SYU'S WORKSHOP
モリアーティの潜航艇製作記
(後編A)

(3/5)




「船体」「艦首」「艦尾」に「スジ彫り」を施していきます。



まずは「船体」から。

決めた位置に貼った厚みのある「ラインテープ」をガイドにして、
「ピンバイス」に噛ませた「針」で軽く「溝」を刻んだ後、



「1ミリの目立ちヤスリ」でスジ彫りしていきました。

今回「船体」も「艦首」も「艦尾」も「ムク」ではなく、
「中空」で作られています。
それぞれ内部にメカを仕込むためです。

また、それぞれの「外殻の厚み」は「1,5ミリ」ありますが、
それも「0,5ミリ プラ板」の積層で作られているにすぎません。

したがって、深く「スジ彫り」してしまうと、
「積層プラ板」がバラけてしまったり、
「外殻」自体を切断してしまう虞がありました。

結果、今回のスジ彫りは
いつもより「浅め」に施す事になったのであります。



「リベット」を打っていきます。
「リベット」は「宮崎メカ」の「命」です。

スジ彫りのラインから「1,5ミリ」内側に、
「1,2ミリ径」のリベットを、
「4,5ミリ」間隔で打っていく事にします。



使用したのは「IM PRODUCTS社」の「スケール・リベット」です。

これは「1ミリ、1,2ミリ、1,6ミリ」と三つの径のリベットが
たくさん入って値段も安い(600円前後)、
私のお気に入りの「ディテールアップ・パーツ」です。

しかしここで問題が生じました。
最近これが模型屋で見かけないのです。

メーカ・サイトの通販でも「在庫なし」。
どうやら今回の作業は私の数少ない手持ちだけで、
最後まで行うしかありませんでした。

こんな事なら前に見つけた時、大量に買っておけば良かったのですが、
「後悔」はいつでも「後」でするモノなのであります。

「1,2ミリ径リベット、消滅まで残り536個・・・」と、
「宇宙戦艦ヤマト」の最後に出てくるテロップの様に、
今回のリベット打ちが始まったのでした。



「船体」のリベット打ちは終わりました。

「1,2ミリ径リベット、残り341個・・・」



「艦首」と「艦尾」のリベット打ちの前に、
それぞれの形状を完成させていきます。

「マスキング」しているのは内部色を塗るため。
これを行わないと次の作業に進めないのです。



今回は各部分の色分けがとても面倒なのでした。



「1.艦首内部」「2.艦首外部」
「3.発射管内部」「4.発射管外部」「5.艦首外部別色」
はそれぞれ別の色であり、
「1」と「3と4」の色塗りが終わらないと、
艦首と発射管の接着は出来ず、
接着が終わらないと「発射管前扉」を作る事が出来ず、
それが出来ないと艦首と前扉のリベット打ちが出来ず、
それが出来ないと、
「2」と「5」の色塗りが出来ないのでした。



しょうがありません。
順調に作業が進まないのもフルスクラッチの宿命なのであります。

「艦首」内部を塗り「魚雷発射管」の内側と外側を塗って、
ようやく「艦首」に「発射管」を接着する事が出来ました。

「艦首」から飛び出している余分な「発射管先端」は、
「黒い瞬間接着剤」を盛った後、



「面一(つらいち)」となる様に整形していきました。

発射管の中にティッシュを詰めているのは、
作業時に出る「削り粉」が管内部に入ってしまうのを
少しでも防ぐ為。



「艦首」に付く「魚雷発射管前部扉」を作ります。

前に「艦首」から切り抜いた時の残りパーツが使えず(左)、
結局新しく作り直す羽目になりました(右)。



「前部扉」を可動させる「ヒンジ」を作っていきます。

小さな矢印が「ヒンジ本体」で、形状は後で整形します。
大きな矢印は
二つのヒンジ間隔が接着固定されるまでの「スペーサー」です。



「艦首側ヒンジ」が固定された後、
今度は「前扉側ヒンジ」を作っていきました。
ここも後々、整形していきました。



こうしてようやく
「艦首」のリベット打ちを始める事ができました。
やれやれ、です。

続いて「艦尾」のリベット打ちへ。
「1,2ミリ径リベット、残り231個」

続いて、すでにご紹介済みの「艦橋」のリベット打ち。
「1,2ミリ径リベット、残り171個」

そして「艦首マニピュレーター」のリベット打ちを終え、
今回の全てのリベット打ちが終わったのであります。



結局、
残った手持ちの「1,2ミリ径リベット」は「11個」だけでした・・・。
ギリギリ間に合ったのです。

これはまさに「007 ゴールドフィンガー(1964)」で、
「フォート・ノックス」の「合衆国金保管庫」に仕掛けられた
「核分裂装置」のカウンターが「007」で
停止された様なモノなのであります。
もしくは、
SF映画「アンドロメダ・・・(1971)」で、
「ワイルドファイア研究所」の「核自爆装置」が
「残り8秒前」で解除された様なモノなのであります。
うん。



しかし、これで私の「リベット人生」は
完璧に燃え尽きたのでした・・・。

(追加補記20100813)
ちなみに、「新キャプテン・スカーレッド」
(昔の人形劇を新たにCGでシリーズ化したモノ)で、
ロシアの開発基地の自爆装置を解除したのは
「006」でありました。



つづきます。

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