SYU'S WORKSHOP
ESSAY VOL.95
「私の愛した接着剤」
について

(2008年6月23日)


私がいつも愛用している接着剤について書きます。

生まれ付いての「接着剤マニア」で無い限り(なんだ、そりゃ)、モデラーほど数多くの接着剤を試して見て、お気に入りの接着剤を何本か持っている人種はいないのであります。



私が特に気に入っているのが、この4つです。



まずは、タミヤのプラモデル用接着剤「タミヤセメント『流し込みタイプ』」です。

これは「スチロール用溶剤型接着剤」です。
「流し込みタイプ」ですから、水よりもサラサラしており、貼り合わせる二つのパーツの隙間に浸透していきます。
そしてプラ自体の表面を溶かし、互いを融合させ強固に接着します。

「タミヤセメント」には、もう一つ「角ビン」というヤツもあります。
これは「繋ぎ」としての「樹脂」が配合されていて、「どろり」としているのが特徴です。
こちらは通常の使い方で、接着する面に前もって塗っておき、両方を合わせて接着するモノです。

当然の事ながらどちらも、プラ以外ではまったく役に立ちません。



この「タミヤセメント」には蓋裏に接着剤添付用の小さな「刷毛」が付いています。
私は古くなったこの「刷毛」に「竹ひご」を継ぎ足し、専用の「柄の長い筆」を作って使用しています。

こうするとプラモデルの奥まった所にも簡単に届き、とても便利なのであります。



これは「セメダイン」の「スーパーX(クリア)」です。

「シリコーン系接着剤」であります。
「金属」や「プラスチック」、「ゴム」「タイル」「木材」「布」「紙」等々、
あらゆる素材同士を、強力に接着する事が出来ます。

5分ほどで粘着力が生まれ、1日ほどで完全硬化します。
これは空気中の「湿気」に感応して硬化するらしいので、梅雨時や雨の日の工作に向いているのかも知れません。
シリコーン系で硬化後も弾性を保ち、力を掛けても剥がれる事はありません。



これには「ノズル」と「ヘラ」が付いていて、小さな部分も、面積の広い場所にも使い易くなっています。

以前作った(実はまだ作っているのですが)「モリアーティのアジト」の「シナベニア」と「木製パネル」の「ジオラマ基本ベース」も、この「スーパーX」で組み立てました。



さらに細かい所の接着にも、私はこれを愛用しています。
適当な紙に少量出し、「爪楊枝」ですくい取って接着面に塗っていくのです。

モリアーティのアジト」の床に散らばる家具や缶詰などの小道具類、「モリアーティの潜航艇」の艦内パイプや計器類も、これを使用して接着しました。



これは「コニシ株式会社」の「エポクリヤー」です。
「クリアー」ではなく「クリヤー」です。



「A剤」と「B剤」二種類を合わせる「エポキシ系接着剤」で、「速効5分硬化」の物をよく使っています。
素速く接着したいけども「瞬間接着剤」に見られる「白化」を嫌う時に、これが役に立ちます。

とは言え、私はこの「エポキシ」の臭いが苦手で、さらに直に手に触れてないのに指先が被れてしまう事もあり、注意が必要なのでした。

「揮発」でもなく「湿度」でもなく、二液を合わせる事で「化学反応」による硬化、という事実に「ソソられる」のですが、その実、あまり接着力が強くないのが少し残念なのであります。
やっぱり臭いし。



そして「COLLE VITRAGES」の「SPECIAL RHODOID GLUE」です。

「木工ボンド」と同じ「酢酸ビニル系接着剤」だと思われます。
数十年前に模型店で購入し、それ以降二度と見かける事は無いのですが、私はこれが「一番好きな接着剤」なのでした。



これは「カーモデラー」の方が、フロントガラスやライトレンズ等の透明パーツを接着する際に使用する接着剤みたいです。
私は「AFV模型」のレンズ部分や、以前作った「フラップター」の風防、「ラムダの操縦席」のメータ類、「巨神兵オーマ」の眼球の接着等に使用しています。


成分は木工ボンドと同じだと思うのですが、水のようなサラサラした状態で、小皿に一滴垂らし「面相筆」で接着部分の周囲に「流し込こん」で使用します。
この時の「面相筆」は、すぐ水で洗っておかないとカチンカチンに固まってしまいます。
そしていったん固まった後は、今度は二度と水で洗い流す事は出来なくなります。



基本的には少量流し込みで使うので、硬化は5分ほど。
乾燥すると「半透明」の状態になり、そうなると驚くべき接着力を発揮します。

上の写真は金属製の「万年皿」で硬化した物です。
前述の「スーパーX」も「エポクリヤー」も硬化後、金属皿の上では簡単にポロリと剥がす事が出来るのですが、この「SPECIAL RHODOID GLUE」はなかなか剥がせなくなるのであります。

また、乾燥・硬化により当然「目減り」するモノの、これは細かい隙間の「充填パテ」としても使えます。
硬化後、激しく「目減り」した所には、再び充填するのです。
モリアーティの潜航艇」の「潜舵」「縦舵」「横舵」は、船体への接着を「スーパーX」、出来た微妙な隙間にこれを使っています。


と言うワケで以上、簡単ながら「私の愛した接着剤」でした。



ところで皆さん、素麺やパスタを茹でる時。
袋の裏側の説明書きを見て、「ああ、これは5分硬化かぁ」などと思わず呟いている事はありませんか?

私はあります。

もちろん「硬化」ではなく、真逆の「軟化」いや「茹で上がり」を指しているのですが、私らモデラーたちは習慣的に「硬化」って言ってしまうのでした。

私だけかな。




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