イギリスのBBC放送で1969年から1974年まで放送されていた伝説のギャグ番組、それが「モンティ・パイソン」です。 正確には「モンティ・パイソンズ・フライング・サーカス」。 日本でも1976年に「チャンネル泥棒!快感ギャグ番組!空飛ぶモンティ・パイソン」という名前で初めて紹介され、それ以降も何回かリバイバル放送され、その度に多くの世代に熱狂的なファンを増やし続けています。 このテレビシリーズのヒットで映画も何本か作られました。 その中の一つ「モンティ・パイソンの人生狂騒曲」はメンバーの一人であるテリー・ジョーンズ監督による1983年の映画です。 この映画では人間の誕生と死に関する様々な悲喜劇がオムニバスで語られていくのですが、その中で私の大好きなスケッチ(モンティ・パイソンではコントの事をこう言う)があります。 とあるロンドンの下町。 中年の夫婦の所へ二人組みの男たちがいきなりやってきて、旦那の方を「解体」し始めます。これはスプラッタ・ギャグなのです。 どうやら旦那の方は「臓器バンク」に登録していたようで、何かの手違いか命令書が発行され、それを受けた二人の職員は相手が生きていようが生きていまいがお構いなしにその「命令書」を実行するのです。 妻の目の前で腹を割かれ腸や内蔵を引き出され絶叫する旦那。 目的の臓器を手に入れた男二人は「じゃ、これが領収書」と妻に紙を渡して平然と帰っていきます。 突然の惨劇に呆然とする妻。 流血で真っ赤に染まった台所に横たわる「解体」された旦那。 と、突然、傍らにあった冷蔵庫の扉が開き、一人のド派手な衣装を身につけた歌手が出てきて歌い出します。 その時の歌が「GALAXY SONG」というとても美しいラブソング。 「♪just remember that you're standing on a planet that's evolving, and revolving at 900 miles an hour, that's orbiting at 19 miles a second,so it's reckoned, a sun that is the source of all our power♪」。 「ねえ、知ってるかい?君は時速900マイルで回転しながら、全ての源である太陽の周りをちょうど秒速19マイルで回っている星の上に立っているんだって事を?」。 歌手と共に妻が冷蔵庫の中に入っていくと、そこには素晴らしく輝く大宇宙が広がっています。 その大銀河の中を歌手は陽気に踊り歌いながら「宇宙の大きさからすれば人間の悩みなんて大した事じゃないさ。だって宇宙はとっても大きんだもの」と説いていきます。 そしてすっかり幸せな気持ちになった妻が再び冷蔵庫の中から家に戻ってみると、そこには、やっぱり「解体」された旦那の無惨な姿・・・。 なんたる理不尽! なんたるナンセンス! そして、なんたる素晴らしさなのでしょう! というワケで私は「モンティ・パイソン」が大好きなのでした。 私の好きな「モンティ・パイソン」の話、今回は「前章」という事でここまで。 またいつか続きを書きます。 |
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