ESSAY VOL.73
「もしもあなたが無人島で」
について
（2006年2月12日）
| もしもあなたが無人島に、たった一人で漂着してしまったとします。 その島には食べる物は何一つなく、あなたが助かる望みはまったくありません。 そんな時。 突然神様が現れて、 「そなたが望む食べ物を一つ言いなさい。その食べ物を一日三回、毎日これから死ぬまでずっと出してあげます」と言ったとします。 さて、あなたは何を望みますか？ これは昔、仲間内で流行った質問なのであります。 ちなみに、私の答えは「カツカレー」であります。 この設問の要は「あなたが本当に大好きで、一生同じモノを食べ続けなきゃならないとしたら何にする？」という事にあります。 「やっぱ、ご飯かな」と答えた人がいました。 「炊き立てのご飯がどんな食べ物よりも一番美味しいし、毎日食べても飽きないから」と言います。 確かに、「ご飯（米）」は我ら日本人の食の基本でありましょうが、これはあまりにも「欲が無さ過ぎ」というモノでしょう。 「フランス料理のフルコース」と答えた人がいました。 しかし、明らかにこれは「レギュレーション違反」なのであります。 ご存知の通り、「フランス料理のフルコース」とは「スープ」やら「前菜」から始まり、肉やら魚の「メインディッシュ」を経て「デザート」、しまいには「コーヒー」まで付いてしまうからです。 その上、パンも食い放題。 これはさすがに「神様」でも「OK」とは言わないのであります。 同様の理由で「ミックスフライ定食」や「味噌鯖煮定食」等の「定食類」もNGなのであります。 どうやら、この設問は「毎日提供される食事は、一つの皿に盛り付けられる料理に限る」という事になっているのです。 ですから先に「ご飯」と答えた無欲な人も、本当は「天丼」でも「牛丼」でも「ウニイクラ丼」でも良いしOKなのです。 でも「ご飯派」には結構頑固な人が多く、「天丼も牛丼もウニイクラ丼も毎日死ぬまでずーっと食べ続けるとなると、どうかなあ」などと言うのであります。 「だから、やっぱ、ご飯でしょ」と言うのです。 まあ、解らないでもありませんが、やはり単なる「ご飯」を願うのは私には「勿体ない」と思うのであります。 「死ぬまで一生同じ物を食い続けるとなると、栄養のバランスも考えなくっちゃいけないなあ」などと言う人もいます。 「そうなるとカロリーメイトかな」と言ったりします。 しかし、ここで再び考えて欲しいのは、「無人島で長生きするための食べ物」ではなく、「無人島で毎日食い続けられる大好きな食べ物」である事です。 あなたは「カロリーメイト」を一生食い続けられますか？ いや、「カロリーメイト」が何より大好きだって言う人もいるのでしょうけども。 「それって、出される食べ物を毎回何一つ残さず食べなきゃ駄目なの？」と聞いてきた人がいました。 実に鋭い質問であります。 それをどう食べようが、これはあなたの自由であります。 ですから「海鮮丼」を頼んで、上に乗っている具の中で「今日はイカとホタテとご飯だけ」とか「今日はマグロと海老とご飯だけ」とか組み合わせで食い変える事も出来るのです。 他の具は別に残しても良いのです。 でも、これはちょっと「卑怯」な気が私はするなあ。 「海鮮丼」が好きならば、毎日全部残さず食べ終わって欲しいなあ、と私は思うのであります。 「鮨」と答えた人もいました。 しかし、これはあまりにも「食べ物の総体」過ぎてNGなのであります。 「ラーメン」と答えた人も同様であります。 もう少し「絞り込み」しなくては駄目なのであります。 「鮨」なら「中トロ握り」とか、「ラーメン」なら「味噌ラーメン」と具体的に答えなきゃイケナイのであります。 もちろん、「味噌バターコーンチャーシュー大盛りラーメン」はOKですが、「味噌バターコーンチャーシュー大盛りチーズハンバーグ乗せラーメン」などと言う「一般的に有り得ない」注文はNGなのであります。 「冷やし中華」と答えた人もいました。 しかし残念な事に、この「無人島」には寒暖の差がある「四季」があるのであります。 冬の寒い日に毎食「冷やし中華が食えるか」って話なのです。 同様な理由で「おでん」と答えた人にも再考をお勧めしたのであります。 「湯豆腐」と答えた人にも上記の理由を説明したのですが、そしたらその人は「じゃ、夏は冷まして冷や奴にして食う」と言いました。 なるほど。 これは「あり」なのであります。 「それは出前先まで選べるの？」と聞いてきた人もいました。 つまり「○○飯店の固焼きそばとか、△△苑の固焼きそばとか、毎回店を自由に選んで良いの？」という事であります。 うーん・・・。 「神様」は「会社にある出前屋リスト」じゃないんだからー、とか思いつつも、一応それもOKなのであります。 さてさて。 「ビックマック」と答えた後輩の女の子がいました。 これを聞いて私はビックリしたのであります。 確かにマクドナルドの「ビックマック」は私も好きで美味しいと思うのですが、「それを一日三食、毎日、死ぬまで食べ続けられるの？一生だよ？」と思わず聞き返したのであります。 彼女はすかさず 「ビックマックなら、出来る」と答えたのでありました。 「俺もビックマックは好きだけどさあ・・・。一生は無理じゃないの・・・」と追求すると、「カツカレーって言う人に言われたくない」と切り替えされたのでありました。 そう私は「カツカレー」。 だって本当に好きなんだモン。 マジに毎日三食、これから一生食い続けてもＯＫなんだモン。 私を知る人は皆「ＳＹＵさんはいつもカツカレーですよねぇ・・・」と呆れているほどなんだモン・・・。 人の食い物の嗜好は、本当に人それぞれだと思ったのでありました。 この話、いつかまた、続きます。 |
目次へ 次のエッセイへ
トップページへ
 |
ご意見、ご感想はこちらまで |