SYU'S WORKSHOP
ESSAY VOL.86
「ミイラ男が歩いてた」
について

(2007年10月28日)


今日早稲田通りをトボトボと歩いていたら向こうからミイラ男がやって来て、私は腰を抜かさんばかりに愕いたのであります。

昼過ぎ、午後1時半頃だったでしょうか。

昨日は関東に台風が接近し一日中大雨だったのですが、本日は台風一過、雲一つない実に見事な快晴でした。
そんな中、私が歩いていた歩道から二車線挟んだ向こうの歩道を、ミイラ男が歩いて来たのであります。


そのミイラ男は身長が120センチぐらいとかなり小さめで、おそらく子供のミイラ男なのでしょう。
爪先から頭の天辺まで全身を包帯で覆われていました。
その周りを、彼の手下なのか、それとも彼の主なのか、数人の黒服の人間が取り巻いて一緒に歩いていました。
その黒服の人間たち、最初は大人だと思っていたのですが、どうやら身長が高く見えたのはみな先っぽの尖った長い帽子を被っているせいで、裾が広がった丈の長いワンピース・スカートを着ている事から、それは小さな女の子たちだと判りました。
彼女たちは手に手にオレンジ色の大きな提灯を持ち・・・、
あ。

今日は10月最後の日曜日。

これは。
これはハロウィーンの。
ハロウィーンの行列じゃないか。

ようやく気が付いたのであります。


オレンジ色の提灯は造り物のカボチャ。
黒服の女の子たちは魔女の扮装。
そして、全身包帯だらけのミイラ男も(これが男の子の扮装なのか女の子の扮装なのかは判らなかったのですが)凝ったコスプレだったのでした。

これを知って私は再度吃驚したのであります。
まさか、日本で、東京で、しかも真っ昼間、ハロウィーンの仮装した子供たちの集団を見るとは思ってもいませんでした。
この時期になると、「東急ハンズ」や「ユザワヤ」で、「ハロウィーン・コーナー」が出来上がり、コスプレ用の衣装や小道具等が売られている事は知っていましたが、これらはみな何処か家庭内で行われる「パーティ・グッズ」用なのだと思っていました。
それが実際に、身に纏って日中の大通りを闊歩している子供たちがいるとは!
注意深く観察してみると、明らかに「大人の魔女二人」が、その集団に付き添っていました。
もしかすると、彼ら彼女らの衣装も「出来合い」の物ではなく、洒落っ気ある母親たちの「手作り」だったのかも知れません。

彼ら彼女たちは、これから一軒一軒知り合いの家を廻り「Trick or Treat!」と尋ねて回るのでしょうか?
それとも単に何処かで開かれる「ハロウィーン・パーティ」に向かう途中なのでしょうか?

いやあ、驚いた。
私以外の通行人があまり驚いていなかったのは、私が知らなかっただけで、この時期よく見る光景だったのでしょうか。
実に良いものを見せて貰ったなぁ。

「ハロウィーン」に関しては映画「未知との遭遇(1977)」やアニメ「スヌーピー(1965〜)」(カボチャ大王!)や「ナイトメア・ビフォア・クリスマス(1933)」などといろいろと書きたい事もあるのですが、それらはいずれまた、なのであります。

いや、それにしても良く出来た「完璧なミイラ男」だったなぁ。


なんて思っていると、本当にウチの近所でマジな魔女集会が行われていたりなんかしちゃったりして。




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