大昔、私が中学・高校の時に嵌っていたラジオの深夜放送、以前エッセイにも書いた「ラジオ関東(現・アール・エフ・ラジオ日本)」の「男達の夜・・・かな!?」であります。 その番組の中で「ショート・ショート・コーナー」という「400字で話を創る」コーナーがあり、私は「零十三」というペンネームで度々出し読まれていたのでした。 今で言うなら「常連のハガキ職人」となるでしょうか。 前に「幽霊がやって来る」「ある午後の団地の風景」という作品を紹介しましたが、今回新たに別のショート・ショートが見つかったので、ここに書いておくのであります。 お腹が空いた 東京都・零十三 吹雪の中、道に迷ってしまった母と子。 洞穴を見つけ寒さから逃れたものの、飢えだけはどうすることもできない。 「おなががすいた」 子供にせがまれる母親。彼女は自分の左足を切って息子に与えた。その次は右足。左手、肩の肉・・・。 その他すべてのモノを子供に与え続けた。 そしてある日、救助隊は白骨のそばで奇跡的に生きのびている子供を発見した。 子供は親戚のウチに引き取られることになった。 子供は成長した。 少年から青年になり大人になった。そして、結婚。 相手は何でもファッション・モデル出だとか。 友人たちに送られて、二人はハネムーンに出発した。 そして初めての夜。 恥じらいながら女はベットで男を待つ。やがて来る男。 彼女の耳元で静かに囁いた。 「お腹が空いた」 (1978年1月放送?) 前の「ある午後の団地の風景」も今回の「お腹が空いた」も「カニバリズム」の話です。 当時、愛読していた早川書房「異色作家短篇集」の影響がある様に思います。 「ロアルド・ダール」や「ジョン・コリア」、「ロバート・シェイクリィ」や「チャールズ・ボーモント」。 「ジャック・フィニィ」等々の奇妙な味の短編作家たちが私は大好きだったのです。 さらにそこには、以前から好きだった「SF」で見かける作家たちも数多くいたのです。。 「フレドリック・ブラウン」や「シオドア・スタージョン」、「リチャード・マシスン」や「ロバート・ブロック」。そして、我が愛すべき「レイ・ブラッドベリ」! どうやら私は、「SF」でも「奇妙な味」でも「幻想」でも「ファンタジー」でも「児童文学」でも、「普段有り得ない異常で変わった世界」を見させてくれるモノが大好きなのでした。 これが私が「私小説」や「純文学」が苦手な所以であります。 自慢じゃ無いけど、私は「ドフトエフスキー」も「池波正太郎」も読んだ事がないのです。 あ。本当に自慢じゃないですねえ。 |
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