「巨大生物モノ」も「縮小モノ」も変わり無いのかも知れません。

でも、そうすると、



巨大な「宇宙金魚」じゃなくても、巨大な「ただの金魚」でも充分怖いのであります。

どっとはらい。




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