ハードカバーの本を買うと、中にその出版社からの「近日刊行予定」のリーフレットが挟まれている事があります。 私はそれを読むのが大好きです。 購入予定の本がある訳でも、常に新刊をチェックしている訳でもなく、「世の中、どんな本が出回っているのか」知るのが楽しいのです。 いろいろな本の概略や解説、惹句を読むのが楽しいのです。 特に古本屋で買った昔の本の中に、その類を見つけると夢中になって隅から隅まで読んでしまいます。 それが高じて自分でも「架空書籍案内」なる物を、時々考えてみたりしているのです。 つまり、私の頭の中で考えた現実には存在しない出版社と著者が作った「架空の本」に、「もっともらしい解説」を加えた「嘘の書籍案内」なのであります。 「ライロック森林鉄道日誌」 ライヒ・ケルヒャー著。中村種夫訳。 輝望出版。 カナダの西、ライロックの森で第一次世界大戦前夜わずか二ヶ月間だけ運行された鉄道があった。 当時の機関士や客室乗務員の日記を元に、知られざる歴史の真実が暴かれていく。 第48回レイモンド・ダルヒ賞受賞。 「広汎性発達障害分室 西へ」 犬山猫丸・著。 総燐社。 早くにして亡くなった昭和の漫画家犬山猫丸の初期傑作短編集。 「広汎性発達障害分室 西へ」「広汎性発達障害分室 東へ」「広汎性発達障害分室 北へ」「広汎性発達障害分室 南へ」「ノン・パラトメリックは眠らない」「いわゆるそれがロン・アモン」「母性剥奪日和」「帰ってきた広汎性発達障害分室」の八篇を収録。 解説・高胸暁。 「スチームパンク・ハンドブック」 グループDAISU編。 レトロ舎。 伝説のボードゲームRPG「蒸気力年代記」を軸に、小説や映画に見るスチームパンクを詳細に解説。 数多く収録された写真やカラーイラストを見るだけでも楽しい。 スチームパンク・ファン必携の一冊。 「ラバーパンク・ハンドブック」 グループDAISU編。 レトロ舎。 先月発売されたボードゲームRPG「護謨創生史記」の入門書。 舞台は全てがゴム動力で動く架空の十九世紀倫敦。 その歴史や文化、技術、人物など詳細に解説。 百桁の計算を一瞬にして実行するゴム動力自動計算機や、百人近くの乗客を乗せ大西洋を航海する巨大ゴム動力旅客船など。 ラバーパンク・ファン必携の一冊。 「時は足下にあると思う君の気持ち」 イザンヌ・ラペ著。仁井木聡訳。 華凛書房。 出版から一世紀近く経って今なお多くの人々に愛される児童文学の傑作。 今回、仁井木聡によって新たに現代風に翻訳し直された。 当時未発表だった13点のオリジナル・イラストも初掲載。 「アドネ」 アネック・ドイネン著。市原項太訳。 錬燈社。 本書は世界ミステリ十指に入る傑作である。 発想の奇抜さと構成の見事さ。 そして意外な犯人と魅力的な探偵たち。 本作品に登場する十七人の探偵は、その後も多くの作家たちによるパスティーシュの中で生き続けている。 第22回国際アルチボンド賞受賞。 「総論 なぜ流し込みタイプはいけないのか」 早瀬いずる著。 元々出版。 幼少二歳の頃からプラモデル作りを趣味にしてきた作者の渾身の告発の書。 百四例にも及ぶ詳細な作者の体験談が、貴方のプラモデル・ライフに疑問を投げかける。 巻末に「大和糊で作ろうメイキング!」も特別寄稿。 「コロッケ五円ノ介の素敵な冒険5」 鐘々絶子著。イラスト西海つばこ。 コロネ新社。 全国で累計六千万部を売り上げたあの人気シリーズの最終巻が遂に登場します。 一夜にして消えたカルメラ城、甲賀隠密 番茶々丸とドロップ姫の愛の顛末、闇の一族金平党に伝わる宝剣糖龍の秘密など・・・。 本作において全ての謎が明らかにされています。 鐘々絶子と西海つばこの対談「うっかり者のラプソディ」も同時収録。 「猫ニャンと呼んで」 しのいでもと・絵と文。 殻依堂。 しのいでもとの初めての絵本です。 その心温まるストーリィと絵柄は子供だけに問わず多くの大人にも深い共感を与えることでしょう。 来月刊行予定の「ネコアシ」にも期待が高まっています。 「ライフガード・ノーマネー」 紺野君明著。 サイザンス出版。 期待の新人SF作家紺野君明の第二作目。 深夜2時のコンビニに1時間だけ発売されている缶飲料「レイチノ」とは? 木曜日の明け方、全国一斉に30秒だけ放送される「鰐の光通信」とは? そして大勢が体感した「赤外音楽」とは? 2009年春アニメ化決定! 「危篤-kitoku-」 写真・介在玄武。文・舞乃舞。 タッチネントキャッスル。 人気急上昇中のアイドル「舞乃舞」の初めての写真集です。 世界中いろいろな場所で舞ちゃんがちょっと危ないポーズを見せてくれます。 特にアリゾナのワイルドファイア研究所地下5階での写真は超貴重!! 舞ちゃんのプライベート・ライフを収録したDVDも付属しています。 「鵺と声と彼と宇蓮」 喜美幻浩二郎著。 亜蝋文化社。 19世紀の米国作家エドガー・アラン・ポーを始祖に持つ幻想文学の大系は、喜美幻によって一つの頂点を極めた。 これにより全ての幻想文学は「喜美幻以前」「喜美幻以降」と区別されるべきであろう。 一度日本語で書いた物語をポルトガル語に翻訳。それをギリシャ語、ロシア語、韓国語、カンビニ語、チェルキッシュ語、英語と翻訳を繰り返し、一端二進法に変換した後、再び日本語に戻して今回出版の運びとなったと云う。 出版までに半世紀以上を費やしたのも肯ける。 超難解。 以上、12冊の「架空書籍案内」でした。 一応全部、現実には存在していない「書籍名」「著者・翻訳者名」「出版社名」「文学賞名」にしたつもりなのですが、万一、同一もしくは類似の名称があった場合でも、実在の物とは一切関係はないのであります。 一部「エドガー・アラン・ポー」などよく知られている「固有名詞」も出て来ますが、それすら実在の人物・場所・団体等とも一切無関係なのであります。 どれか読んでみたい本がありましたか? ※無断転用再利用を禁じます。 |
ご意見、ご感想はこちらまで |