私は昔から本や漫画、テレビや映画などに登場する「名台詞」を日記に書き留めておくようにしていました。 と言うワケで、今回も昔の日記からそれを抜き出してご紹介するのであります。 コメントはその当時のモノ。 ※印付きのコメントは、今の私の補足説明です。 またまた前後の脈略無くズラズラズラと並べてみました。 「夕日が見える席がいいな」 「そうだね」 「夕日が見える席は今いっぱいですので」 「あそー」 「夕日を見ている人が見える席やったらあるでぇ」 森下裕美「ここだけのふたり」より。 リゾート地のお洒落なレストランに入って繰り広げられる会話。 ※ほとんどの人は「夕日が見える席に座っている人を見られる席」に座っているモノなのであります。 人生も一緒・・・。 かも。 どどどどど。 「滝っていうのは 滝っていうのは なんだかすごく 無駄使いなんだなあ」 いがらしみきお「ぽのぽの」より。 ※人は時々、「無駄な事」「意味ない事」に深い感銘を覚えるのであります。 壮大な「無駄遣い」をしてみたいものです。 「どこまで続くんだろう。 どこから始まるんだろう」 西原理恵子「ゆんぼくん」より。 ※実は私、西原理恵子は「微妙なところで今ひとつ」、好きになれないのであります。 なんだろ、「無頼漢」気取っているところが好きなじゃないのかなあ。 上手い、才能のある人だとは思っているのですけども。 「こういうモンだよ、何一つ、誰一人無駄なモノなんかないんだよ」 根本敬「ガロ9」より。 ※「特殊漫画家」根本敬は、絵も内容も「必要以上に汚い」漫画家ですが、でも、「真理」を追求している作家だと思います。 最近、漫画描いているのかな? 「夏だ!飛び出せ!でも、どこに?」 「LOGIN・16・17」より。 ※私は昔から夏が嫌いなのであります。 その理由は「極端な暑がり」である事なのですが、も一つの理由はこの「夏なんだから何かしなくっちゃ・・・。でも、何を・・・?」という夏特有の「焦燥感」にもあるのです。 「墨で書かれた虚言は、血で書かれた事実を隠すことはできない」 迅魯。 ※歴史について語られた言葉。 「小石は下流に流されますが 大石はときとして上流へ昇ってくるのです」 つげ義春「会津の釣り宿」より。 ※私は、つげ義春の「旅行漫画」「温泉漫画」が大好きなのであります。 台風時の山の渓流では、実際にそおいう事が起こるのだそうです。 「All work and no play makes jack a dull boy」 スタンリー・キューブリック「シャイニング」より。 ※「仕事ばかりで遊ばないジャックは今に気が狂う」。 ジャックの妻ウェンディが、この文章で埋め尽くされたタイプ用紙を発見するシーンが、もの凄く怖いのであります。 カメラ下からアオリで、タイプライターとそこにセットされたタイプ用紙。そのタイプ用紙の向こう側に、驚愕に歪むウェンディの顔が段々と見えてくるのです。 このシーンのレイアウトは、「2001年」のモノリス越しに昇る太陽の場面に似ています。 そう言えば、音楽も、そのモノリスのシーンでかかる音楽に、ちょっと似ているのであります。 「眠ってしまえば・・・、区別はつかない」 サミュエル・フラー監督「ショック集団」より。 眠ってしまえば、殺人者であろうが、精神異常者であろうが、普通の人と区別がつかない、という事らしい。 ※「ショック集団」は精神病院を舞台にしたスリラー映画です。 「ここにきて、どのくらいになります?」 「60ケースですよ」とグラントは答え、怪訝な顔のモリスを見て、その意味を説明した。 「ここではビールで時間を測るんです。6月に発掘をはじめたときには100ケースありました。そのうちの60ケースを消費したわけです」 マイクル・クライトン「ジュラシック・パーク」より。 モンタナ州スネークウォーターの荒れ地で恐竜の化石発掘をしているグラントの所に訪ねてきた、環境保護局ボブ・モリスに対して。 ※小説にはこの様な「何かの使用量で時間の経過を計る」という描写がよく出てきます。 例えば、村上春樹の「羊をめぐる冒険」においても、バーの床に積もった「落花生の殻」で主人公たちは時間を計っていました。 なかなか洒落た表現だといつも感心するのであります。 「それにしては、あまり動転していないようじゃないか」とマルカムがいった。グラントはかぶりをふった。 「この世界では前から議論されていたことだ。こんな日のくることはおおぜいが予想していた。しかし、まさかこんなに早いとは・・・」 「人間とやつはみんなそうだ」マルカムが笑いながらいった。 「いつかはそうなるとわかっていながら、そんなに早くそうなるとは思ってもいない」 マイクル・クライトン「ジュラシック・パーク」より。 ジェラシック・パークの恐竜を見て、主人公の古生物学者グラントに数学者マルカムが言うセリフ。 ※「ジュラシック・パーク」、私は映画よりも原作小説の方が面白かった「派」です。 ちなみに、マイクル・クライトンで一番好きなのは「アンドロメダ病原体」。これは映画も面白かったなあ。 「人はまず、自分に理解できないものがあるということを理解する必要がある」 マイクル・クライトン「ジュラシック・パーク」より。 シニカルな数学者イアン・マルカムのセリフ。 ※昔のSF映画では、この「自分に理解できない事象を決して認め様としない」頭の固い「軍人」やら「科学者」が、まず真っ先に宇宙人やら怪物にやられちゃうモンなのであります。 「あいつが悪いわけじゃない」とティムはつぶやいた。 「なにいってんの。あたしたちを食べちゃおうとしたのよ。悪くないわけないじゃない」 「あれは肉食恐竜だからな。肉食恐竜としてはあたりまえのことをしただけだ」 マイクル・クライトン「ジュラシック・パーク」より。 恐竜好きの兄ティム・マーフィーと妹レックス・マーフィーとの会話。 ※映画では「姉と弟」だった子供が、原作では「兄と妹」なのですね。 また、二人の名字が「マーフィーの法則」を思い起こす「マーフィー」なのも興味深いところであります。 「ここでは誰も彼もが気違いだからな。ぼくも気違いだし、お前さんも気違いさ」 「不思議の国のアリス」のチェシャ猫のセリフ。 ※チェシャ猫は私が大好きなキャラクター。ピンクの縞模様の身体がなかなかオシャレなのです。 「私は戦争がきらいだ。世の中から戦争がなくなるまで戦うぞ」 「LOGIN 19」より。 ※本末転倒・・・。 「物語は、別の物語を呼び寄せる」 NIFTY「MISTYフォーラム」より。 ※なかなか格好良いセリフです。 「もうひとつ、忘れてはならないことがある。これは私の意見だが、『悪役』は、ほんの少しの哀感(ペーソス)をにじませて死んでゆくことが肝心だ。大抵の映画のなかで私たちはそれを実行している」 「コンプリート・レイ・ハリーハウゼン」より。 人形アニメーター界の大御所「ハリーハウゼン」のセリフ。 ※彼の特撮映画に登場するクリーチャーたちが、良いヤツも悪いヤツもみんな「愛らしい」のは、単に「よく動いている」からではなく、ちゃんと「良い芝居している」からだと思います。 「航空の父」と呼ばれるイギリスのジョージ・ケイリー卿は、飛行の原理を推力と揚力にわけて考察し、実証的研究に先鞭をつけた。 彼は1849年、三葉グライダー「オールド・フライヤー」に10歳の少年を乗せ、数ヤードの距離を浮揚させた。 さらに4年後、御者を使った実験では、500ヤードの持続滑空飛行に成功している。 その最古のパイロットの言葉。 「旦那さま、わたくしの役目は馬を御することでございます!」 出典不明。 ※この最古のパイロットのセリフ、彼の狼狽えぶりを思うと、とても可笑しいのであります。 「おばあさんは川に選択に」 ※これは昔、職場の後輩が言ったセリフです。 おばあさんは何を選択したのかなあ? 「真の魔法はしなけらばならないことだけをすることにある」 アーシュラ・K・ル・グイン「ゲド戦記最後の書、帰還」より。 ※ファンタジー作家たちは自作の中で、「魔法」に様々な「制限」を設けています。 「魔法は無制限に使えるパワーではない」とするためです。 これを単純に記号化したのが、コンピュータ・ゲームでの「MP」という概念です。 ちなみに、「MP」と聞いて「コンバット」を思い浮かべるのは、かなりの「おじさん」です。 「大切なのは、何を知っているかだろう、シビル・・・。土地や金より、生まれより、情報さ。すごく洒落てる」 ウィリアム・ギブスン&ブルース・スターリング「ディファレンス・エンジン」から、ミック・ラドリーのセリフ。 ※「ディファレンス・エンジン」は私の好きな「スチーム・パンク」SF小説です。 もの凄く大ざっぱに19世紀から現在までのSFのトレンドを見てみると、「技術→科学→情報」となっているのですね。 多分。 「でも、君が俺たちに聞かせてくれた理論についての話は覚えているぞ。あの骨にどういう意味があるのか教えてくれた。『形態は機能に従う』。『最適条件の者が生き残る』。新しい形態が先頭に立つのさ。最初は奇妙な形に見えるかもしれんが、造物主がそれを古い形と公明正大に比べてくださり、原則として正しいものなら、世界は新しい形のものだ」 ウィリアム・ギブスン&ブルース・スターリング「ディファレンス・エンジン」から、マイクル・ゴドウィンのセリフ。 ※「形態は機能に従う」とは格好良い言葉です。 SF映画に登場する全てのガジェットは、この法則に則っているべきなのですが、時々、「そりゃないだろ」というデザインが出てきたりするんですね。 で、SF映画なんてモノは「ケレン味」で出来ていますから、嘘は嘘でも良いのですが、その嘘が上手くつけていない映画は、やはり観ていて辛いワケなのであります。 三木(演出家)「個人的に西部劇が好きで、シティボーイズでそれに近い感じが出せたらっていうのと、なんとなく、時代の風は西に向いているって感じがあって」 きたろう「だいたい、南に行くっていうと遊びに行くみたいだし、北に行くっていうと実験に行くみたいだし、東に行くとインテリがいそうだもんな」 シティ・ボーイズの芝居「愚者の代弁者、西へ」。 何故このタイトルを付けたか?というインタビューに応えて。 ※きたろうの「南北東西」の捉え方が、まことに的確で秀逸だと思うのであります。 「ねえ転入生 なぜいつもそう雰囲気が深刻なんです まるで世界がきょうでおしまいみたいに」 「きょうはあしたの前日だから・・・ だからこわくてしかたがないんですわ」 大島弓子「バナナブレッドのプティング」より。 ※「きょうはあしたの前日だから」というフレーズが、いかにも大島弓子チックなのであります。 「わかりやすい結論はなぜか説得力はない」 「COMIC アレ!」、荒井三恵子の文章より。 ※荒井三恵子は雑誌編集者。 人はいつも「理屈」や「ご託」や「意味」を欲しています。 本当は、すごくシンプルな言葉に真実があるのかも知れないのに。 「私はピータースンをまねようとした。表情を見せまいとした。さいわいなことに、医者はそういうことに多くの習練を積んでいる。患者が一晩に十回性交を行うといっても、自分の子どもを刺し殺す夢を見るといっても、毎日ウオッカを一ガロン飲むといっても、驚いた表情を見せないように訓練されている。どんなことにも驚かないのが医者という職業の秘訣の一つである」 マイクル・クライトン「緊急の場合は」より。 ※医者に診られていて、「あれ?」と言われる事ほど恐ろしい事はないのであります。 「わたしの友人に、医者はみんな、本質的に純真だといっている男がいます。あなたは純真とは思えませんね」 「それはほめたのですか」 「いや、観察です」 マイクル・クライトン「緊急の場合は」より。 ※「観察こそ全てだ」と常日頃言い続けている私の大好きな人物がいます。 そう、かのシャーロック・ホームズ氏です。 「現在は理性と道理の時代だぞ。そのような魔法なぞ、信じない!」 「我々もさ。これは魔法ではなく科学だ」 「タイムトンネル、恐怖の政治」より。 フランス革命の時代から「タイムトンネル」によって現代に転送されてきた男と、タイムトンネルの所長との会話。 ※「タイムトンネル」は私の大好きなSFテレビドラマ。 転送されてきた男は所長とそっくりの顔をしていて、実は所長の祖先なのでした。 この会話でおもしろいのは、「現在は理性と道理の時代だ」と言うのが18世紀の世界から現代に連れて来られた男の方、という事にあります。 この会話、アーサー・C・クラークの「高度に発達した科学は魔法と区別がつかない」という名セリフを思い出します。 「生まれるのが本当に50年先だったらよ、撃たれても感じねえはずだ。生まれるまでは、な」 「タイムトンネル、ビリー・ザ・キッド」より。 ビリー・ザ・キッドが20世紀からやって来た二人の科学者、ダグとトニーに拳銃を突きつけながら言うセリフ。 ※これも格好良いセリフです。 私の好きなSF、その中でも「タイムトラベル物」は名台詞の宝庫です。 いや、宝庫であるべきなのです。 その理由は・・・、あ、これはいつかエッセイで書こうっと。 「期待と不安と沈黙」ーー真夜中にベルが鳴る。 そのとき、心配性のA子は、 「もしかして実家から?お父さん 体弱いから まさか・・・」 楽観的なB子は、 「もしかしてあの人?もういちどやり直そうとか?」 いたずら電話が頭にくるのは単に迷惑だからではない。 秋月りす「OL進化論」より。 ※「余計な心配」と「余計な期待」。 それが裏切られた時、傷が深いのは「余計な期待」の方なのであります。 「体験というのはおおむね、理解や認識を深める契機であると同時に、同じ分量だけ誤解というか、一種の偏見を生むんです。体験するということは絶対のものではないので、体験して何かがわかる同じ分量だけ、何かがわからなくなるんです。そう思っておけば間違いない」 押井守「アニメージュ1月号」より。 ※何事も「知れば知るほど分からなくなる」のであります。 最後の「そう思っておけば間違いない」というセリフが、いかにも押井守チックです。 「明日は明日の風邪をひく」 「セーラームーンR」より。 ※素晴らしい。 オリジナルの「明日は明日の風が吹く」よりも、私はこっちの方が好きだなあ。 とりあえず今回はここまで。 昔の日記からの抜粋なので、記述間違いや出典間違いがあるかも知れません。 その場合は、間違いを教えていただければ、これ幸いなのであります。 |
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