SYU'S WORKSHOP
ESSAY VOL.37
「今日の名台詞 その(1)」
について

(2002年11月18日)


私は以前から日記をつけていました。
その日記の中には「今日の名台詞」と題して、その時に読んだ本や漫画、観たテレビや映画などから「これは良いセリフ(やフレーズ)だ!」というのを書き出しておく様にしていました。
それは単に私が「すぐ忘れてしまう」記憶力のない人間だから始めた事でありました。

あわせて、自分でも思いついた「これは良いセリフだ!」というのも書き留めておく事にしていました。

今回はその一部を紹介するのであります。
今読むと「?」というのもありますが、当時はそれに「おお!」と感心し気になったセリフ・フレーズなのであります。
(コメントも当時のモノですが、※印付きの文章は今の私が書いた補足説明です)

前後の脈絡無くズラズラズラと並べてみました。




「すでに事態は『帰還不可能点を越えた』と見るのが正解のようだ」
蓬莱学園の冒険8月号より。
「帰還不可能点」ってのが、かっこいい。
※「蓬莱学園の冒険」とは、1990年から1991年にかけて行われた郵便を使った「RPG」の事。


「夜、蛇を吹くと、口笛が出てくる」
これは俺が考えたフレーズ。
※この手の有名なフレーズの「単語の入れ替え」って、それはそれでまた意味深な文章になったりして面白い。


「昨日テキサスで始まった恋が、四千年前のクレタ島で終わる」
トマス・ウルフ。
※アメリカの作家。「汝再び故郷に帰れず」などの著書がある。SFチックなセリフである。


「世界は終わる。メソメソと。ドカンとではなく・・・」
アンリ・ミショー。
※ベルギー生まれのフランスの詩人。画家でもある。このセリフは有名でいろいろなところで引用されている。
(20150614追記。かくて世の終わり来たりぬ 地軸くずれるとどろきもなく ただひそやかに〈映画 渚にて〉、世界は一瞬にして終わるのではなく、萎むように終わる〈DVD 20世紀SF映画大全〉。いずれも19世紀のイギリスの詩人T・S・エリオット)


「『イタコ効果』ってのがあるんですよ。カメラのぞいている時とか、フッと自分のところに黒澤明が、降ってきたり、スピルバーグがふってきたりするの」
桑田佳祐。
映画「稲村ジェーン」でのインタビュー記事より。
※桑田佳祐が「稲村ジェーン」を監督したのは1990年の事。しかし、この時、スピルバーグはもちろん黒澤明もまだ生きていたのである。
それじゃ「イタコ」じゃないだろう。


「チェイサー」
追いかける者。追跡者。
※何だか知らないが格好いいと思った単語である。


「星の街」
「忍者らホイ!」をやってたら、「ほしのまち」というカッコイイ名前の街が出てきた。
ほう、やるなあ、と思ってたら、そこは、野球選手の星野が住んでいる街で、プレイヤーに「俺の球が打てるか!」と挑戦してくるのであった。
要するに「星野の街」なのであった。とほほ。
でも、実際に、ソ連には「星の街」という所があって、そこには宇宙飛行士になるべく訓練を重ねる人々が、家族と共に住んでいるのであった。
こっちの「星の街」はかっこ良い。
まるで昔の萩尾望都の漫画に出てきそうで。
※「忍者らホイ!」は1990年にアスキーから発売されたファミコン・ゲーム。10数年前は、まだ「ファミコン」時代だったんだよなあ。


「人は人を求めて、猿へと進化を遂げる」
※出典不明。


「なぜ世の中には、聡明な子供とダメな大人ばかりなのだろう」
チェスタトン。
※G・K・チェスタトン。イギリスの作家。「ブラウン神父」シリーズで有名。


「宇宙なんて、石と光でいっぱいの袋みたいなもんだ」
ハリイ・ムリッシュ。
※SF作家。リリカルなセリフである。


「ジューヌ・ベルヌが好きな女性がいたなんて・・・」
バック・トゥ・ザ・フューチャーより。
※全ての「SF者」の男はそおいう女性を追い求めているのだが、現実は・・・。


「解剖台の上の雨傘とミシンの偶然の出会いのように美しく・・・」
ロートレアモンの「マルドロールの歌」より。
※フランスの詩人。このセリフは「シュール」という単語を説明する時によく引用される。


「それにしても、歳を取るという事はやっかいなことだ。なにしろ、おまわりや医者のような連中が自分より年下になってしまうのだから」
小田嶋隆のエッセイより。
鳴呼、まったくその通りだ。
※確か「噂の真相」に載っていたエッセイに書かれていたセリフ。


「俺がいったい何をしたって言うんだ」
「いいえ、貴方は何もしなかったわ」

一応、オリジナルのつもりなんだけど、もの凄く決まり過ぎているので、何処かにオリジンがあるのかも知れない。
※どこかの映画の中のセリフかな?


「懐かしい未来。今でないいつかへ」
おお。懐かしい未来、これこそ俺が求めて止まないSFのカタチである。
※出典不明。


「生きているよりも、思い出す方が好きだ」
鳴呼。俺は、俺はまったく、そおなのだ。
この台詞はフェリーニの映画「ボイス・オブ・ムーン」の中で、主人公である狂人が呟く台詞である。
鳴呼、好きだ。好きだからもう一度言おう。
「生きているよりも、思い出す方が好きだ」。
※何やら感傷的になっていますが・・・。私はこの手のセリフが大好きなのであります。


「吸血鬼の強みはだれもその存在を信じないことだ」
ヴァン・ヘルシング。
※ブラム・ストーカーの「吸血鬼ドラキュラ」の中で有名な吸血鬼ハンターの言うセリフ。


「逆吸血鬼」
※出典不明。


「巫女。甘えてばかりで、ごめんネ」
という洒落を思いついた。これは結構、良いと思うよ。
※うーん・・・。良いのだか悪いのだか・・・。


「わに道楽」
望月勝広。「ガロ」より。
※望月勝広は漫画家。ずいぶん前に改名して今では「逆柱いみり」と名乗っている。私の好きな漫画家の一人である。


「闇の孫の手」 「回路の紫のバラ」
昔、考えたパロディである。
※アーシュラ・k・ル・グィンのSF小説「闇の左手」、ウディ・アレンの映画「カイロの紫のバラ」の言い換え。


「昼は人がつくり、夜は神がつくった」
これは「日本書紀」の中の、箸墓(はしはか)の古墳造営に関しての記述である。おお、カッコイイ!
※日本神話だけじゃなく、世界各国の神話にこの手のセリフは見る事が出来る。


「みなさんが恐れている事がおきました」
これは、椎名誠のエッセイに出てくるイラスト(沢野ひとし)に書いてあった言葉。
こういうセリフをある日突然、NHKの七時のニュースでまず最初にアナウンサーが喋る、という状況が頭に浮かんだ。
イラク戦争も終結に向かいそうな昨今、そんな日はやってくるのだろうか?
※これは10数年前の日記より抜粋。結局、10数年経っても世界は別に平和になっていないのであった。


「将来、戦争があるだろう。でもお前たちは出来るだけ遠くに逃げる勇気を持ってて欲しい」
とあるカメラマンのセリフ。
※有名な従軍カメラマンが自分の子供に向かって言ったセリフだったっけかな?


「総統の不眠症で負けるんだ。神様はどっちの味方だか疑いたくなるよ」
1944年6月6日のとあるドイツ将校の言葉。
※有名な戦争映画「史上最大の作戦」の中で言われるセリフ。


「臨時ニュースの途中ですが。」
臨時ニュースに割り込んで入って来るニュースって一体・・・。
※「ケラリーノ・サンドロヴィッチ」率いる「劇団健康」が1989年に出したCD「出鱈目的」のライナーノーツに書かれていたセリフ。


「私は笑うのは好きだが笑われるのは嫌いだ」
吉田拓郎。
※大昔のラジオ深夜放送「パック・イン・ミュージック」で言ったセリフ。


「その剣、無双なれど、邪悪」
※出典不明。ゲームの中のセリフかな?


「論理的破壊」
コンピューター用語(?)で、うっかり使用途中でソフトを終了せず、パソコンの電源をきってしまった時、ファイルが壊れるという事態が起こる。
その場合に「物理的破壊」と「論理的破壊」の二通りがあるという。
「論理的破壊」。うーん、かっこいいネーミングじゃないか、これ。
※私はこの手の「難い漢字の羅列単語」が昔から好きなのである。


「GOD=GIVER OF DATA. 神とはデータを授ける者」
ジェフリー・アームストロングによる「THE BINARY BIBLE」というパロディ聖書に出てくる言葉。


「人間とロバの違いについてー。ある人の観察によれば何の違いもないそうだ。それではロバが気の毒だ」
※出典不明。


「十月。これは株に手を出すにはとくに危険な月だ。そのほか危険な月は、七月と一月と九月と四月と十一月と五月と三月と六月と十二月と八月と二月」
※出典不明。


「大人の王様のアイディア」 「おとなのお餅屋」
俺の考えたフレーズ。
※下らない事を考えているモノである。


「スキューバダイビングならぬ、突き指ばダイビング」
ってのはどうか。記録するまでもないか。
俺の考えたフレーズ。
※下らない事を考えているモノである。


「どうして!どうしておれはだめなんだ!ボカボカ、ボカボカ。自分のばか、ばかばか!」
「あっ!自分をいたわった方がいいですよ。自分を親切にしれくれる人はほかには誰もいないし・・・・」
「そうだね、そうだね」

花輪和一。「不眠ガエル」より。
※花輪和一は私の大好きな漫画家である。


「お近づきの印にって、どんな印なんだ!」
俺の考えたセリフ。
※これはどこかに出典がありそうな気がするなあ。コントか舞台のセリフかなあ?
(20150614補足追記。〈劇団 青い鳥〉の〈青い実たべた〉の中にある)


「彼が自分自身になまける権利をあたえるためには、その白紙の原稿用紙の上に蠅が一匹とまるだけで十分だった。そうすると彼は書くのをやめた。蠅の邪魔をしてはいけないと思って」
ルナール。
※ジュール・ルナール。フランスの作家。「にんじん」で有名。




とりあえず今回はここまで。

昔の日記からの抜粋なので、記述間違いや出典間違いがあるかも知れません。
その場合は、間違いを教えていただければ、これ幸いなのであります。




目次へ                               次のエッセイへ


トップページへ

メールはこちら ご意見、ご感想はこちらまで