SYU'S WORKSHOP
巨神兵オーマ製作記
(中編)

(4/7)




「腫瘍チップ」の埋め込みは「二つの工程」に分かれます。

まず、表皮エポパテを貼り付けた直後に
「大きな腫瘍」を埋め込みます。
矢印の様な「腫瘍周りの盛り上がり」を出すためです。



続いて、「筋肉束モールド」の「スジ彫り」をしていきます。
「腫瘍」に「スジ」は直結させずに「寸止め」します。



そして、
「中小」の「腫瘍チップ」を埋め込んでいきます。

「スジ彫り」後に埋め込む事で、
「スジにまたがる腫瘍」や、
「腫瘍により歪曲したスジ」を再現するのです。



この方法で、
次から次へと「体表ディテール」を作っていきました。



一箇所作っては「エポパテ」が硬化するまで待ち、
それから別の場所を作っていったのですが、
それでも用心のために次の作業は
「近接した場所」を避け、
「離れた場所」を選びました。

一気に数ヶ所同時に作っていかなかったのは、
ひとつ作業している最中、
別の場所にうっかり触れてしまい
そこの「ディテール」を壊してしまう事を畏れたためです。
(ですし、作業している間に別の場所の硬化が進んでしまいます)

こんな時間のかかる方法、
誰もやらないワケです。



さらに、「体表」を作っていくと同時に、
再び「石粉粘土の素体」のおかしな所を見つけ、
それも並行して修正していく事となりました。



これは「背骨」を作っているところです。



「素体の背骨」に合わせて「エポパテ」を盛り、
「スパチュラ」で「椎骨」のつなぎ目をモールド、
彫刻刀の「丸刀」で「椎骨の凹み」を再現していきます。



さらに、「紙やすり」で整形したり、



「デザインナイフ」で大胆に削ったりして、
何とかカタチが出来上がりました。

ちなみに、
人間の「脊柱」は「33本の椎骨」で構成されていますが、
本「巨神兵オーマ」の「椎骨」は「19本」と簡略化しました。



漫画「風の谷のナウシカ」に登場する「巨神兵オーマ」。

その「6巻ラスト」から「7巻」に渡って「オーマ」の登場カットは
多いのですが、その「ディテール」は一定ではありません。



今回私が解釈した「筋肉束+腫瘍+血管」という
「オーマの体表表現」にも当然「違う解釈」があろうかと思います。

実は私にも、もうひとつ別の解釈がありました。
それは
「多くの複雑怪奇に絡み合った『管』で構成されている『人型ヒトガタ』」
というモノでした。
昔の怪奇作家「H・P・ラヴクラフト」が描いた
「クトゥルー神話」に出て来そうな「オーマ」の姿です。

しかし、私の技量ではそれを再現する方法が見つからず、
今回の「筋肉束+腫瘍+血管」という解釈を採用したのでありました。



つづきます。

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