【ヴィクトリア朝】 1837年に即位し、1901年に逝去したビクトリア女王の治世「64年間」を「ヴィクトリア朝時代」と呼ぶ。 ちなみに、「コナン・ドイル」の初めてのホームズ譚「緋色の研究」が出版されたのは、ヴィクトリア女王即位50周年にあたる「1887年」の事である(物語の設定は1881年)。 この「ヴィクトリア朝」は「蒸気機関車の普及で始まり、ガソリン自動車の到来で幕を閉じた時代」であった。 「石炭と蒸気の時代」と云われる所以である。 →元に戻る 【タイムマシン】 「H.G.ウェルズ(1866-1946)」の「タイムマシン」が発行されたのは「1895年」。 科学教師をしていたウェルズが「ニュー・レヴュー」誌に「タイムマシン」を連載していたのは「1894年」の事で、この成功により彼は小説家の道を歩み出す。 ちなみに、ホームズが40歳の年である。 ちなみにちなみに、誰も訊いていないが俺の「時間旅行物SFベスト3」を選ぶとすれば、 「タイムマシン(小説)(H.G.ウェルズ)」 「夏への扉(小説)(ロバート・A・ハインライン)」 「タイムトンネル(TVシリーズ)」 である。 →元に戻る 【吸血鬼ドラキュラ】 アイルランド出身の「ブラム・ストーカー」がロンドンで「吸血鬼ドラキュラ」を出版したのは「1897年」の事。 しかし、小説の中には年代を特定出来る記述はなく、「1887年説」「1893年説」「1898年説(つまり出版の翌年が舞台という説)」等々、諸説ある。 ちなみに、出版された「1897年」は、ヴィクトリア女王即位60周年の年である。 ちなみにちなみに、コナン・ドイルのホームズ物語の中には「サセックスの吸血鬼」という短編がある。 また、「シャーロック・ホームズ対ドラキュラ あるいは血まみれ伯爵の冒険」なるパスティーシュもある。 「キワモノ」っぽいタイトルではあるが結構面白い小説であった。 →元に戻る 【シャーロック・ホームズ】 シャーロキアンの研究によれば、ホームズが生まれたのは「1854年1月6日」の事である。 彼がモンタギュー街で「諮問探偵」を始めたのが「1877年」(ホームズ23歳)。 ワトソンと出会いベイカー街「221B」で暮らし始めたのが「1881年」(ホームズ27歳)。 「1888年」には、有名な「恐怖の谷」「四つの署名」「バスカヴィル家の犬」事件を解決している(ホームズ34歳)。 「1903年」には探偵業を引退し、サセックスの丘陵に移り住んだ(ホームズ49歳)。 アニメ「名探偵ホームズ」を見ると、ドイルの原作(シャーロキアンたちは『正典』と呼ぶ)より後の時代に設定されているのが判る。 すなわち、アニメ「青い紅玉」ではモリアーティの動力付き飛行機が空を飛び(史実では1903年のライトフライヤー号が初飛行)、アニメ「ドーバーの白い崖」ではドーバー海峡横断航空郵便が登場(ドーバーを飛行機で横断したのは1909年。さらに1919年にようやくロンドン〜パリ間の定期航空郵便が就航)しているからだ。 「青い紅玉」を再び見ると、ロンドンの跳ね橋「タワーブリッジ」が出てくるので(史実では1894年に完成)、どうやらアニメ「名探偵ホームズ」の設定は1894年より後、おそらく1910年前後を想定している様に思える。 ちなみに、俺の「モリアーティのアジト」は「1890年前後」を想定した。 何としても「19世紀末」の「ヴィクトリア朝時代」にしておきたかったからである。 →元に戻る 【ヴィクトリア朝を舞台にした小説】 製作記に書いた以外にもたくさんの「ヴィクトリア朝を背景にした小説」が俺は大好きである。 チャールズ・ディケンズ「クリスマスカロル(1843)」。 ジュール・ベルヌ「気球に乗って五週間(1863)」。 ジュール・ベルヌ「地底旅行(1864)」。 ルイス・キャロル「不思議の国のアリス(1865)」。 ジュール・ベルヌ「海底二万哩(1869)」。 ジュール・ベルヌ「八十日間世界一周(1872)」。 ロバート・ルイス・スティーブンスン「ジキル博士とハイド氏(1886)」。 H.G.ウェルズ「ドクターモローの島(1895)」。 ジュール・ベルヌ「悪魔の発明(1896)」。 H.G.ウェルズ「透明人間(1897)」。 H.G.ウェルズ「宇宙戦争(1898)」。 これらはみな俺が小学2〜3年生の時に夢中になって読んだ物語で、その時の影響が私を「ヴィクトリア朝好き」にしたのだと思う。 と言うか、列挙してみると結局「SF」が多いのである。 →元に戻る 【マイ・フェア・レディ】 「マイ・フェア・レディ(1964)」は実に素敵なミュージカル映画である。ヴィクトリア朝時代の貧民層から上流階級まで、実に様々な当時の人々の生活を再現して見せてくれた。 もちろん、ここに登場する女嫌いでエキセントリックな言語学者「ヘンリー・ヒギンズ教授」は「ホームズ」であり、相棒の温厚で紳士的な「ピカリング大佐」は「ワトスン」である。 もちろん、原作の戯曲「ピグマリオン(1912)」を書いた「ジョージ・バーナード・ショー(1856〜1950)」はコナン・ドイルと同時代人であるが、この「ピグマリオン」の元ネタはギリシャ神話にある。 映画化にあたって(もしくはそれ以前の舞台時に)「ホームズ色」が入ったのだろう。 →元に戻る 【メリー・ポピンズ】 ディズニーの楽しいミュージカル映画「メリー・ポピンズ(1964)」の設定は「1910年」であるから、正確には「ヴィクトリア朝が舞台」ではなく後の「エドワード朝(1901年〜1910年)」が舞台である。 原作である「パメラ・L・トラヴァース」の「風にのってきたメアリー・ポピンズ(1934)」でも年代は特定していないが「エドワード朝」の物語とされていた。 →元に戻る 【モリアーティのアジト】 このアジトはアニメ「名探偵ホームズ」において、ロンドンの西「ハイド・パーク」の隣り「ケンジントン公園」の「丸池」の真ん中にある「浮島」の地下、と設定されている。 地下の秘密基地で、モリアーティの「第一アジト」である。 しかし、実際には「丸池」の真ん中に「浮島」はなく、「名探偵ホームズ・マニア」の間では「アニメには描かれていないけども、モリアーティの事だから何かヘマやって吹き飛んだんじゃない?」という事になっている(俺だけの説だが)。 ちなみに、この「ケンジントン公園」にはあの「ピーターパン」の銅像がある事でも有名である。 ちなみにちなみに、正典においてモリアーティのアジトなんてものは出てこないのだが、ホームズにはロンドンに「5つの隠れ家」を持ち、そこには「変装道具」も揃っていた事が記されている。 →元に戻る 【ジェームズ・モリアーティ】 アニメ「名探偵ホームズ」では毎回ホームズとドタバタの攻防戦を繰り広げる教授だが、コナン・ドイルの60編ある正典の中では実は「二回」しか登場していない。 「恐怖の谷」と「最後の事件」である。 ちなみに、その「最後の事件(1891)」では、スイスの「ライヘンバッハの滝」にホームズと共に滝壺に落ち絶命している(その後、ホームズだけは生還)。 ちなみにちなみに、何故「教授」かというと、以前とある大学の「数学教授」をしていたからである。しかしやがて、その天才的才能は間違った芽を息吹き、ついには「犯罪界の王」となってしまうのである。 →元に戻る 【ドラム缶】 19世紀末、米国の元女性新聞記者がイギリスを旅行した際に見かけた「グリセリンの入った金属容器」をヒントに、頑丈な燃料容器を作ったのが「ドラム缶」の始まりだという。 それが「1903年」の事。 という事は「1890年前後」を設定している俺の「モリアーティのアジト」のジオラマに「ドラム缶」があるのは、これ間違いである。 えへ。 さらに、俺は以前の「モリアーティのプテラノドン製作記」で、この飛行機は「RAI社製1888年仕様2気筒蒸気エンジン」を搭載していると書いた。 ちなみに、「RAI社」とは、アニメ「小さな依頼人」でモリアーティが使っていた「偽金プレス機」の「蒸気機関のメーター」に「RAI社製」と描かれていたからなのだが、ちなみにちなみに、この「RAI」とは日米合作アニメ「名探偵ホームズ」のイタリア側「国営放送局RAI」の名前なのだが、ま、そんな事はどうでも良いのだが、その「蒸気エンジン」の飛行機格納庫に「ドラム缶」などがあるのだろうか、という疑問も当然ながら浮かぶ。 ま、「1903年」以前、実際に研究・開発されていた「蒸気エンジン搭載飛行機」の多くが「石炭」ではなく「灯油などの燃料」が使用されていたらしいので、きっと、そういうモノが入っているのだろう。 →元に戻る 【モリアーティとプテラノドン】 この絵画はアニメ「ミセス・ハドソン人質事件」で、誘拐されてきた掃除好きのハドソン夫人によって、見違えるように奇麗になった「モリアーティのアジト」の居間にかかっていた。 →元に戻る 【ナポレオン】 正典においてホームズはモリアーティを「犯罪界のナポレオン」と、ある意味讃えている。 この絵は「ジャック・ルイ・ダヴィッド」の「サン・ベルナール峠を越えるボナパルト(1801〜02)」。 もちろん「アジト」に飾ってあるのはレプリカ。 →元に戻る 【ジョコンダ夫人の肖像】 「レオナルド・ダ・ヴィンチ」の「モナリザ(1503〜07)」である。 アニメ「ミセス・ハドソン人質事件」において、モリアーティは誘拐したハドソン夫人と交換に、ホームズにこの絵の盗難を強要した。 もちろん「アジト」に飾ってあるのはレプリカ。 →元に戻る 【宝石店マキシムの名画】 アニメ「青い紅玉」において、宝石店マキシムの壁に掛かっていた名画。 この名画の裏に隠し金庫があり、そこには「青い紅玉」が隠されていた。モリアーティは「青い紅玉」と共にこの名画も盗んできたのであろう。 ちなみに、正典でも同名の短編があり(物語は違う)、クリスマスを舞台にした俺の好きな話の一つである。 →元に戻る 【棺桶】 アニメ「ミセス・ハドソン人質事件」において、モリアーティは「棺桶」の中に眠らせたハドソン夫人を入れたまま、自分のアジトへ誘拐してきた。 この棺桶トリックは正典「フランシス・カーファックス姫の失踪」でも使われている。 →元に戻る 【調理用レンジ】 ヴィクトリア朝に普及した一台でオーブンとレンジの二つ同時に使える「調理用レンジ」は中流家庭に革命をもたらした。 より凝った料理が出来る様になり、台所仕事の人数を少なくし、結果、雇い入れる女中の数を減らす事に成功したのである。 ちなみに、俺が作っているのは「直火式石炭レンジ」と言われるタイプで、「1780年」に「トマス・ロビンソン」が初めて設計し、以降、様々な形が作られた。 これはやがて「火箱の天板」も鉄板で覆う「箱形レンジ(キチナー)」へと姿を変えていく。 ようやく「ガスオーブン」が一般に普及し始めるのは「1900年」以降の事である。 →元に戻る 【潜水艦】 潜水艦の歴史は意外と古く、実戦で最初に使用されたのは「米独立戦争(1775〜83)」さなかの「1776年」、一人乗り潜水艦「タートル号」であった。 その後も潜水艦の研究・開発は続き、「南北戦争(1861〜65)」の「1864年」には「デイビッド艇」と呼ばれる潜水艇が初の「敵艦撃沈」に成功している。 正典であるホームズ譚にも潜水艦が登場する物語が一つだけある。 それは「ブルース・パティントン設計書」で、最新鋭の潜水艦の設計図が何者かによって盗まれるという事件だった。 この話はホームズの兄「マイクロフト・ホームズ」が登場する数少ない物語の一つでもある。 ちなみに、「マイクロフト・ホームズ」が初登場したのは正典「ギリシャ語通訳」である。 ちなみにちなみに、初の魚雷発射管を装備した潜水艦が考案されたのが「1879年」だというから、アニメ「名探偵ホームズ」でのイギリス海軍の巨大戦艦とモリアーティの潜航艇が、テームズ河で大海戦を繰り広げるという「海底の財宝」の物語も、あながち破天荒とは言えないのかも知れない。 やっぱ、破天荒か。 →元に戻る 【アジトの天井】 この地下にあるアジトの天井は機械仕掛けによって開閉する仕組みになっている。 劇中その描写は無いが、そこから「プテラノドン」が飛び立つのだ。 でもどうやって? 宮崎駿は「(もしやったとしたら)ゴム紐かなんかにしたと思いますよ」と当時のインタビューに答えている。 どうやら「カタパルト」を使い、開いた天井から真上に打ち出すらしい。 でも着陸はどうするんだろう? 俺の妄想では多分、あの地下にある床の一部が天井まで「せり上がっ」たり「せり下がっ」たりするんだと思う。 →元に戻る 【歯車】 19世紀のビクトリア朝は「石炭と蒸気の時代」であり、それは同時に「歯車の時代」でもあった。 取り出した動力をいかに効率的にそれぞれの目的のため伝達出来るかに、当時の科学者や技術者はみな苦心したのである。 アニメ「海底の財宝」のモリアーティの潜航艇内部や、劇場長編「天空の城 ラピュタ」の空賊船「タイガーモス号」の機関室でも、盛大に「歯車」が回っていた。 この宮崎駿の「歯車嗜好」のルーツは昔のフランスのアニメーション「やぶにらみの暴君(1952)(ポール・グリモー)」にあると思う。 そしてその傑作アニメーションには、それ以外にも多くの宮崎駿のルーツを見つける事が出来るのだ。 ちなみに、俺の好きな「歯車メカ」は、これは宮崎駿ではないのだが、大友克洋が総監督したオムニバス・アニメ「ロボット・カーニバル(1987)」の中の「明治からくり文明奇譚 紅毛人襲来之巻(北久保弘之)」である。 明治時代の東京の下町で、日本の巨大歯車ロボットと西洋の巨大歯車ロボットが戦うという、馬鹿馬鹿しくもとても素敵なアニメであった。 ちなみにちなみに、これは本当に蛇足であるが、芥川龍之介の晩年の短編小説「歯車」は、実に陰鬱で救いのない物語であった。 →元に戻る 【缶詰】 缶詰の原理が発明されたのは「1804年」の事。 ナポレオンのロシア遠征のための「軍用保存食」であった。 しかしそれは正確に言うと「瓶詰め」であり、それが「ブリキ」による本当の「缶詰」となり一般に出回る様になったのは、「1810年」にイギリスに世界初の缶詰工場が出来てからである。 もっとも当時の缶詰は上蓋の周囲が「鉛」でハンダ付けされており、それをノミとトンカチで切り離して開けるものであった(鉛毒について知られたのは後々の事である)。 缶詰が一般の家庭に普及しだしたのは「1860年以降」の事で、南北戦争(1861〜65)」によるアメリカの缶詰産業の発展と、家畜の疫病(1863〜67)が契機となっている。 「1875年」になって最初の「缶切り」が考案され、ようやく今の形が出来上がった。 ちなみに、日本では「1871年」に長崎で初めての鰯の油漬けの缶詰が試作され、「1877年(明治10年)」には北海道の「石狩罐詰所」にて本格的な缶詰生産が始まった。 →元に戻る 【どんぶり】 この「どんぶり」は「ラーメンどんぶり」である。 アニメ「青い紅玉」ではアジトの中に、食い終わった出前のラーメンどんぶりが積み重なっている描写がある。 宮崎駿の「悪者キャラ」の食事はいつも貧しいのだ。 片やホームズの方は正典「花嫁失踪事件」で、近くの料理屋から「一対の山鴫の冷肉、雉、鵞鳥のフォアグラのパイ、年代物のワインを数本」を取り寄せて豪勢な宴を開くシーンがある。 ちなみに、ホームズの下宿の女主人「ハドソン夫人」の名誉のために書いておくと、彼女の料理の腕は「朝食に関してはスコットランドの女はだしだ」と正典でホームズは賞賛しているし、アニメ「ミセス・ハドソン人質事件」では、モリアーティの大好物である「キドニーパイ」を美味しそうに焼き上げていた。 さて、ラーメンの話であるが。 ヴィクトリア朝ロンドンにラーメンの出前なんてモノはない。 多分。きっと。絶対。 →元に戻る 【お茶】 イギリス人の生活に今も昔もお茶は欠かせない。 特に「アフタヌーン・ティー」には、貴族も貧民もイギリス人なら誰もがその時間にカップを傾けていたものである。 その際には、中流・上流階級であれば「簡単なサイドイッチ」「スコーン」「ワッフル」「ビスケット」等が一緒に出されたし、下層階級でも町中の「お茶の屋台」に群がっていたのである。 アニメ「海底の財宝」の中でも、財宝を狙うモリアーティたちが海上に出た潜水艦の上で、このお茶とビスケットの時間を楽しんでいた。 →元に戻る 【ウイスキーとブランデー】 アニメ「名探偵ホームズ」において、モリアーティ教授は「ブランデー」を愛飲していた様だ。 「ミセス・ハドソン人質事件」でも、自分の大切なブランデーを手下の「トッド」と「スマイリー」にこっそり飲まれてしまい「これは高級品なんだよ!」と愚痴っている描写がある。 また、正典においてホームズとワトスンは「ウイスキーのソーダ割り」を好んでいた様だ。 ホームズの部屋には「ガソジン/ガソジーン」と呼ばれる「炭酸水製造器」が常備されている。 アニメの方でもワトスンが「ウイスキーのソーダ割り」を飲んでいるシーンがあり「よく調べてるなあ」と妙に感心したものである。 →元に戻る 【ワイン】 正典においてホームズが好んで飲んでいたのはフランス・ボルドー産の赤ワインで、当時イギリスではこれを総じて「クラレット(Claret)」と呼んでいた。 「赤紫色」の意味を持つ。 また「最後の挨拶」において、ドイツのスパイを捕らえたホームズとワトスンは「トカイ・ワイン(Tokay)」で乾杯している。 これはハンガリー北東部の火山灰地にある「トカイ村」で作られる高級な甘い白ワインである。 →元に戻る 【ミルク】 正典において「ミルク」で思い浮かべるのは「まだらの紐」という短編である。 この物語の中で「グリムズピー・ロイロット博士」が財産目当てに「ミルクで飼い慣らした毒蛇」を使って義娘を殺すのだ。 が、しかし、実際には蛇はミルクを好まない。 と言うワケで、「まだらの紐」が出版された「1892年(事件発生は1883年)」以降、「100年以上に渡って」多くのシャーロキアンたちから「蛇はミルク飲まないし」という数多くの「ツッコミ」を「コナン・ドイル」は受ける事になる。 どうやら、当時アフリカ辺りでは「蛇はミルクを好む」という間違った風評があったらしい。 ちなみに、当時ロンドンでは近郊の農家から「ミルク売り」が毎日天秤を担いでやって来ていたのだが、それは「大量の水で薄めた酷い物」も多かったという。 「1868年以降」鉄道輸送や駅に作られた冷蔵庫などにより、ようやく新鮮な牛乳が大都市ロンドンに供給される様になる。 酪農地帯を通る「グレート・ウェスタン鉄道」は「牛乳鉄道」と呼ばれていた。 →元に戻る 【パスタ】 俺は「パスタ」でいつも思い出す宮崎駿の(が関わった)アニメのシーンが二つある。 一つはTVシリーズ「母を訪ねて三千里(1976)」。 「マルコ」のイタリア時代。 大鍋に大量に沸かした湯にパスタの束を入れてグツグツと茹で、昼食のため帰宅してきた父親と一緒に、「塩」と「粉チーズ」だけで「ムシャムシャ」食べるシーン。 もう一つは劇場長編「ルパン三世 カリオストロの城(1979)」。 「カリオストロ公国」の城下町に宿を取ったルパンと次元が、「ミートボール」がゴロゴロ入った特山盛りのパスタを奪い合いながら「ワシャワシャ」食べるシーン。 どちらも実に旨そうなシーンであり、この場面を観る度に俺は、パスタを茹でて「モリモリ」食うのである。 →元に戻る 【ハドソン夫人】 ホームズとワトスンが住むベイカー街「221B」の下宿の大家である。 正典では「人の良い老婦人」であったが、アニメ「名探偵ホームズ」では「若い未亡人」として描かれていた。 ちなみに当初、宮崎駿は犬キャラばかりの「名探偵ホームズ」の中で、このハドソン夫人だけを「妙齢な若い人間の女性」にする事に拘ったという。 ちなみにちなみに、正典ファンのシャーロキアンたちには、彼女の名前は「マーサ」であるというのが大方の共通した意見であるが、アニメ「名探偵ホームズ」では「マリー」と呼ばれていた。 →元に戻る 【ハドソン夫人の造形】 アニメ「名探偵ホームズ」はイタリアとの合作だが、最初に話を持ちかけてきたのはイタリア側であった。 その際、ハドソン夫人の造形は「ブルドックのおばさん」だったという。 ハドソンを「人間の美女」にしたかった宮崎駿だが、それは受け入られず、それでも最後に頑強に抵抗して今の「犬の若い未亡人」に変えさせたという。 実に正解であった。 →元に戻る 【モリアーティの造形】 アニメ「名探偵ホームズ」のモリアーティの造形の源流は、大昔のTVアニメ「ハッスルパンチ(1965〜66)」の「ガリガリ博士」にあると私は思う。 さらに言えば、その途中に位置するのが劇場アニメ「どうぶつ宝島(1971)」の「男爵」にあると思う。 どちらも「もりやすじ」のキャラクター・デザインだが、若き宮崎駿もスタッフとして参加している。 ここには由緒正しい「東映動画」の、愛らしくて憎めない「動物擬人化悪者キャラ」の系譜があるのだ。 →元に戻る 【ジャポニスム】 19世紀末ロンドンは「オリエンタリズム」「ジャポニスム」などの異国文化が流行した時代でもあった。 日本の文化・美術がイギリス人の注目を浴びる様になったのは、1862年にロンドンで開催された「万国産業博覧会」が切っ掛けで、1885年の「ジャパン・ヴィレッジ博覧会」「歌劇ミカドの公演」で火がつく事となった。 ちなみに、「夏目漱石」がロンドンに留学したのが「1900〜02年」の事であり、これにより、日本のパスティーシュ小説には「ホームズと漱石が出会う話」がいくつも書かれている。 アニメ「名探偵ホームズ」にも(宮崎駿じゃない回だが)漱石が出てくる話があった。 →元に戻る 【北斎の赤富士】 19世紀前半の江戸時代、「葛飾北斎(1760〜1849)」によって描かれた浮世絵である。 正式には「富嶽三十六景 凱風快晴」と言う。 「名所絵」と言われるモノで、当時の「旅行パンフレット」的な意味合いも持っていた。 山のないイギリスに住むモリアーティが、遠く東洋にある「神秘的な山」に、興味を持っていたのも当然であろう。 →元に戻る 【雪舟の秋冬山水画】 15世紀後半の室町時代、「雪舟(1420〜1506)」によって描かれた水墨画である。 ここにあるのは「秋冬山水画」の二枚ある内の一枚「冬景図」の方で、当然これはモリアーティの作った「贋作」であろう。 雪舟は幼少時代、寺の柱に縛り付けられ、自分の涙を使い足の親指で、「超写実的な鼠」を描いた人で有名である。 →元に戻る 【写楽の奴江戸兵衛】 18世紀後半の江戸時代、「東州斎写楽(1763〜1820)」によって描かれた浮世絵である。 正式には「三代目大谷鬼次の奴江戸兵衛」と言う。 彼が浮世絵を残したのは「1794年から1年間」だけで、それにより「謎の絵師」と呼ばれている。 レンブラント、ベラスケスとともに世界三大肖像画家と称され、その作品の多くは海外に流出してしまっている。 実際にホームズの「1890年代」には大量の「贋作」がロンドンに出回っており、シャーロキアンたちは「これはモリアーティの仕業に違いない」と言っているとか、言わないとか。 ちなみに、手塚治虫の「三目がとおる(1974〜78)」に登場する「写楽保介」は「シャーロック・ホームズ」、「和登千代子」は「ワトスン」の捩りである。 →元に戻る 【歌麿の浮気乃相】 18世紀後半の江戸時代、「喜多川歌麿(1753〜1806)」によって描かれた浮世絵である。 正式には「婦人相学十体 浮気乃相」と言う。 美人画で有名で、遊女や花魁を好んで描いた。 →元に戻る 【ジャン・バティスト・グルーズ】 18世紀のフランスの画家(1725〜1805)である。 「美少女画」を多く描いた事から、「モリアーティって、やっぱロリコン」などと陰口を叩くヤツがいるとか、いないとか。 日本の「高畠華宵」みたいな画家なのであろう。 →元に戻る 【腕を組む少女】 現在は「スコットランド国立美術館」に所蔵されているらしいが、本ジオラマ「モリアーティのアジト」にあると言う事は、スコットランド国立美術館の方が「贋作」なのだろう。 多分。 →元に戻る 【ホイッティカー年鑑】 当時イギリスで一番有名だった年鑑である。 年鑑だから当然、毎年発行されている。 正典「恐怖の谷」では、これが暗号を解く鍵となった。 →元に戻る 【ブラッドショー時刻表】 ホームズの時代によく利用されていた時刻表である。 「1839年」から「1961年」までの長い間、毎月創刊され、鉄道をよく利用していたホームズにとっては欠かせない雑誌であった。 ホームズが持っていると言う事は、当然モリアーティも持っているのである。 正典「ぶな屋敷」「恐怖の谷」に登場する。 →元に戻る 【ニューゲイト監獄歴報】 通称「ニューゲイト・カレンダー(Newgate Calendar)」。 正典「三人ガリデブ」に登場する。 当時ロンドンのど真ん中には「煉瓦造りの監獄」があり、そこに収監された「犯罪者」の経歴や、犯行記録が「スキャンダラス」に記されていた。 19世紀までロンドン市民は、悪趣味な事に皆、犯罪者や犯罪記録が「大好き」だったのである。 ま、今も日本でワイドショーや写真週刊誌が人気な事を考えれば、昔も今も、ロンドンも日本も変わんないちゅー事か。 ちなみに、ニューゲイト監獄前の広場での「公開処刑」が禁じられたのは、わずか19世紀直前の事だったらしい。 それまでは公開処刑の日に「屋台」が出たと言うから、凄まじい。 →元に戻る 【アメリカ百科事典】 ホームズが愛用するアメリカに関する百科事典で、正典「五つのオレンジの種」に登場する。 19世紀のロンドン子にとって、アメリカはまだ未知の土地で「野蛮人が住んでいる」と馬鹿にしつつも、皆が興味津々だったのだ。 ホームズはこれで「KKK(クー・クラックス・クラン)」の事を知った。 →元に戻る 【足跡の調査】 ホームズの著書で、正典「四つの署名」に登場する。 正式名は「足跡の調査−痕跡保存のための焼き石膏使用法」と言う。 現場に残された足跡から、男か女か、若者か老人か、その時に考えていた思考や精神状態まで、ホームズは推理するのである。 ホームズがいつも「大きな拡大鏡」を持ち歩いているのはこのせいである。 ま、いつもじゃないけど。 →元に戻る 【暗号解読法】 ホームズの著書で、正典「踊る人形」に登場する。 正式名は「暗号−160種類の暗号記法の分析」と言う。 最初、小論文として発表されたみたいだが、本ジオラマでは「立派な本」になっているので、その後「160種類の詳細な実例」を写真付きで追加、完全版として発売されたのであろう。 多分。 正典でホームズが「暗号」を解いて事件を解決した話が4つある。「グロリア・スコット号」「マスグレーブ家の儀式」「恐怖の谷」そして「踊る人形」である。 その中でもこの「踊る人形」が一番有名であろう。 →元に戻る 【書類の年代鑑定】 ホームズの著書。 正典「バスカヴィル家の犬」に登場する。 これは広く知られていた有名な本だったらしい。 前述の「足跡の調査」といい、この「書類の年代鑑定」といい、まだ「スコットランド・ヤード(ロンドン警視庁)」も始めていなかった「科学的調査」を、すでにホームズは研究・実践していたのである。 →元に戻る 【各種煙草の灰の識別について】 ホームズの著書で、正典「四つの署名」に登場する。 140種類以上の葉巻、紙巻き、パイプ等の「灰」を「カラー図版」と共に詳細に紹介している。 ホームズと言えば「パイプ」が有名だが、モリアーティ教授が何の煙草を好んでたのかは不明である。 正典のモリアーティ教授なら「私はあんな不健康で無意味な物には一切興味がないのですよ」と言ったのかも知れない。 アニメ「名探偵ホームズ」のモリアーティ教授は、アジトの中で「吸い殻」で山盛りになったの「灰皿」がいたる所に出てくるので、きっと「紙巻き派」だったのだろう。 ま、これは当時の宮崎駿の居た「アニメスタジオ」の日常風景なんだけどね。 →元に戻る 【職業が手に及ぼす影響】 ホームズの著書で、正典「四つの署名」に登場する。 正式名は「職業が手の形に及ぼす影響−スレート職人、平船員、コルク切り工、植字工、織物工、ダイアモンド磨きの手の石版画」と言う。 ホームズはこの知識を使い、「死体の身元」や「犯人の前科」を推理するのだ。 正典で「モリアーティの手の記述」はないのだが、「長身で猫背。額が広く青白い顔。まるでチベット修行僧の様」と言う描写から(そこから俺がイメージするのは、仮面ライダーで死神博士を演じた天本英夫である)、多分、蜘蛛のように嫌らしく節ばった細長い指で、元数学教授であった事から、親指と人差し指には「大きなチョークだこ」があったのに違いない。 →元に戻る 【養蜂実用ハンドブック】 正式名は「養蜂実用ハンドブック−女王蜂の分封に関する若干の見解」と言う。 正典「最後の挨拶」に登場した。 原作では「1903年」にホームズは探偵を辞め、ロンドンから「サセックス州」の「ドーバー海峡を望む丘」に引っ越した事になっている。 そこでホームズが書いたのがこの本である。 おそらく蜂の観察から、人間の、引いては犯罪者の行動パターンについて書き記しているのではないだろうか。 正典で「青い表紙の本」と描写されているので、本ミニチュアもそれを再現してみた。 →元に戻る 【人生の書】 ホームズの著書で、正典「緋色の研究」に登場する。 ホームズがワトスンと共同生活する前、「雑誌に投稿した記事」である。 本ジオラマでは「立派な本」になっているので、大幅に加筆修正して、完全版として発売されたのであろう。 ホームズの有名な「たとえ一滴の水からも、見た事のない太平洋やナイアガラの滝の存在を推測できる」という「観察と推理の重要性」について書かれている。 →元に戻る 【二項定理】 モリアーティの著書で、正典「最後の事件」に登場する。 彼は21歳の時、この論文で知識人の注目を浴び、若くして「大学の数学教授」となった。 「二項定理」とは、アイザック・ニュートンが考えた「二項式を展開するための定理」で、モリアーティは今まで誰も考えなかった「超天才的な方法」を発見した、と言う。 そのまま数学教授を続けていれば、それなりの出世が望めたのだろうが、彼の「超才能」は「犯罪の道」へと進む事になった。 正式名は「二項定理に関する論文」と言う。 →元に戻る 【小惑星の力学】 モリアーティの著書で、正典「最後の事件」に登場した。 この本をホームズは「純粋数学の頂点まで達していたので、ほとんどの者は理解出来なかった」と高く評価している。 「二項定理に関する論文」と「小惑星の力学」の二つは、モリアーティ教授の「超天才」を現す時には、いつも登場する「キーワード」である。 しかし、正典にはタイトルのみで、その内容は書かれていない。 そこからパスティーシュ作家たちは、その内容を「捏造」しようと努力している。 SF作家で科学評論家、そして優れたシャーロキアンでもある「アイザック・アシモフ」もその一人で、彼のミステリー小説「黒後家蜘蛛の会」シリーズの「終局的犯罪」の中で、この「小惑星の力学」に一つの答えを出している。 それによれば、モリアーティ教授は「地球を崩壊するための諸条件」について考察していた、と言うのだ。 →元に戻る 【ジークムント・フロイト】 「ジークムント・フロイト(1856〜1939)」はオーストリアのユダヤ人精神科医で、「精神分析の創始者」である。 フロイトとホームズが共通している点は、同じ「19世紀末の人物」である事と、精神分析と探偵は「目的と行動」が似ている事と、そしてどちらも「コカイン中毒」だった事であろう。 ホームズとフロイトでは、「ニコラス・メイヤー」が「シャーロック・ホームズ氏の素敵な冒険(1974)」と言う面白いパスティーシュを書いている。 これが映画になった時には、何故か「シャーロック・ホームズの素敵な挑戦(1976)」とタイトルが変わっていたが。 「ニコラス・メイヤー」は、私の大好きなSF映画「タイム・アフター・タイム(1979)」の監督である。 この映画では「ウェルズ」が「切り裂きジャック」を追いかけ、「タイムマシン」で19世紀末から20世紀のアメリカにやって来るのだ。 →元に戻る 【夢判断】 1900年に出版された「精神分析」の本である。 フロイトによれば、人の無意識が歪曲されて形になったモノが「夢」なのだと言う。 その「夢」を分析すれば、人の「隠された心」が判ると言う。 そこには全てに「性的」な意味があるとする。 それが後に多くの精神医たちによって「大反論」される理由となった。 俺も「夢には全て性的な意味がある」と言うのは、違うと思うなあ。 正典「瀕死の探偵」の中で、犯人を騙すため危篤を演じるホームズが、「海底がびっしりと牡蠣で覆われる悪夢」に魘されるのだが、フロイトに言わせるとどんな事になるのか・・・、考えるだに恐ろしい。 →元に戻る 【H.G.ウェルズ】 ハーバート・ジョージ・ウェルズ(1866〜1946)は「SFの父」と呼ばれる大作家である。 同じ「SFの父」と呼ばれるフランスの「ジュール・ヴェルヌ(1828〜1905)」に比べ、「未来予測」的な物語が多い。 また、一人の作家が考えたとは思えないほど、様々なジャンルに渡るSF小説を書いているのも特徴であろう。 時間を旅する乗り物「タイム・マシン」、獣を人間に進化させる「モロー博士の島」、身体を透明化する「透明人間」、宇宙人の侵略「宇宙戦争」等々である。 →元に戻る 【タイム・マシン】 1895年に出版。 ウェルズの「長編処女作」が、この「タイム・マシン」であった。 ホームズとタイム・マシンをテーマにしたパスティーシュも多い。 そもそも「ホームズとSF」は、パスティーシュ作家たちには「創作欲」を湧き立てるらしい。 俺が好きなのは、これはTVドラマなのだが、「新スタートレック(ネクスト・ジェネレーション)」の中の「ホログラムデッキの反逆者」である。 24世紀のエンタープライズ号の娯楽施設「ホログラムデッキ」内で、19世紀の「モリアーティ教授」を造ってしまう、と言うエピソードだ。 その中で教授は自分が造られたモノだと理解した上で、何とかその「仮想空間」を脱出し、エンタープライズの乗っ取りを計画するのだ。 →元に戻る 【ルイス・キャロル】 本名はチャールズ・ラトウィッジ・ドジソン(1832〜98)。 卒業した「クライスト・チャーチ・カレッジ」の数学講師となり、それは26年間続いた。 つまり作家業は趣味だったのだ。 「不思議の国のアリス」のモデルになったのは「アリス・リデル」と言う少女で、壮年になった彼女がホームズの元に訪ねて来るというパスティーシュがある。 ここでホームズは「不思議の国」の「盗まれたタルト事件」を解決した事になっているのだ。 →元に戻る 【不思議の国のアリス】 1865年に出版。 単なる児童文学ではなく、シュールでナンセンス、言葉遊びと風刺が利いた大人のファンタジーである。 頻繁に出てくる「英語の言葉遊び」のため、日本人には少々判りにくい。 ちなみに、俺はここに出てくる「チェシャ猫」が大好きなのである。 あの、木の上で「ニヤニヤ笑いだけ残して消えてしまう」縞模様の太った猫だ。 →元に戻る 【蓄音機】 ホームズの生きたヴィクトリア朝は、様々な科学技術が実用化された時代でもあった。 発電機(1867)、電話機(1876)、蓄音機(1877)、白熱電球(1878)、ガソリン自動車(1885)、小型カメラ(1888)、映画(1893)、無線電信(1895)、飛行機(1903)等々である。 蓄音機は正典「マザリンの宝石」に初めて登場し、レコードから流れるヴァイオリンの演奏と、蝋人形を使い、「そこにホームズが居る」風に見せかけ、犯人を騙すのである。 1877年、エジソンによって作られたのは「蝋管式(フォノグラフ)」で、その10年後、ドイツのベルリナーが「円盤式(グラモフォン)」を作った。 →元に戻る 【電話機】 ホームズと言えば「電報」であるが、初めて電話機が出てくるのは正典「高名の依頼人(1897)」である。 ここではホームズ自身が初めて電話をかけている。 他にも「隠居絵具師」「三人ガリデブ」に登場し、「三人ガリデブ」では「電話帳」を使った事件調査をしていた。 →元に戻る 【地球儀】 正典「恐怖の谷」に登場する。 「悪者と地球儀」で有名なのは、映画「チャップリンの独裁者(1940)」であろう。 世界征服の野望に燃える「独裁者ヒンケル」が、大きな風船の地球儀を弄ぶシーンだ。 →元に戻る 【天体望遠鏡】 天体望遠鏡はすでに17世紀に誕生している。 「小惑星の力学」という有名な著書を持つモリアーティ教授が、この天体望遠鏡を持っていないワキゃないのである。 →元に戻る 【傘】 傘が「紳士のステイタス」になったのは18世紀末からである。 それ以前は「あの人は雨が降っても馬車に乗れない貧しい人」と思われていたのだ。 ホームズ物語の中には「傘を自宅に取りに戻ったまま、行方不明なったジェイムス・フィリモア氏の事件」という有名な「語られざる事件」が登場する。 「語られざる事件」とはタイトルだけで中身が判らない話で、これに多くのパスティーシュ作家たちが挑戦している。 →元に戻る 【ユザワヤ】 関東を中心に全国展開している「手芸用品」「ホビー用品」の店である。 「東急ハンズかユザワヤか」であるが、ユザワヤの方が少し多いのかな。 たまに行くと「信じられないほど大勢のおばさん」がレジ前で群を為し、思わず後ずさりしてしまうのである。 明らかに「おじさんモデラー」より「おばさんクラフター」の方が多いよなあ。 →元に戻る 【呼びベル】 「モリアーティのアジト」はロンドンの「ハイド・パーク」の隣り「ケンジントン公園」の、「丸池(Round Pond)」の中央にある「小島」の、「地下」にある事になっている。 これはミステリー小説で言うところの「二重密室」である。 ん?「三重密室」か? トッドとスマイリーが買い出しから帰って来ると、池の畔にある「木に偽装された仕掛け」を押し、アジトの中のベルを鳴らし、モリアーティ教授に伝える仕組みである。 それで教授が中から表の「秘密の扉」を開けてやるのだ。 宮崎駿に言わせると、「時々子供がいたずらして、ずっと鐘が鳴りっぱなしになっちゃって、大騒ぎになったり」しているらしい。 →元に戻る 【自転車】 19世紀ロンドンに「自転車ブーム」が起こっていた事は、意外と知られていない。 この前輪が大きい「ペニー・ファージング」は当時の主流で、前輪と後輪の比率が「ペニー硬貨と1/4ペニー硬貨」と一緒である事から名付けられた。 「1885年」には今の、前輪と後輪が同じサイズの自転車が発売されたのだが、当時は「こりゃ不細工だなあ」と大不評であった。 ちなみに、ホームズの正典にも自転車が登場する話がある。 「恐怖の谷」「美しい自転車乗り」「スリー・コータの失踪」「ブライオリ学校」の4つである。 ちなみにちなみに、若き日のヴィクトリア女王が「私も乗ってみたい」と言ったところ、侍従から「足首が見えるから駄目です」と禁止されたのは有名な話である。 しかし、この自転車ブームが女性たちに「解放感」「高揚感」をもたらし、やがて「女性参政権(1928)」へと繋がっていくのであった。 →元に戻る 【スマイリーの自転車】 アニメ「名探偵ホームズ」で「ミセス・ハドソン人質事件」と「トーバーの白い崖」に登場した。 いずれも乗っていたのは「モリアーティ教授」と「ホームズとワトスン」で、本来の持ち主「スマイリー」が乗る事はなかった。 実生活においても、こんな損な役回りのヤツっているよなあ。 「名探偵ホームズ」に出て来た「宮崎メカ」、すでに俺が「プテラノドン」と「潜航艇」を、「宮崎メカ模型クラブ」の会長「かのーさん」が「巨大多砲塔戦艦」を、別の方が「プロト・ベンツ」と「スチーム・カー」を作っているので、今回の「スマイリーの自転車」はフルスクラッチされた「名探偵ホームズの6番目の宮崎メカ」と言う事になるであろう。 うっしっしっし。 →元に戻る 【洗濯物】 「宮崎アニメ」は洗濯物が好きだ。 「天空の城 ラピュタ(1986)」では飛行中の空賊船「タイガーモス号」の開放デッキで、「魔女の宅急便(1989)」ではびしょ濡れになったキキの部屋で、「ハウルの動く城(2004)」ではソフィーとマルクルと案山子カブが協力して、洗濯物を干していたのである。 これは登場人物の「生活感」を出す目的と、基本アニメータである宮崎駿の「静止画はツマラン。いつも画面で何か動かしてやる」という意気込みなのだろう。 そもそも初監督作品「未来少年コナン(1978)」の毎回流れるオープニングの最後でも、ロケット小屋の頂上に立つコナンとラナの背景で、盛大に旗めく洗濯物が出ていたではないか。 →元に戻る 【裏の川で獲った魚】 アニメ「名探偵ホームズ」の「ドーバーの白い崖」に登場した。 金儲けのため犯罪を計画するモリアーティは、毎回失敗し日々貧困生活を送り、いつも近所の川や池で釣った魚で腹を満たすのである。 「また裏の川で獲れた魚かあ・・・」。 「裏の川でもタンパク質はタンパク質だ!」。 この見るからに不味そうな魚は、多分「ダボハゼ」であろう。 →元に戻る 【静岡ホビーショー】 年一回、5月に静岡で行われるプラモデル業界、ラジコン業界、鉄道模型業界等の「新商品発表会」である。 開催される4日間の前半2日は業者、後半2日は一般に公開されている。 「1959年」から始まり今年(2009年)は「第48回」であった。 「1990年」から日本中から集まったモデラーたちが、自慢の作品を発表する「モデラーズ合同作品展」も同時開催されており、「メーカ・ブースより、こっちの方が面白いじゃんか」と言うヤツが毎年いるとか、いないとか。 →元に戻る 【イギリス食パン】 「山食」「山型パン」とも言う。 パン生地が焼き上がる際「型」から一回り膨らむ事で、この形になる。 通常の四角い食パンは「角食」と言う。 何となく「山食」の方が旨そうと思うのは、俺だけかな。 →元に戻る 【バスカヴィル家の魔犬】 正典「バスカヴィル家の犬」である。 「コナン・ドイル」のホームズ譚は、全部で「56の短編」と「4つの長編」からなるが、「バスカヴィル家の犬」はその4つの長編の1つである。 「奇怪な事件」に始まり「理に落ちる」という展開は、推理小説の王道であろう。俺の大好きな話なのである。 シャーロキアンによれば、これは「1888年の事件」で、現実世界ではあの「切り裂きジャック事件」があった年である。 シャーロキアンの中では「バスカヴィル家の事件で忙しかったので、切り裂きジャック事件には関わらなかったのだ」と言う説がある。 それと反対に「ホームズ対切り裂きジャック」というパスティーシュも数多く存在している。 まあ、「1888年」には他にも正典「恐怖の谷」や「四つの署名」など超有名どころが揃っているから、やっぱ忙しかったのかな。 →元に戻る 【本物の魚】 「食品偽装問題」は今に始まった事ではない。 太古の昔から、それこそ人類の歴史が始まった時から起こっていた事である。 ヴィクトリア朝も例外ではなく、「牛乳には水を足し」文字通り水増しして売られ、「パンには石の粉を混ぜ」量を増して作られていたのだ。 とは言え、「REAL FISH」なんて付けられた缶詰、明らかに怪しい。 →元に戻る 【スパム】 ハムの様なソーセージの様な「加工食肉の缶詰」である。 「1937年」に作られたモノだから、ヴィクトリア朝の本ジオラマにあるのは間違いである。 でも、俺の大好きな70年代のイギリスBBCのギャグ番組「モンティ・パイソン」に登場するので、作っちゃったのである。 味は必要以上に「しょっぱい」らしい。 →元に戻る 【バスカヴィル】 こんな酒はない。 無いが前述した様に、俺は正典「バスカヴィル家の犬」が大好きなので、ジオラマのボトルの銘柄に使ったのである。 第一「バスカヴィル」なんて洋酒があったら、飲んでみたいではないか。 →元に戻る 【トカイ酒】 ホームズ物語に出てくる酒と言えば、ホームズとワトスンが部屋で作る「ウィスキーのソーダ割り」と、「クラレット」と呼ぶフランス産の赤ワインと、そしてこの「トカイ酒」というハンガリー産の白ワインが有名である。 どうやら凄く甘い「食前酒」なのだそうだ。 俺は飲んだ事ないが、とても高価なワインらしい。 →元に戻る 【ヴァンベリー】 正典「マスグレーヴ家の儀式」は、ホームズが探偵業を始めて間もない「3番目」の事件で、ワトスンと知り合う前「ワイン商人ヴァンベリーの事件」に関わっていた書かれている。 これも有名な「語られざる事件」の一つである。 これは「1879年」の事件であった。 →元に戻る 【火掻き棒】 火掻き棒で思い出すのは、正典「まだらの紐」のロイロット博士の脅迫である。 突然ホームズの部屋にやって来た彼は、「事件から手を引け!」と暖炉の「火掻き棒」を素手でねじ曲げるのだ。 もちろんそんな事でビビるホームズではなく、彼が去った後、「やれやれ」と、その曲がった「火掻き棒」を簡単に自分も素手で元に戻す。 一見「知性派」と見られるホームズも、実は体力に長けていたというエピソードである。 →元に戻る 【石炭入れ】 「石炭入れ」と言えば、当時石炭入れの木箱には「マッチ等」の小物を入れる「引き出し」があり、ホームズはここに「葉巻」を入れていた。 ワトスンがホームズの「だらしなさ」を引き合いに出す時のエピソードである。 ホームズによれば「どちらも湿気を嫌う」という共通点があるらしい。 →元に戻る 【かばのオベイシュ】 1849年、北アフリカ「スーダン」で捕獲され、遠くロンドンまで移送されて来たのが生後三ヶ月メスのかば「オベイシュ(obaysch)」であった。 こうして、ヨーロッパで一番最初に「かば」を見る事が出来たのが、「1850年」の「ロンドン動物園」であった。 「ロンドン動物園」は「1828年」に始まり、「1847年」に一般公開された最初の「科学動物園」である。 科学動物園とは「見せ物」ではなく、「教育・研究」を目的とした動物園の事である。 ちなみに、映画「ハリー・ポッターと賢者の石(2001)」の冒頭で、ポッターがダーズリー家と一緒に「大蛇」を見たのが、そのロンドン動物園(もちろん現在の)である。 →元に戻る 【シガレット・カード】 1898年発売の煙草の「おまけカード」である。 このカードは「パッケージ」の補強も兼ねていたと言う。 右から「サラ・ベルナール」「ヘンリー・アーヴィング」「エレン・テリー」の三人で、当時の人気の舞台俳優である。 みな当たり役の「衣装」を着けている。 今で言う「ピンナップ」「プロマイド」の走りであろう。 →元に戻る 【バーリンデン】 フランソワ・バーリンデン(1946〜)は「ベルギーのプロモデラー」である。 70年代、立体であるプラモデルを「絵画的」に立体感を強調した「バーリンデン塗り」で一世を風靡した。 ま、「一世」と言ってもモデラーの間だけだけど。 具体的には、塗料を半乾きにした筆で「面に陰影を着けていく」やり方で、「ドライブラシ」と言う。 彼が立ち上げた「バーリンデン・プロダクツ社」は、様々な「AFV用ディテールアップ・パーツ」を発売していて、「ガンプラ」モデラーには関係ないが、俺ら「AFVモデラー」には重宝されているのだ。 →元に戻る 【ロイロット食料店】 グリムズビー・ロイロット。 正典「まだらの紐」の殺人犯である。 もちろん食料店主じゃなく「インド帰りの医者」である。 宮崎駿のTVアニメ新ルパン三世の「死の翼アルバトロス」に出てくる博物館館長「ロンバッハ博士」は、これがちょっと入ってるんじゃないかなあ。 何となく姿形が似ていると思う。 →元に戻る 【赤ちゃんダルマ】 ん? 何だ? こりゃ? →元に戻る 【ヴァイオリン】 ホームズと言えば「ヴァイオリン」である。 正典では「名手」とされているが、パスティーシュではこの煩い音に度々ワトスンが「耳を塞い」でいる。 ホームズが持っているのは名器「ストラディバリウス」で、彼はこれを「トッテナム・コート」の「ユダヤ人の質屋」から「55シリング」で買った。その質屋の主人は「ストラディバリウス」の価値を知らなかったらしい。 このジオラマにあるモリアーティのは「500ギニーする新品」を、ま、盗んできたモノなのだろう。 →元に戻る 【スリのポリィ】 「宮崎キャラ」には珍しい「ツンデレ少女」である。 また「天空の城 ラピュタ」の「パズー」と同じ「田中真弓」が声を演じている点も特筆に値する。 彼女が他に宮崎キャラを演じた事は無いんじゃないかな。 ちなみに、彼女の「縫いぐるみのウィニー」の名前は、第一大戦時、ロンドン動物園で買われていた「クマのウィニー」から来ているのだろう。 これは「A・A・ミルン」の有名な児童文学「クマのプーさん」のモデルになった事でも有名である。 →元に戻る 【赤カブ】 俺は学生時代「ボルシチ」に凝っていた事がある。 ロシアの「野菜煮」で、自分で作る事に凝っていたのだ。 でっかい「寸胴鍋」を買い、「赤カブ」やら「ニンジン」やら「キャベツ」やら「牛肉」を大量に入れ、一日中グツグツと煮込むのだ。 何回か食い、友人にも振る舞った後、それでも余った中身に、今度は別の野菜や肉を追加し、もちろん水を追加し、違うルーも入れ、またグツグツと煮込むのだ。 これを繰り返した挙げ句、最初「ボルシチ」だったのが「ビーフシチュー」になり、「チキンカレー」を経て最終的には「キーマカレー」になった事もあった。 旨かったなあ。 と言うワケで、今回は「モリアーティ」も「ホームズ」も「ヴィクトリア朝」も「イギリス」も関係ない話で、すいません。 →元に戻る 【ハッピータイガー】 第二次世界大戦のドイツの「タイガー戦車」を撮した写真に、「逆さになった福」らしき軍団マークが発見され、大騒ぎになった事があった。 「そう見えるだけで実は違う」だの「ドイツ人が書き間違えた」等の諸説が流れたのだが、実際は中国で昔から「倒福」と呼ばれる幸運を招く印だったのである。 ヴィクトリア朝は東洋文化に興味を持っていた時代なので、当然モリアーティもこれを知っていたのであろう。 この顛末にフィクションを入れた漫画が「小林源文」の「ハッピータイガー」である。 もちろん本ジオラマのコレは、「福」と描かれた「陶器ビーズ」を逆に床に接着しただけである。 →元に戻る 【マーガリンのポスター】 これは「ストーク(こうのとり)印」のマーガリンのポスターである。 ヴィクトリア朝は「電話」や「自動車」など、様々な発明品が生まれた時代であったが、その中には「マーガリン」も含まれる。 これは世界最初の「合成食品」だった。 牛乳で作る「バター」の廉価な代用品として、「1869年」にフランスで牛脂に牛乳を加え作られた。 以降、他の動物脂や植物油からも「マーガリン」は作られ続け、その安さからロンドンでも大ヒット商品となった。 ちなみに、ホームズの「語られざる事件」の中には、「暑い日にパセリがバターの中に沈んでいったその深さ」を見て解決した「アバーネティ家の恐ろしい事件」と言う有名な話がある。 →元に戻る 【フルスクラッチ】 大昔の話だ。 俺がまだ学生時代、宮崎駿の初演出TVシリーズ「未来少年コナン(1978)」に周囲は皆(これはNHK初のアニメーションだった)熱中していた。 シリーズが終わり、またすぐに観たくなった俺たちは、当時珍しかったビデオに「全話収録」しているヤツを捜し出し、そいつの家に押し掛けて2日間に分け、「全話」を再観賞したのだった。 それからだ。 今まで針と糸を持った事がないヤツが、突然「ラナ」の縫いぐるみを作り出した。 「1/35」でフィギュアを器用に自作するヤツもいた。 バルサとプラ板と「素麺」を使い、でっかい「ギガント」を作るヤツもいた。 当時そんな物はどこにも無かったからである。 「無いモノは自分で作る」。 そおいうものだ。 →元に戻る 私の勘違いや記述ミス、間違い等がありましたら、ぜひとも教えていただけると嬉しいのであります。 |
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