【塩】 私は十数年前、「脳梗塞」で一週間入院した事があったのです。 朝、風呂に入っていた時に突然 左足先端が痺れ始め、そおいう事は前にも何回もあって、しばらくすると直っていたので その時も放っておいたのです。 が、その時はいつもとは違いました。痺れが全く退かないのです。 そして、「こりゃヤバイかな」とタクシー飛ばして、病院へ行ったのでした。 診察をして即「MRI」を受けました。 「MRI」とは「核磁気共鳴画像法(かくじききょうめいがぞうほう。magnetic resonance imaging)の事で、身体の内部を輪切り状態で観て調べ診断する方法の事です。 私が観てもらったのは頭部・脳で(病状に応じて観る場所を選ぶ)、その後 再び病室に戻り、診察を受けました。 そして、撮ったばかりの「MRI画像」から、「これは脳梗塞ですね」と言われたのでした。 その祭、「高血圧」である事も判り(というか診断され)、それ以来、私は血圧を下げる薬をずっと飲んでいるのです。 医者から忠告されたのは「塩分の摂り過ぎには充分注意して」でした。 日本人の一日の成人男子の塩分摂取量は「11g」が妥当らしく、「高血圧」の人は「一日6g以下」が推奨されているのです。 ラーメン一杯食うと「6g」。、それだけで「高血圧」の成人男子の一日分になってしまうのでした。 幸いな事に私は「ラーメン好き」ではないので、それはそれで良いのですが、不幸な事に私は「子供の頃から塩辛いモノが大好き」なのです。 (だから高血圧になったのですが) 私は東京生まれで今も東京に住んでいるのですが、私の両親は共に東北出身です。 その二人が東京にやって来て、生まれたのが私なのです。 「東北人」は皆、味付けの濃い「塩辛い」モノが大好きなのです。 一説によると「寒冷地」に住む東北人は、生命を維持するために「塩辛い食い物」を好むようになった、と言います。 と言うワケで、私の家では昔から食卓には「塩辛い食い物」が並んでいたのでした。 いや「塩辛いモノ」じゃなくても、醤油を大量に掛けて、何でも「しょっぱく・塩っぱく」し「味を濃く」して食っていたのです。 高校時代、母親が作ってくれた私の弁当の中には、「塩辛いモノ」ばかりでした。 「身欠きニシン」や「甘辛煮カツ」「味噌漬け」「塩っぱい卵焼き」等々、当時の私の弁当のおかずだったのです。 「高血圧」の人が「脳梗塞」に成る可能性は高いのです。 「高血圧」は人間の身体を駆け巡っている「血管」全体に負担を与え続け、「血行を悪く」して「動脈硬化」をもたらしてしまうからです。 何故「高血圧」になってしまうかと言うと、理由の一つは「塩分の摂り過ぎ」です。 「塩分の摂り過ぎ」は血中の「ナトリウム濃度」を上げ、バランスを取るため血中に多くの水分をため込みます。 結果、全体の血液量が増え、その血液を滞りなく身体全体に循環させようと「血圧」が上がってしまうのでした。 十数年前に「脳梗塞」を経験し、その時に「高血圧」である事が判り、それ以降、なるべく「塩辛いモノ」は避けるようにしています。 「高血圧」を進めないためです。 また、その際、併せて言われたのは「タバコ」と「飲酒」を止める事でした。 どちらも「高血圧」には良くないと言われたのです。 私はそれまで「どちらも大量に嗜む」人でした。 タバコは「ヘビースモーカー」を越して「チェーンスモーカー」だったのです。 (この話は別エッセイ『チェーンスモーカーの頃』でします) 「脳梗塞」を経験して、タバコは一切、止めました。 飲酒は止められず、ずっと続けていたのですが、つい数か月前にそれも止める事にしました。、 「痛風」になっちゃったからなのでした・・・。 (2023年11月現在) 【砂糖】 原始人の味覚は三つ。 「食べられる」「食べられない」「美味しい」、その三つだけなのだそうです。 そして、「美味しい」は=「甘い」、つまり「甘いモノが美味しい」だったのでした。 人が一番最初に得る味覚は「甘さ」なのかも知れません。 それだけ、生きていく上で重要な感覚なのでしょう。 私が若い頃 務めていた会社の得意に「Hさん」という方がいました。 私がいた業界は連日 徹夜徹夜が続く事が多く、その「Hさん」も徹夜明けで会社の「マラソン大会」に参加して、結果、ぶっ倒れた事があったそうです。 意識不明の状態の時、同僚が飲ませてくれた「砂糖水」が、段々意識を取り戻させて身体に「活力」を蘇返してくれた、と言います。 「分かるんだよね。身体に甘みが広がると同時に、力が湧いてくるのが」。 もう一つ別の人、「Yさん」の話です。 小太りの彼は体型を気にして、ある時期、ポカリスエットばかりを飲んでいたそうです。 結果、「糖尿病」になってしまい、それが原因か数年後に亡くなってしまったのでした。 東北の人は「塩辛いモノが好き」と書きましたが、「甘い味も好き」らしいのです。 「東北人」は「塩辛い」も「甘い」も、結果「味が濃いモノが好き」みたいなのです。 私も「濃い味」が大好きです。 昔、大阪に1年間出張していた時がありましたが、そこ大阪で食べた立ち食い蕎麦の、あの「極端に薄いつゆ」に「なんじゃこりゃこりゃ!?」と驚いた事がありました。 東京の「立ち食い蕎麦のつゆ」の「醤油の塩っぱい味」しか知らなかったのです。 (もちろん今では、大阪のあのつゆは昆布出しが効いていて上手い事は分かっていますが) 私が子供の頃、冷蔵庫で冷やしていた「麦茶」には砂糖が大量に入っていました。 今の市販のペットボトルや紙パックの「麦茶」じゃなく、ヤカンで葉っぱから煮出して、冷ましてから縦長ピッチャーに移し替えて冷蔵庫に入れていたあの麦茶です。 その麦茶に砂糖を入れて冷やしていたのです。 何故か家では、切ったトマトにも砂糖をかけていました。 その砂糖山盛りトマトが、朝飯や夕食の時にご飯の「おかず」として食卓に並でいたのです。 そのせいか、それ以来、トマトは苦手なのでした(ケチャップやトマトジュースは好きなのですが)。 秋田は納豆に砂糖を入れると聞いた事もありますが、さすがにそれはやっていなかったなあ。 「子供の頃、麦茶に砂糖を入れていた」だの「トマトに砂糖をかけて食っていた」とか書いていますが、実は私は「甘いモノ」は好きではないのです。 「ケーキ」や「プリン」の洋菓子類も、「団子」や「大福」の和菓子類もあまり好きではありません。 どちらかと言えば苦手です。 これは私が「酒飲み」のせいなのかも知れません。 例外は「あんみつ」。 これは私の好きな藤子不二雄の「怪物くん」の「大好物」で、だから私も「あんみつ」は大好きなのでした。 【油】 食べ物に「塩」と「油」が入っていれば、人はそれを得てして「旨い」と感じるのではないでしょうか? 人間の身体はこの「塩」と「油」を本能的に欲していて、身体が望んでいるモノを摂取する事が、すなわち「美味しい」と感じるのだと私は思っているのでした。 油(脂)は大好きです。 私は別に「マヨラー」ではありませんが、コロッケの上に「これでもか」というぐらいマヨネーズを絞って食う、あの「背徳感の交じった」美味しさは格別だと思うのです。 本当に旨い。 私が小さな子供だった頃、肉の「脂身」が苦手で、よく残していたモノでした。 母はそれを見て、「こんなに美味しいのにねえ」と喜んで食っていましたが、今ではそれも分からないではないのです。 今では私も、肉や魚の「脂」は美味しいと思います。 でも最近、若い時より、嬉々として「脂」を食う事は少なくなった様な気もします。 大学生時代、大学近所の安い洋食屋「サンビーム」で、週に三回は食っていた「三枚カツ定食」のあの美味さと言ったら! それも今では思い出すだけでも「おぞましく」感じるのです。 どうやら歳と共に、好きな部位が変わっていくようなのでした。 これは前にも書いたのですが、昔、「黒柳徹子」が言っていた、「人間は歳と共に、食いたい・食えるモノが変わっていく」という話を思い出します。 「人間は成長と共に、自分が相手の動物と戦って勝ち、捕れるモノが一番美味しい」のだそうです。 若い頃は小さな動物しか捕れず、でも、それが美味しい。 青年や壮年になると、今度は大きな動物にも勝ち、捕る事が出来て、それが美味しくなる。 初老に入ると、素早い動物は無理で、魚を釣るようになり、その魚が美味しくなる。 いよいよ老人も晩年になると、魚も捕れなくなり、波打ち際の貝やワカメを拾い、大地に生えているキノコや山菜、落ちている木の実しか捕れず、でもそれが美味しいと思うようになる。 この「人間は生まれてから死ぬまで、自分が戦って捕れるモノしか美味しくない」という話、私はすごく「なるほどなあ」と思うのでした。 【お水】 「塩」も「砂糖」も「油」も、自分が美味しいと思う分だけ、自由に食べたい。 美味しいと思うのなら、それは身体が欲していて、身体に必要なモノだと思うからです。 私は自分が「脳梗塞」になるまでは、そう思ってきたのでした。 「塩辛い」モノが大好きで、塩っぱいモノばかり食っていたら「高血圧」になっちゃって、挙げ句「脳梗塞」なんてなっちゃう。 どうやら砂糖も油も摂りすぎは良くないらしい。 美味しいからたくさん食うのに、たくさん食うと身体を壊すと言うのです。 身体が欲しているモノを摂取するのは、「美味しい」。 ならば何故、神様は「必要以上に摂ると美味しくなくなるよう」、人間の味覚を創らなかったのでしょうか? 好きなだけいつでも自由に摂れるのは「水」だけなのでしょうか? え? 「水」にも、「水依存症」や「水中毒」ってのがあるんですって? う、うーん・・・。 |
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