「色分けされた戦士たち」。 多くの人が真っ先に思い浮かべるのは、昔の子供TV番組「秘密戦隊ゴレンジャー(1975〜77)」かも知れません。 1)リーダーで指導者「アカレンジャー」。 2)クールな戦士「アオレンジャー」。 3)紅一点の「モモレンジャー」。 4)人情家で食いしん坊「キレンジャー」。 5)最年少の動物好き「ミドレンジャー」。 |
以降、数十年続く東映制作の「スーパー戦隊シリーズ」の発端となった作品です。 が、しかし。 私が「色分けされた戦士たち」を一番最初に知ったのは、それより「10年も前」、イギリスのTV番組「サンダーバード(1965〜66)」なのでした。 俗に言う「ITCの特撮人形劇」であります。 2065年。 大富豪の「ジェフ・トレイシー」は南太平洋の孤島で、五人の息子たちと勝手気ままに暮らしていました。 宇宙飛行士として名を馳せ、空軍を引退してからは建設業で財を成した「ジェフ・トレイシー」。 彼の一家はその島で世間から浮世離れした優雅な日々を過ごしていた、と世間の人々は思っていたのです。 その実体は、世界各地で起こる大災害に、真っ先に駆けつける「国際救助隊」を極秘に組織していたのでした。 「国際救助隊」の制服はブルー。 頭には「舟形帽」、肩から腰には斜めに「サッシュ(たすき)」が掛けられています。 この「サッシュ」の色が人によって違うのです。 0)トレイシー家の長であり「国際救助隊」の司令官「ジェフ・トレイシー」。サッシュは「ゴールド」。 1)長男で現場に急行する可変翼機「1号」を操縦する「スコット」。サッシュは「ライト・ブルー」。 2)次男で特殊救助メカを現場に運ぶ大型輸送機「2号」の「ヴァージル」。サッシュは「黄色」。 3)三男で世界中の救助信号をキャッチする衛星軌道上「5号」の「ジョン」。サッシュは「ライラック(明るい紫)」。 4)四男で「WASP(世界海洋安全機構)」に所属し「4号」の「ゴードン」。サッシュは「オレンジ」。 5)末っ子で基地と5号との連絡ロケット「3号」の「アラン」。サッシュは「オフホワイト」。 |
ここで判るのは「一番偉い人はゴールド」。 そして、国際救助隊の基本色は「ブルー」、ゆえに長男の「たすき」は「水色」。 各隊員はそこから段々赤に向かってのグラデーション。 末っ子のまだ(文字通り)色の付いていないアランは「白」。 って事なのであります。 「ITCの特撮人形劇」と書きましたが、「ITC」は「インコーポレイテッド・テレビジョン・カンパニー (Incorporated Television Company)」の略。 イギリスの「テレビ配給会社」です。 作っていた人は「ジェリー・アンダーソン」。 彼の制作会社が「APフィルム」で、やがて「センチュリー21プロダクション」へと変わります。 「ITCの特撮人形劇」(一部実写も含め)は、「海底大戦争ステングレイ(1962)」「サンダーバード(1965〜66)」「キャプテン・スカーレット(1967)」「ジョー90(1968)」「謎の円盤UFO(1970)」「スペース1999(1974〜75」)」等々、我々子供の頃から「特撮大好き」者の心を満たしてきたのでした。 中でも登場するSFメカは「ITCメカ」と呼ばれ、今でも多くのファンに支持されています。 今回の「色づけされた戦士たち」では、「サンダーバード」の次には「キャプテン・スカーレット」を挙げなければなりません。 2068年。 火星での未知の知性体「ミステロン」と人類の「最悪の遭遇(Worst contact)」。 それにより、地球攻撃を開始した「ミステロン」と地球防衛機構「スペクトラム」の熾烈な闘いが始まります。 「スペクトラム」の基地は、雲上の空中空母「クラウドベース」です。 そこには、「ホワイト大佐」の指揮の元、7人の大尉たちと5人の女性パイロットで編成された「エンジェル隊」が控えているのです。 各大尉たちは皆、「色」の「コードネーム」で呼ばれ、同色の制服を着用しています。 0)司令官が「ホワイト大佐」。 1)主役が「スカーレッド大尉」で、番組タイトルになっています。 2)主人公の相棒が「ブルー大尉」。 3)クラウドベースの通信を担当。黒人の「グリーン少尉」。 4)犯罪組織出身の「マゼンタ大尉」。 5)WASP(世界海洋安全機構)出身の「グレイ大尉」。 6)WGPO(世界政府警察機構)出身の「オーカー大尉」。 7)「ミステロン」にコントロールされ、本シリーズの悪者「ブラック大尉」。 8)そして、美しきエンジェル隊の女性パイロットたち。 ディスティニー(日本版ではコンチェルト)・エンジェル。シンフォニー・エンジェル。ラプソディー(ファンタジー)・エンジェル。ハーモニー(サリー)・エンジェル。メロディー(キャロル)・エンジェル。 |
地球防衛機構「スペクトラム」、「7人の大尉たち」で判るように、本作は「虹」がコンセプトになっています。 また、「赤」は主人公、「黒」は悪者という判り易い図式と、「青」が2番目の地位にいる、という点です。 「ITCの特撮人形劇」は「サンダーバード」から「キャプテン・スカーレット」でよりリアルな造形になりました。 そして、「謎の円盤UFO」では人形ではなく、実写となったのです。 これに続いたのが、「スペース1999」でした。 1999年。 月面での核廃棄物貯蔵庫の大爆発により、巨大基地「ムーンベース・アルファ」は、月ごと周回軌道を離れ、宇宙の孤児になってしまいます。 行く手を待ちかまえる数々の冒険と謎。そして、地球に帰還する事は出来るのか? 「ムーンベース・アルファ」の隊員たちは皆、「グレイ」の制服を着用しているのですが、その「左袖の色」が所属によって違うのでした。 1)「左袖が黒」は「指揮官」。主役「コーニッグ中佐」です。 2)「左袖が白」は「医療班」。ヒロインの「ラッセル博士」です。 3)「左袖が黄」は「技術セクション」。宇宙船パイロットやデータ・オペレーター等。 4)「左袖が赤」は「科学セクション・保安セクション」。コマンドセンター室や保安部員等です。 (※私の推測が入ってますので、正解をご存知の方は教えて下さい!) |
ここで判るのは、「司令官」が「黒」という事です。 リーダーを「黒」とするのは珍しいと思います。 このように「ITC特撮ドラマ」は、色によってキャラクター分けをするのが多かったのです。 一説によれば、これは第二次大戦中イギリス空軍の「部隊分け」を「色」で行っているのに準じた、という話です。 蛇足ながら。 「海底大戦争ステングレイ」「サンダーバード」「キャプテン・スカーレット」「ジョー90」「謎の円盤UFO」「スペース1999」と人形造形が段々リアルに、終いには生身の人間へと変化してきた「ITC特撮ドラマ」、1980年代に再び「人形劇」で戻って来たのです。 「地球防衛軍テラホークス(1983)」です。 しかし、その原点回帰を目指した人形の造形が、「変に艶めかしくグロテスク」になっており、昔から好きだった「ITC特撮ドラマ」好き者に、「もう我が良き時は終わったんだなあ」と思ったのでした。 「ITC特撮ドラマ」でない、昔から好きだったもう一つの海外SFドラマがありました。 「宇宙大作戦(1966)」です。 一番最初の「スター・トレック(STAR TREK)」、「ウィリアム・シャトナー」演じるカーク船長、「レナード・ニモイ」演じるミスター・スポックの「スター・トレック」です。 23世紀半ば。 カーク船長率いる500名弱の隊員たちは、大型恒星艦「エンタープライズ号」により、5年間の深宇宙探査任務に赴きます。 そこでの制服は、担当部署によって上着の「色」が決まっていました。 1)「黄色」は「指揮部門」。カーク船長です。 2)「青色」は「科学部門」。ミスター・スポックで、彼は副長でもあります。 3)「赤色」は「機関・保安部門」。チェコフ等がそうでした。 |
宇宙大作戦」から20年後、次世代の「新しいスター・トレック」が制作されました。 「パトリック・スチュワート」演じる「ピカード艦長」の「新スター・トレック」、「ネクスト・ジェネレーション(1987〜94)」であります。 24世紀後半。 カーク船長の時代から1世紀経った時代。 初代エンタープライズの意思を継ぎ、ピカード艦長以下1000名の乗組員は再び、未知の星域への探索に出掛けるのです。 ここでも制服の「色」によって(肩ラインは黒)所属が決まっていました。 1)「赤色」は「指揮部門」。ピカード艦長やライカー副長です。 2)「黄色」は「機関・保安部門」。データやラ=フォージ、ウォーフ等です。 3)「青色」は「科学部門」。ビバリー・クラッシャー医療部長等です。 |
初代スター・トレックとは「指揮部門の色」が、「黄色」から「赤色」へと変わりました。 ぼやけた「黄」より「赤」の方が目を惹き、こちらの方が私は「指揮官っぽい」と思うのでした。 「青色」が「科学部門」なのは旧新変わらず。 いかにも、クレバーで沈着冷静な「青色」以外、「科学士官に相応しい色は無い」のでしょう。 最初の「宇宙大作戦」から連綿と続くスター・トレック・シリーズ。 「ネクスト・ジェネレーション」「スタートレック:ディープ・スペース・ナイン(1993〜1999)」「スタートレック:ヴォイジャー(1995〜2001)」「スタートレック:エンタープライズ(2001〜05)」。 私はどれを観ても良く出来ており、面白いと思うのでした。 でも、初めの「宇宙大作戦」は別格として、私の好きなのは「ネクスト・ジェネレーション」です。 次は「ヴォイジャー」かな。 これら「色によるキャラクター分け」「色による階級分け」、「サンダーバード」が「1965年」で「宇宙大作戦」が「1966年」。 つまり「サンダーバード」が一番最初である事が判るのでした。 やっぱ「サンダーバード」偉いなあ。 喜色満面、十人十色。 才色兼備、英雄色好むれど、色即是空。 色眼鏡で見れば、色よい返事。 反省の色見られず、気色ばんで、結局、人生色々。 ん? 人生色々は、人生いろいろ、かー。 |
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